転職の自由~特定技能外国人の4つの壁 - ユアブライト株式会社
2021.06.12
お知らせ
転職の自由~特定技能外国人の4つの壁

特定技能では外国人労働者の権利を尊重する制度として、転職の自由を定めています。

特定技能で転職が認められるようになった背景には、転職を認められていなかった技能実習生の失踪や職場放棄などの問題があったため、新制度の特定技能に対しては、外国人労働者の権利に配慮した内容になっています。(現在は技能実習生の転職は認められています。)

同業種への転職は2020年4月から、異業種への転職は2020年9月から可能となっています。

転職の自由が認められることで、雇用条件や職場環境などの不一致から継続した就労体制を維持できない外国人にとっては、選択できるひとつの抜け道となっています。ただし、採用前から転職を想定して入社する外国人や転職によって起こり得る問題回避のためにも、特定技能制度には、外国人にとって壁となるルールが制定されています。

壁となるルールにそって転職を実行するためには、改めて在留資格を取得すると同様な時間と労力を要し、難易度の高いプロセスを踏んで前進することとなります。そのプロセスには、人材紹介業社や登録機関を通して雇用先を見つけ、在留資格申請期間を経て転職が決定するという流れになります。

外国人に困難なのは、行政に必要な書類作成や申請方法について理解することであり、この一連の手続きは仲介機関なしでは実現しないため、ここに又悪質な仲介業者が入り込んでくることを考えると、さらに転職へのハードルが高くなる要因にもなりかねません。

一方、雇用側としては、採用後、特定技能外国人の転職は懸念事項でもあります。転職を避け長期雇用を実現するためには、キャリアパスの提示や雇用条件について双方で話し合いの時間を設けることが大切です。

また、雇用側は生産性を考慮する上でも、労働者に必要な最低賃金の給与は必須条件となります。
(法務省では、特定技能外国人の給与水準は日本人と同等以上と定めています。)

特定技能外国人の『転職』のための4つの壁

特定技能外国人が転職活動する場合、そのプロセスで起こるハードルを4つのポイントにわけて説明いたします。

●「引き抜き自粛規定」について

法務省は、特定技能外国人が大都市圏や特定地域に集中することを防止するための対策を提示しています。特定技能14分野において一部地域や大企業に偏った採用や業界内においての人材の引き抜き雇用は自粛するように要請しています。

外国人労働者の”引き抜き”がどこまでのことか明確にされていないため、あいまいな要望に対しては企業側の動きを鈍くし、外国人採用の流れに影響することが懸念されています。特定技能外国人に対する”引き抜き”の定義が改めて発表されることが期待されます。

●アルバイト制限について

特定技能外国人が転職活動を始めた場合、活動中のアルバイトは認められていません。在留資格変更の申期間中は、無収入のため母国への仕送りも難しくなります。

現職を辞めてから転職活動をするということは、外国人にとってリスクの高い方法となります。また、転職実行のためには、申請期間中にかかる所要期間と収入と収支、そしてアルバイトをすることができないという認識が必要です。

●申請が不許可だった場合を想定しておく

在留資格変更の申請が認められなかった場合は、在留資格は無くなり帰国しなければなりません。特定技能外国人は、申請が認められなかった場合の将来を、転職活動する前に心得ておく必要があります。

●資格申請期間は2~3か月かかる

特定技能外国人が転職活動する場合、申請期間がおよそ2~3か月かかります。現職を離れる手続きから、就職活動、転職先との手続き、在留資格の変更申請などすべてをプロセスを踏んだ転職活動期間を見込めば、長いスパンで考えることが必要となってくるでしょう。しかし、退職後この申請期間中に収入もなく経済的な余裕のない外国人には、無収入で乗り切る転職がどれだけの価値があるのか?じっくり考えてから行動することが勧められます。

●在留資格の更新と転職活動

特定技能外国人が転職を希望する場合、在留資格変更申請を出入国在留管理庁に提出します。この申請が特定技能の更新有効期限までに完了しなかった場合は、帰国しなければなりません。

特定技能外国人が転職を実行する場合は、在留資格の更新日と転職のための申請にかかる所要日数など考慮してから活動を始める必要があります。

転職のための手続き

転職のための手続きは、退職した企業と転職先の新しい受入企業の両方で手続きが必要です。

※退職した元の受入企業が行う手続き
「特定技能雇用契約に係る届出」と「受入れ困難に係る届出」という2つの届出が義務付けられています。

※転職先の新しい受入企業が行う手続き
「在留資格変更許可申請」をする必要があります。

※本人が行う手続き
14日以内に「所属機関に関する届出」を外国人本人が出入国在留管理庁へ行う必要があります。

転職の自由は、特定技能外国人の権利に関わる前向きな制度となりますが、実際に転職希望者がこの制度に従って新しい職場へと移行できるためには、在留資格の申請期間や転職活動中の経済的負担を促す措置が必要となっています。雇用側は長期雇用に繋がるキャリアパスの提示の有無が重要なポイントとなります。

特定技能外国人の転職が、安易に大きな流れにならないように、労働条件と職場環境の整った雇用体制が望まれます。

執筆者:shyu

海外在住ライター/ネパール国籍の配偶者と日本国籍の息子と日本人の私の3人家族。カトマンズに12年暮らす。 海外に住むということは、国籍はもちろん生まれも育ちも違う者どうしが、なんらかの関係性を保ちながら生きる修行をしているようなもの。 今後、日本で暮らし働く外国人が増えて行くことが予想される中、その動向を外国人の心情に寄り添った視点で発信していきたい。

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