昨今の日本は人手不足が深刻化しており、いくつかの産業分野では人材を募集しても人が集まらないなど、問題に直面しています。事業の存続さえ危ぶまれるような人手不足を解消するため、外国人労働者の受け入れを検討する企業が増えつつあります。

この記事では、外国人労働者を採用するメリットやデメリット、採用を進める際の注意点などを詳しく解説していきます。

日本での外国人労働者の雇用状況は?

厚生労働省が2021年10月に発表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、外国人労働者の数は1,730万人近くに上り、年々その数は増加の一途をたどっています。

特に、平成19年以降の製造業の外国人労働者の受け入れ人数は大幅に増え続けました。現在はコロナウィルス感染拡大による入国制限などの影響が長引いているため、受け入れ人数はほぼ横ばいで推移しています。

日本企業における人材不足は、今後も加速していくことが予想されています。2022年現在、外国人労働者の受け入れ可能な職種も増え、今後も外国人労働者は日本の企業にとって、なくてはならない戦力となるでしょう。

出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」(各年10月末現在)

注1:「専門的・技術的分野の在留資格」とは、就労目的で在留が認められるものであり、経営者、技術者、研究者、外国料理の調理師、特定技能等が該当する。

注2:「身分に基づく在留資格」とは、我が国において有する身分又は地位に基づくものであり、永住者、日系人等が該当する。

注3:「特定活動」とは、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を行うものである。

注4:「資格外活動」とは、本来の在留目的である活動以外に就労活動を行うもの(原則週28時間以内)であり、留学生のアルバイト等が該当する。

日本で働く外国人労働者の国籍の割合

国籍別にみると、最も多いのはベトナムで、外国人労働者数全体の26.2%を占めています。次いで、中国 (同 23.0%)、フィリピン (同 11.1%)の順となっています。 ベトナム人の雇用が増加する一方、中国は前年比で5.3%減少し、韓国が同(1.8%)、 ネパールが同 (1.4%)と、それぞれ減少しています。

※参照:厚生労働省/「外国人雇用状況」の届け出状況まとめ(令和3年10月末現在)

2019年に開始した外国人労働者受け入れ制度「特定技能」

特定技能制度とは、深刻な日本の人手不足を補うために2019年4月に開始した制度です。一定の条件のもと、外国人労働者を「特定技能」の在留資格で雇用することができます。

生産性の向上や国内で人材を確保するための取り組みを実施してもなお、人材不足の解消が難しい産業などにおいて、即戦力となる技術を有している外国人労働者の受け入れが可能になりました。

また、特定技能制度では、日常生活に必要な最低限の日本語を話せる能力も必要とされています。

特定技能について詳しくは「特定技能とは?1号と2号の比較や技能実習生との違いを解説」をご覧ください。

特定技能1号と2号の違い

特定技能制度には、「1号」と「2号」の2つの在留資格があります。それぞれの違いをまとめると以下のようになります。

1号

  • 在留期間:最長5年
  • 家族帯同:不可
  • 技能水準:必要な技能試験に合格していること
  • 対象となる産業分野:14種類

2号

  • 在留期間:無期限
  • 家族帯同:可能
  • 技能水準:1号に必要な試験と同等以上の技術を有しており、監督者としての実務経験も必要
  • 対象となる産業分野:2種類

2号は1号の上級の資格を持つ外国人労働者に与えられる在留資格で、2号の外国人を雇用することは、企業にとって優秀な人材を確保したと言えるでしょう。

1号と2号の違いについて詳しくは「特定技能とは?1号と2号の比較や技能実習生との違いを解説」の記事をご覧ください。

外国人労働者を雇用するメリット

外国人労働者を雇用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。いくつかご紹介していきます。

・若い人材を確保できる

日本は世界でも有数の高齢国。今後も若い世代の人口は減少していき、企業を担う人材は不足する一方です。

そこで、外国人労働者を採用することによって、若い世代の労働者を確保することができ、社内の活性化などにも繋がっていくことでしょう。

・勤務地が地方でも対応可能なことが多い

日本の若い世代は、東京や大阪などの大都市で働きたいという希望を持っていることも多いですが、外国人労働者の場合は、働きたい地域にそこまでこだわりがないケースも少なくありません。

勤務地よりも技術の習得や待遇などを重視する傾向が強いためです。外国人労働者を雇用することで、地方の人手不足の解消にも役立つことになるでしょう。

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・上昇志向がある人材を確保できる

外国人労働者は、日本で働くことで知識を身につけ、キャリアアップしたいという、強い向上心を持っているケースが多いです。

そのための努力を惜しまず、自分を磨き、成果が出せるよう努力を続ける傾向が強くあります。

そのような外国人労働者の仕事へ向き合う姿勢を見ることで、日本人労働者のモチベーションを上げる効果もあり、採用する側にとっても大きなメリットとなります。

・ビジネスシーンで多言語の対応が可能になる

日本人のみの職場では、当然、日本語で会話を行うでしょう。しかし外国人労働者が職場にいることで、最低限のコミュニケーションをとる必要が出てくるため、日本人労働者も身振り手振りを交えながら日本語以外の言語を習得することに繋がります。

また、海外との取引の際、通訳の役割を果たしてもらえるなど、ビジネスの幅も大きく広がる可能性もあります。

・違った視点からの発想が出てくる

海外から労働者を受け入れることで、他国の文化や風習、宗教に接することになります。日本にはない価値観や物の捉え方に触れる機会ができ、おのずと社内のグローバル化が進むでしょう。

また、異なったアプローチや見解を学ぶチャンスにもなり、企業の活性化にも繋がります。

外国人労働者を雇用するデメリット

これまで外国人労働者を雇用するメリットを解説してきましたが、もちろんデメリットもあります。

では、企業にとってのデメリットはどのようなものがあるか、詳しく解説していきます。

・最初は円滑なコミュニケーションが難しい可能性がある

外国人労働者の日本語能力は、当然ですが格差があります。日常に必要な最低限の会話ができることが前提ですが、日本人にしかわからない言い回しや慣習、細かなニュアンスなどを外国人は理解することができません。

また、日本にとっては当たり前の文化や価値観が外国人にとってはまったく理解できないなど、コミュニケーションがうまく取れない場合があることにも注意が必要です。慣れていくとだんだん解消される場合が多いですが、最初のうちは特に気を付けてあげる必要があります。

Image photograph of man and woman chatting (lovers / couples)

・採用工数が通常よりもかかる

日本人を採用する場合は、面接や試験を行い、採用の可否を決定し通知するという工程になります。しかし、外国人を雇用する場合には、さらにいくつかの工程を経る必要があります。

例えば、就労ビザが採用する職種に適しているかの確認や、場合によっては、現地の人材エージェントとのやり取りなど、工数が増えてしまいます。

・社内の受け入れ体制を整える必要がある

外国人労働者を受け入れる場合、他のスタッフの理解や協力を得る体制づくりが必要です。仕事を教える際も、通常よりもコミュニケーションに苦労するなど、他のスタッフの協力がなければ、外国人労働者を雇用することは難しいと言えるでしょう。

その他、文化の違いによって(トイレや共有スペースなどの使用方法、仕事の進め方等)スタッフのストレスが溜まりやすい傾向もあります。

いずれにしても、受け入れ体制がしっかり整っていなければ、外国人労働者を雇用するのは難しいことに注意が必要です。

・通常より研修コストがかかる

仕事を覚えるまでの研修に必要なコストが、日本人よりも多くかかることを覚悟しておきましょう。日本語能力が不十分な場合などは、まず日本語の習得を促す必要があります。そのうえで、技術の習得の研修も必要になるので、おのずとコストが増えます。

・慣れない土地・環境でストレスを抱えやすいことを理解

外国人労働者は住み慣れた国を離れ、慣れない日本で暮らしながら働いています。言葉の違いなどから仕事を覚えるためにストレスを抱えることもあるでしょう。

受け入れ側は、こまめにコミュニケーションを取ることを心掛け、孤立させないように注意することが大切です。また、職場でのいじめ対象となっていないか、パワハラに該当する行為や発言になっていないか、などにも常に気を配り、仕事上での注意が必要な場合も、日本人とは違う配慮を心掛ける必要があります。

・安価な労働者として認識しないこと

外国人労働者は日本人より安い賃金で雇用できる人材であるという、誤った認識を持つ経営者や採用担当者も少なくありません。しかし、全ての待遇(賃金、休憩時間、労働時間等)は日本人と同等以上にする必要があります。また、外国人労働者は高度な技術や知識を持つ優れた人材であることを、雇用する側もしっかり認識しておく必要があります。

いずれにしても、外国人は安く雇えて労働時間も無理がきく労働者ではないことを理解しておきましょう。

・在留資格に合った仕事内容であるかの確認

外国人の雇用を検討する際に最も重要なのが、「どの職種での採用なのか」ということです。外国人労働者に日本で働いてもらうためには、適正な在留資格の取得が第一条件です。

面接の際には、採用する職種に適した条件を満たしているか、持っている資格や技術、経験などをしっかりと確認することが重要です。

また、エンジニアで雇用したが、実際には単純作業を担当させていたといった場合は、罰則の対象になる可能性があることを、社内でもスタッフ全員に周知させておくことが重要です。

外国人労働者の採用手順

外国人労働者の採用~雇用までの流れをまとめると以下のようになります。

  • 雇用を検討している外国人の在留資格を確認
  • 就労ビザの取得が可能かどうか確認
  • 面接
  • 内定が決まったら、条件や待遇などを記載した雇用契約書を作成
  • 就労ビザを申請し、入国管理局の審査を待つ
  • 就労ビザの取得後、雇用が決定

外国人労働者の採用について詳細は「外国人労働者を採用する流れを解説!採用のメリットや注意点とは?」[P3] の記事でも詳しく解説しています。ぜひご確認ください。

特定技能人材の採用を検討中ならば、実績豊富なユアブライトにぜひご相談ください!

この記事では外国人を雇用する際のメリットやデメリットを解説しました。現在、外国人労働者の雇用を検討している方の参考になれば幸いです。

さて、弊社ユアブライトは、特定技能人材紹介のパイオニアとして、2019年の入国管理局への登録以来、数多くの特定技能外国人をサポートしてきた実績があります。

外国人の雇用を検討されている経営者や採用担当者様は、ぜひお気軽にユアブライトまでご相談ください。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 海外人材担当 主にベトナムに関する情報を発信しております。

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