在留資格移行のための準備

在留期間5年の特定技能外国人を、さらに介護施設で長期に雇用し続けたい場合には、「特定技能1号介護」から在留資格「介護」へ移行を検討するのも採用計画を設計する上のポイントの1つです。

在留資格「介護」の取得条件は、介護福祉士資格が必須となります。

在留資格「介護」への勧めは、外国人介護福祉士を育成することや介護福祉施設で長期就労できる外国人を確保するため、または特定技能外国人のキャリアパス支援となります。

人手不足の介護福祉施設で人材確保もままならない状況では、外国人のキャリアに踏み込んだ支援まで及ばないこともあるようですが、日本に定住して介護福祉士を目指す前向きな外国人に対しては、その意思を尊重するようなサポートが受けられることが期待されています。

在留資格「介護」とは?

在留資格「介護」は、外国人が日本の介護現場で働くことができるための資格です。

日本の介護業界の人手不足を解消するために2017年9月よりスタートした新しい在留資格です。

2020年4月1日に在留資格「介護」の法令が改正され、介護福祉士の資格を取得したルートにかかわらず在留資格「介護」が認められることとなり、外国人が介護業界で働くことのできる間口が広がって来ています。

従来では在留資格「介護」を取得するためには、介護福祉養成施設ルートのみ在留資格「介護」が許可されていましたが、、現在は取得ルートの制限がなくなっています。

特定技能外国人が在留資格「介護」へ移行できるルート

外国人が在留資格「介護」へ移行できるルートは、養成施設ルートと実務経験ルートがあり、特定技能外国人の場合は実務経験ルートを得て在留資格「介護」への移行が可能となります。

在留資格「介護」の取得条件が、実務経験3年となっていますので、「特定技能1号介護」で介護福祉施設で働くことができる5年間に、介護福祉士の資格を取得し、特定技能の在留期間内に在留資格「介護」への移行が可能となります。

また、3年間に技能実習2号を良好に修了した者は、特定技能1号への移行し、在留資格「介護」へのルートを進むことも可能です。

養成施設ルートでは、留学生が介護のアルバイトをしながら介護福祉士の資格を取り、卒業後に在留資格「介護」へ移行し就職するケースが大半です。

・養成施設ルート

介護福祉士養成施設で2年以上学習 → 介護福祉士を取得 → 介護施設へ内定 → 在留資格取得 → 実務へ

・実務経験ルート

実務経験3年 → 介護福祉士を取得 → 介護施設と雇用契約 → 在留資格「介護」に移行 → 実務へ

介護福祉士の資格の合格基準は?

2021年1月に実施された介護福祉士国家試験では合格率71.0%。

筆記試験は、総得点125点に対し、得点75点以上で、1科目群で最低1問は正解することが合格基準となります。

実技試験は1 総得点100点に対し、得点53.33点以上。

(※合格基準は、毎年総得点の60%程度を基準に、各年ごとに問題の難易度によって変更されます。)

在留資格「介護」に必要な日本語能力は?

介護福祉士の資格試験は、専門的な日本語による試験であるため、外国人に求められる日本語もN2以上の能力が必要となります。

日本語能力N2 レベルとは、日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができることです。

在留資格「介護」の在留期間と家族帯同

特定技能「介護」では通算5年間の在留資格でしたが、在留資格「介護」では、在留期間の更新は必要ですが制限がないため、介護業界での就労が長期で雇用ができるメリットがあります。

また、在留資格「介護」では、特定技能では認められていない【家族帯同】の条件が許可されているため、日本に定住化を希望する外国人で介護業界の働き手となる人材の確保が可能となります。

在留資格「介護」で可能となる業務内容

在留資格「介護」では介護福祉士の資格を取得することによって「特定技能1号介護」での業務内容よりも業務の幅が広がります。

特定技能外国人が在留資格「介護」に移行するまでの準備期間として、5年間にしっかり介護分野での実務を経験し、さらに将来の目的としてスキルアップに繋がる介護福祉士のための学習と在留資格「介護」の取得は、外国人のモチベーション向上により良い影響をもたらすでしょう。

●「特定技能1号介護」の外国人が出来る業務内容

身体介護、支援業務(レクレーションや機能訓練の補助のみで、訪問看護は対象外となっています。

●介護福祉士の主な業務内容

身体介護、生活援助、メンタルケア、介護相談や指導サポート、チームマネジメント、報恩看護等となります。

在留資格「介護」の外国人が採用できる就労場所

特別養護老人ホーム/有料老人ホーム/介護老人保健施設/介護療養型医療施設

サービス付き高齢者向け住宅/グループホーム/デイサービス/デイケアサービス

在留資格「介護」取得の申請方法

以下の提出書類を出入国在留管理庁に申請手続きを行います。

・在留資格変更許可申請書  1通

・写真4×3  1枚

・パスポートの提示

・在留カードの提示

・介護福祉士登録証(写し)  1通

・労働者に交付される労働条件を明示する文書  1通

・派遣契約に基づいて就労する場合、労働条件通知書(雇用契約書)等) 1通

・契約機関の概要を明らかにする文書 1通

・技能移転に係る申告書(※在留資格「技能実習」からの資格変更の場合のみ必要)

まとめ

介護業界での就労を希望する外国人に向けて、さらに長期雇用に繋げるための方法として、「特定技能介護」から在留資格「介護」への移行ルートについて説明いたしました。

介護業界での外国人の就労が定着することと、外国人のキャリアプランに繋がる方法がよりよく進められるように、外国人の在留資格についても検討していくことが必要となるでしょう。

この記事を書いた人

shyu

海外在住ライター/ネパール国籍の配偶者と日本国籍の息子と日本人の私の3人家族。カトマンズに12年暮らす。 海外に住むということは、国籍はもちろん生まれも育ちも違う者どうしが、なんらかの関係性を保ちながら生きる修行をしているようなもの。 今後、日本で暮らし働く外国人が増えて行くことが予想される中、その動向を外国人の心情に寄り添った視点で発信していきたい。

ユアブライトのサービス紹介資料を無料ダウンロード

資料をダウンロードする