外国人インタビュー

頑張る外国人インタビュー/フォンさん

ご利用者さまの“心”のケアを大切にしながら、介護の経験を積んでいきたいです。

ファム ティ トゥ フォン。32歳。ベトナム出身。介護士。神戸市在住。地元の高校を卒業後、電子部品メーカーの工場などで就労。2017年10月に来日し、技能実習生として三重県の食品・飲料品メーカーで勤務。20年6月に介護分野の特定技能評価試験に合格し、同年10月にデイサービスに就職。

日本のお寺や文化に、ずっと興味が!

――フォンさんは、昔から日本に興味を持っていたのですか?

はい。子どもの頃からお寺などの日本の文化に興味があって、ドラえもんや名探偵コナンなどのマンガやアニメも好きでした。

日本に来て、最初に三重県に住んだのですが、そのときは近所のお寺などをよく巡っていました。

――来日前、日本にどんなイメージを持っていましたか?

日本人の方たちは、「派手で、キレイ」という印象を持っていました(笑)。そして、「とても親切」だと思っていました。

日本に行きたいとずっと考えていましたが、私が一人で外国に住むことを家族が心配していたので、なかなかチャンスがありませんでした。

――日本に来たら、どんなことをしたいと思っていたのですか?

日本語を勉強しながら、家族の役に立つためにも、安定した環境で働きたいと思っていました。

また、長い間興味を持っていた日本の文化に直接触れるのもすごく楽しみでした。

日本語をもっと学ぶために、介護の仕事に

――そして、28歳のときに、来日する夢を叶えたのですね。

そうです。2017年9月に来日して、三重県の飲料品メーカーでみかんの栽培やジュース製造のお仕事をしていました。元々、農業に興味があったので、みかん畑で作業などをするのが楽しかったです。

毎日、仕事が終わってから日本語を勉強して、翌年12月に日本語能力試験のN3に合格しました。

そして、もっと長く日本で暮らしたいと考えて、介護の勉強を始めました。2020年6月に特定技能評価試験に合格して、いまは兵庫県神戸市にあるデイサービスで働いています。

――介護の仕事をしようと思った理由を教えてください。

2つの理由があります。

以前の仕事では、農業に関われて楽しかったのですが、仕事中に日本語を使う機会があまりありませんでした。日本語を勉強できるのは、仕事が終わった後の夜の時間だけに限られていました。

そこで、介護の仕事ならば、働きながら日本語をたくさん使えてどんどん上達できるだろうと考えたのが、1つ目の理由です。

2つ目の理由は、もし将来的にベトナムに帰っても就職できると考えたからです。いまはベトナムに介護センターや老人ホームなどが少ししかないのですが、5年後、10年後くらいには増えていると思いますので。

――初めてのお仕事にチャレンジすることに不安はありませんでしたか?

ありました。一番心配だったのは、「日本語でのコミュニケーションがちゃんとできるかな」ということでした。

でも、一緒に働くスタッフのみなさんがやさしくて、わからないことは丁寧に教えてくれるので、すぐに不安はなくなりました。

――お仕事は楽しいですか?

はい! ご利用者さまの介助以外にレクリエーションも行っていて、体操やゲームなどをしているときにご利用者さまたちが笑顔いっぱいで楽しそうなので、こちらも楽しい気持ちでお仕事ができています。

また、ご利用者さまが自分だけではできないことをお手伝いできて、やりがいも喜びも大きいです。

ベトナムに私の祖父と祖母が住んでいるので、介護の経験を積んで、もし介護が必要になったらお世話できるようなスキルを身につけたいと思っています。

介護で一番大事なのは、“心”のケア

――介護のお仕事は、簡単ではない部分もあるかと思います。フォンさんが気をつけていることを教えてください。

介護で大切なのは、“体”のケアはもちろんですが、“心”のケアが一番大事だと思っています。ご利用者さまの気持ちがわかっていないとむずかしい仕事だなと感じています。

仕事を始めた頃はご利用者さま一人一人の性格がまだわからなかったので、大変なこともありました。でも、たくさんお話しするようにして、いまはみなさんの性格や気持ちがわかるようになりました。

――ご利用者さまとのコミュニケーションを大切にしているのですね。

そうです。私のほうから話しかけるだけでなく、ご利用者さまからうれしい言葉をいただくこともたくさんあります。

私はベトナムの美容院でヘアメイクなどの勉強をしたことがあるので、ドライヤーでキレイに髪の毛をセットして差し上げると、みなさん褒めてくださいます。

また、私がわからないことがあると、スタッフさんだけでなく、ご利用者さまもやさしく教えてくれるのですごくありがたいです。

――フォンさん以外に外国人のスタッフさんはいらっしゃるのですか?

ベトナム人の方が4名と、フィリピン人の方が1名います。外国人スタッフも日本人スタッフも、みなさん仲がいいので働きやすいです。

いま、会社の借り上げ住宅にベトナム人スタッフ3人で一緒に住んでいるので、仕事が終わってからもいろいろ教えてもらえて安心できます。

――オフタイムも楽しそうですね。

はい、平日の夜やお休みの日に3人でご飯をつくって、みんなで食べています。ベトナム料理が中心ですが、大好きな巻き寿司をつくることも多くて、巻き寿司パーティーをしています。

いまはコロナの影響で外出ができないので、うちで一緒に食事をしたりお話ししたりするのがとても楽しいですね。

また、ほかの部屋に住んでいるスタッフさんもいて、お誕生日などには全員で集まって楽しく過ごしています。

夢は、ベトナムに老人ホームをつくること

――日本で生活していて、「面白い」と感じていることは何ですか?

やっぱり、日本語がどんどん上手になることが面白いですし、日本に来てよかったなと感じています。

ほかによかったと思うことは、「日本人は親切」という点ですね。どんなことでもきちんと教えてくれるので、私が昔から持っていたイメージ通り、本当に親切だなと実感しています。

――いま、フォンさんが一番頑張っていることは?

勉強です。日本語がもっと上手になりたいですし、介護についてももっと学んで、介護福祉士の資格も取りたいです。

そして、できるだけ長く日本で暮らしたいと思っています。介護の経験をたくさん積んで、もしベトナムに帰ることになったら、老人ホームなどの介護施設を現地につくりたいなと考えています。

――そのためにも、いろいろな勉強を頑張っているのですね! 最後に、日本で働いている外国人の方や、これから働きたいと考えている外国人の方に、メッセージをお願いします。

日本語を頑張って勉強して、日本ならではのコミュニケーションやいろいろな“やり方”も学んでいってください。きっと、自分の役に立つと思います!

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