ホー・チ・ミンとはどんな人?ベトナムにおける位置づけを解説
2021.11.29
ベトナム
ホー・チ・ミンとはどんな人?ベトナムにおける位置づけを解説

ベトナム人にとって特別な存在である人物がホー・チ・ミン。ベトナム南部にホーチミン市がありますが、その市名の由来となったのがまさにホー・チ・ミンです。現在のベトナム建国の中心人物であることから、尊敬・崇拝の対象として位置づけられています。

日本人の場合、ベトナム戦争を学ぶときにちょっと触れたな~という程度かもしれませんが、ベトナム人にとっては現在の国家の生みの親でもある精神的な支柱。そこで、ホー・チ・ミンはどんな人物だったのか、ベトナム人にとっての位置づけを含めて解説します。

ホー・チ・ミンはどんな人?①:ベトナム建国の父

ホー・チ・ミンは、ベトナムの革命家であり政治家でもある人物。植民地時代からベトナム戦争に至るまでの革命を指導したことから、「建国の父」と呼ばれています。

貧しい家庭で生まれ育ったホー・チ・ミン

ホー・チ・ミンは、1890年にベトナムのゲアン省にある村で生まれました。家庭は貧しかったものの、父親が儒学者だったこともあり、幼少期から中国語にたしなんでいました。当時のベトナムはフランス統治下だったこともあり、フランス語も習得。語学力を生かし、教師として働いたのち、30年あまり船乗りとして世界中を回りました。

船乗りから政治家の道へ

世界を回るなかで、社会問題や政治に関心を深め、政治家としての道を歩み始めます。長いフランス統治のあと、ベトナムで影響力を増したのがアメリカなどの資本主義国家。それらを後ろ盾とする独裁政権に抵抗し、社会主義国家の樹立を目指したのがホー・チ・ミンです。長く続いたベトナム戦争に勝利し、初代ベトナム民主共和国主席となります。このような背景から、親しみをこめて「バク・ホー(ホーおじさん)」と呼ばれることもあります。

ホー・チ・ミンはどんな人?②:至る所に肖像画がある

ホー・チ・ミンは、日本人にとっては歴史上の人物ですが、ベトナム人にとっては今でも精神的な支柱となっています。そのため、ベトナムのさまざまな施設には、ホー・チ・ミンの肖像画が掲げられています。

学校の正面に必ずあるホー・チ・ミンの肖像画

ベトナムの街中を歩いていて、ホー・チ・ミンの影響力を強く感じさせるのが学校です。小学校、中学校、高等学校、大学と、ほとんどの学校の正面に大々的に飾られているのが、ホー・チ・ミンの肖像画です。校舎のなかではなく外に飾られており、生徒たちを見守っているように配置されています。学校では、ホー・チ・ミンに関する授業は必須。「建国の父」として神聖化する教育が行われています。そのため、10歳に満たない子どもであっても、ホー・チ・ミンについての基本的な知識は持っています。

北部と南部で微妙に異なるホー・チ・ミンの位置づけ

ベトナム戦争期、ホーチミン市などがある南部は、基本的にホー・チ・ミン側の陣営。しかしながら、ハノイ市がある北部は、アメリカの支援を受けた敵陣営でした。戦争を通じてベトナムは南北で分断していたため、終戦後は「南北統一の象徴」として、ホー・チ・ミンを神聖化する教育が徹底されてきました。しかしながら、北部出身者のなかには、ホー・チ・ミンに対する思い入れがそれほど深くない人もおり、それをこっそり打ち明けられることもあります。ただ、それをベトナム人のまえでオープンにすることはありません。

ホー・チ・ミンはどんな人?③:霊廟は神聖な参拝スポット

ホー・チ・ミンが独立運動の拠点としたのは旧サイゴン(現ホーチミン市)。しかし、どういうわけか、ホー・チ・ミンの遺体を安置している霊廟はハノイ市内にあります。

ホー・チ・ミンの「遺体」は永遠に存在

ホーチミン廟が作られたのは1975年9月2日。建国記念日にあたる日です。霊廟はハスの花を模ったデザインで、すべて大理石でつくられた豪華な建物です。霊廟のなかには、ガラスケースに入れられたホー・チ・ミンの遺体が安置されています。永久保存処置を施されている本物の遺体とされていますが、ベトナム人のあいだでも「本物」「偽物」の2説に分かれています。

厳しい見学規則があるホーチミン廟

ホーチミン廟は、多くのベトナム人にとっての神聖な場所であり、ホーチミンの命日である9月2日になると、ベトナム全土から多くの参拝者が訪れます。海外旅行者の観光スポットのひとつでもありますが、自由に見学できるわけではありません。霊廟の内部の写真撮影は禁止。カメラのみならず私物を持ち込むことも許されていません。また、飲料も未開封であっても持ち込み禁止。肌の露出の多い服装や、サングラス・帽子の着用もNGです。ベトナム軍の厳重な管理下にあり、見学規則を破ると退場させられるため注意が必要です。

まとめ

ベトナムの歴史教育は、現在の国家を正当化することに重点化されているため、その内容が偏っていることは事実。最近は、海外留学やネットの情報収集などで、別の歴史観に触れているベトナム人もいますが、それを大っぴらに言うことはできません。ホー・チ・ミンについても、基本的にみんな建国の父として尊敬する立場をとっています。そのため、自分の考え方と違うなと思うことがあっても、議論はせずに認めたほうがいいでしょう。

執筆者:ひこすけ

大学にて10年間勤務したのち、ベトナム現地企業にて、地方中小企業の販路拡大支援に従事する。大学では留学生、ベトナムでは現地スタッフ指導経験あり。日本語教育にも関わっていました。現在はライターとして活動中。

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