ベトナムの国民性についても話題になると、「勤勉」「器用」「内気」「大らか」など、いろいろな側面が語られます。ときには「真面目」「飽きっぽい」のように、まったく逆の特性が語られることもあります。そこで、このようなギャップがどうして生まれるのか、ベトナム人の国民性を理解するポイントも含めて解説します。

ベトナム人は南北で国民性が変わる

ベトナムは、南北に長くのびる地形から、地域により気候がかなり変わります。その影響もあり、南北で国民性に違いが見られます。

冬がある北部のベトナム人は勤勉

首都ハノイを中心とする北部には意外にも四季があります。夏は猛暑、春秋は湿気があるものの比較的過ごしやすい季節です。冬になると一転、気温は一気に低くなり、ダウンジャケットとマフラーが必需品となります。そのため、昔のベトナム人は、備蓄食料により冬を越していました。そのような過去から、今でも北部人は万が一に備えて勤勉に働き貯金に励む傾向があります。

年中暑い南部のベトナム人は陽気

それに対して、商業都市ホーチミンを含む南部は年中蒸し暑く、多少の差はあるものの、北部のような四季はありません。海と山で食べ物が豊富にとれる地域性もあり、歴史的に備蓄をする必要性もなし。そのため南部出身のベトナム人は陽気で楽観的。貯金はほとんどせず、ある分を今の楽しみのために使い切る傾向があります。

都会に出たい中部人は向上心が高い

港湾都市のダナンがある中部は、外資系企業の進出が著しく、近年めざましい発展を遂げています。しかし、かつては港町として栄えてはいたものの、若者にとって魅力あふれる都会とは言えませんでした。若者が目指すのはハノイやホーチミン。都会に対する憧れの強さから、高い向上心で努力し続けるベトナム人が中部に多いと言われています。

ベトナム人の男女でも変わる国民性

ベトナム人は、ベトナム戦争が長く続いた過去から、男性と女性のあいだにも国民性の違いが見られます。

家族を守りたい女性は責任感が強い

ベトナム戦争中、男性は戦地に赴いていたため、子供や家を守ってきたのは女性。そのため、ベトナム人の女性は、家族のために働くという意識を強く持っています。日本人とくらべると、ベトナム人は離職率が高いと言われています。しかしながら、とくに子供がいる女性は、多少の不満があっても家にお金を入れるために辛抱強く仕事を続けます。

男性は個人差があるのが特徴

ベトナム人の男性は、戦地でいつ命が終わるか分からない状況にあったためか、今を最優先すると言われています。そのため、ちょっとしたことで急に仕事をやめる、その日暮らしの生活をする男性も少なからずいます。ただし、すべての男性が怠惰というわけではありません。そんな大人を反面教師に、野心を持って高みを目指すベトナム人男性も増加。20代で起業するケースも目立ちます。

女性が男性をリードするベトナム人

ベトナム人の女性と男性の性格的な違いは、男女の関係からも伺い知れます。ベトナムでは、家父長的な伝統は残っているものの、女性のほうが性格的に気が強く、あらゆる場面でリードします。ただし、レディーファーストの習慣が浸透しているため、カップルでなくても男性は女性に尽くすという特徴もあります。

国民性の違いが仕事に与える影響

ベトナムでは、地域や男女による国民性の違いが、男女の採用状況、地域による勤務時間、得意とする職種の違いに反映されています。

ベトナムの雇用は男女の差が少ない

ベトナムでは専業主婦という考え方はありません。女性は基本的に働き者なので、結婚後はもちろん、出産直前・直後も働いています。同じように、男性は一家の大黒柱という考えも希薄。家族みんなの収入でやりくりするのが当たり前となっています。男女とも働くことが前提にあるため、男女は比較的平等に採用されている印象があります。

南北で異なる勤務時間

ベトナムでは、北部人は忍耐強く、南部人は飽きっぽいという違いあります。そのため、勤務時間は南部よりも北部のほうが長く設定される傾向があります。ただ、南部のほうが給与水準は低いため、短時間勤務の仕事をいくつか掛け持ちするベトナム人もいます。中部は、田舎ののんびりした空気もあり、ゆるやかに働く傾向はありますが、外資系企業が多いこともあり、ケースバイケースと言えます。

北部人は事務職、南部人は接客が得意

北部のベトナム人は、地道にスキルを積み上げるタイプが多いため、事務作業が得意。工場のライン作業で力を発揮する人も多いでしょう。南部のなかでもホーチミンは商売人の町。人懐っこく物怖じしない性格から、接客や営業を得意とする人が多いようです。中部出身者は、地元で農業などの家業を継ぐ人、都市部でキャリアアップに励む人と、二手に分かれる傾向があります。

まとめ

採用を検討するとき、すべてが当てはまるわけではありませんが、出身地や性別で適性を見極められる一面はあります。とはいえ、とくに若い世代のベトナム人は、海外の価値観に触れる機会が多く、これまでの型にはめられない点も多々あります。そこで、国民性の一般的な傾向のほか、実際に話したときの印象や、本人の努力の過程を見ることで、職場にとってプラスになる人材かどうか判断しやすくなると思います。

この記事を書いた人

ひこすけ

大学にて10年間勤務したのち、ベトナム現地企業にて、地方中小企業の販路拡大支援に従事する。大学では留学生、ベトナムでは現地スタッフ指導経験あり。日本語教育にも関わっていました。現在はライターとして活動中。

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