外国人インタビュー

頑張る外国人インタビュー ミンさん

“人の役に立つ仕事”がしたくて、日本に。介護士の資格取得を目指して勉強中です。

ホアン アイン ミン。29歳。ベトナム出身。介護士。医療短期大学で看護学を専攻し、卒業後に日本語を学び、現地で日本語教師として働く。2019年10月に来日して日本語学校に通い、20年12月に日本語能力試験(JLPT)N1合格。21年4月から現職に。

日本語の勉強を通じて、日本に興味が!

――ミンさんは、元々は看護師を目指していたのですね。

はい、病気の人を助けることや、人の世話をすることが、とても魅力的だと感じていました。私がまだ小さい頃、周りに病気で困っている人がいて、「助けたい」と思ったのがきっかけです。

それで医療短期大学に進学しましたが、2013年に卒業してすぐに就職先が見つからなかったため、飲食店や工場で2年間ほど働いていました。

――どうして日本に興味を持ったのですか。

最初に日本のことを強く意識し始めたのは、2015年6月に、ベトナムの送り出し機関から「日本で、看護師として働きませんか」と声をかけられたときです。

そして、日本語を3ヶ月間勉強しましたが、結局、日本での受け入れ先が見つかりませんでした。でも、それまで日本語の勉強を頑張っていたので、もっと勉強を続けようと思いました。

日本語の本を読んだり、インターネットで日本のことを調べたりしてるうちに、日本について少しずつ理解できてきて、日本への興味がどんどん大きくなっていきました。

――「日本で働こう」と決めた理由を教えてください。

その翌年に日本語能力試験に合格して、ベトナムの学校で日本語教師として3年ほど働いていました。

その間も日本語の勉強をずっと続けていて、「もっと日本のことを理解したい」という気持ちと、「新しいところで、いろいろなことに挑戦したい」という気持ちが強くなったので、日本に行こうと決めました。

――来日するために、特に準備したことはありましたか。

日本の文化や、日本人の考え方・働き方について、事前に調べておきました。

さらに、言葉の勉強のために、経済や心理学、小説など、いろいろな分野の本を読みました。

専門用語などのむずかしい単語もたくさん出てきますが、辞書を調べながら読んでいました。この勉強方法は、いまでも続けています。

“ご縁”があった介護施設に就職

――来日してすぐに働き始めたのですか。

いいえ、2019年10月に来日して、まずは福岡県にある日本語学校で半年間、さらに通訳の専門学校で1年間、日本語を勉強しました。

そして、2021年4月に、いま働いている介護施設に就職しました。

――介護士の仕事を選んだのは、なぜですか。

小さい頃から「なりたい」と夢見ていた看護師と同じで、介護の仕事も、困っている人の役に立つことができるからです。

さらに、将来的に国家資格の介護福祉士資格を取って、キャリアアップしていきたいとも考えました。

――新しい夢が見つかったんですね。どうやって就職先を探したのですか。

日本で働くベトナム人の友だちから、「ユアブライトがいいよ」と教えてもらいました。

いろいろな紹介先の会社があるなかで、いまの介護施設で働くことになったのは、条件やタイミングがちょうど合ったからです。良い“ご縁”があったんだと思います。

来日してからずっと福岡に住んでいたのですが、「新しい場所で生活するのも面白そう」と考えて、神奈川に引っ越すことにしました。

ご利用者さまとの会話で、日本語力もUP

――いまのお仕事について教えてください。

ご利用者さまのお食事の介助をはじめ、介護全般を行っています。

ほかにも、ご利用者さまの飲み物の用意や部屋掃除など幅広い業務をしているので、いろいろな経験を積みながら仕事を覚えている最中です。

――お仕事の、どんなところにやりがいを感じますか。

やっぱり、人のお手伝いができることが一番のやりがいで、一番うれしいところですね。

ご利用者さまの多くは“自分だけではできないこと”がありますので、それを手伝うことができて、「自分は役に立てているな」と感じています。
また、ご利用者さまが、いままでの体験談などをお話ししてくださるのでとても面白いです。

ご自身の若い頃のことや、お仕事、趣味など、一緒にお話ししていると私の日本語力も上がりますし、日本のこともさらに理解できて、やりがいにもつながっています。
さらに、皆さん、ベトナムに興味を持っていろいろと聞いてきてくださるのでうれしいです。

――どのような職場環境ですか。

施設全体の職員さんは約80人で、仲間や上司はとてもやさしいです。まだ慣れないことが多いのですが、積極的に指導していただいています。

仕事も、ゆっくり覚えさせていただいているので、プレッシャーを受けるようなことは全然ありません。ですから、ご利用者さまのことを最優先に考えられるので、自分に合っている職場だと思います。

――ミンさん以外にも、外国人の方は働いていらっしゃいますか。

私のほかに、ベトナム人の方が2人いらっしゃいます。今回初めて外国人を募集したそうで、一度に3人が採用されました。
私と同じベトナム出身なので、とても安心して働けています。仕事から帰るときに、仕事のことなど、いろいろな話をするのも楽しいですね。

お笑い動画を見て、日本語を学習

――お仕事がお休みの日は、何をしていますか。

最近は、日本の食べ物を自分でつくってみています。なかでも、丼ぶり料理が得意で、牛丼が1番好きで、2番目はとり天丼です。インターネットでつくり方を見ながら、料理しています。

そして、いま一番楽しんでいるのは、日本語の勉強です。勉強といっても、「きちんとイスに座って」とかではなくて、面白い動画を観たり、本を読んだりしているので、とても楽しいです。

お笑いが好きなので、明石家さんまさんなど、芸人さんの動画をよく観ています(笑)。

――それは、楽しそうな勉強ですね(笑)。ミンさんは、インドア派なのですか。

いいえ、外に出かけるのも大好きです。特に、景色を眺めに出かけるのが好きですね。

この間は、横浜の山下公園に行きました。バラがたくさん咲いていて、とてもきれいでした。ほかには、横浜港にも行きました。私は海が好きなので、すごくうれしかったです。
神奈川県にはきれいな海や景色がいいところがたくさんあるので、これからもたくさん見に行きたいと思っています。

将来は、日本とベトナムをつなぐ役割に

――ミンさんの、今後の夢を教えてください。

介護士としては、さらに高品質なサービスをご利用者さまに提供したいと思っています。身体の介護だけでなく、“心”も満足してもらえる介護を目指していきたいです。

そして、勉強が好きなので、介護福祉士やケアマネジャーの資格にもチャレンジして、どんどんレベルアップしていきたいと思っています。

――その夢の先にも、やりたいことはありますか。

はい、将来的に、ベトナムと日本をつなぐ役割を担いたいと考えています。
たとえば、日本の介護の現場には、人があまり力を使わなくてもいい設備や道具がたくさんありますので、そういう便利なものをベトナムにも伝えていきたいです。

そのほかにも、日本人の方々にベトナムのことを知ってもらい、ベトナム人の方々にも日本のことを伝えていくのが私の夢です。
長い間、日本語を勉強してきて、2ヶ国語がわかるようになったので、それを活かして日本とベトナムに貢献できればと思います。

――ぜひ、夢を実現してください! 最後に、日本で働こうと思っている外国人や、すでに働いている外国人の方にメッセージをお願いします。

日本語の勉強を、ずっと続けてほしいと思います。
私の場合は、日本語を6年間勉強して日本語能力試験のN1に合格しましたが、それでも十分ではないと感じています。
日本語能力試験の資格はもちろん大切ですが、取れたからといって勉強をやめるのはもったいないです。

仕事でもプライベートでも、コミュニケーションができないと大変なこともたくさんありますので、できるだけ長く日本語を勉強し続けたほうがいいと思います。

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