2021.04.12
海外事情
留学ブームから特定技能へ~ネパールの日本語学校事情

日本が必要としている外国人労働力の中には、ネパール人人材の雇用の流れも大きな役割として位置付けされています。現在、在留資格を持つ外国人労働者の中で中国・ベトナム・フィリピンに続いてさらに今後日本の労働力として期待されている人材です。

出入国管理庁の在留外国人の統計表から見ますと、2020/12月の在留資格/特定技能で入国しているネパール人の数は49名とまだ少人数で受け入れを開始したばかりだということがわかります。特定技能に比べると在留資格/留学生の方が24812名と人数が多く、すでに日本在住中のネパール人留学生の中から特定技能移行への動向も見られます。また、特定技能は「留学生30万人計画」による影響で日本で停滞しているネパール人留学生のよりどころにもなっています。

※「留学生30万人計画」→グローバル戦略の一環として策定された政策です。2020年までに各国からの留学生を30万人の数値を目指して設けられた政府の計画です。

ネパールの留学ブームの背景について

2008年に日本政府によって公表された「留学生30万人計画」により当時、ネパール国内では日本へ働きに行ける絶好のチャンスとばかりにFMラジオやあらゆるメディアを使って在留資格/留学生の告知が広がり、応募者や希望者が殺到しました。

現在、ネパールの首都カトマンズにある日本語学校はおよそ推定500件以上。その大半が当時の留学ブームに乗って始まった日本語学校であり、今現在も同様に留学生を送り続けている学校や他の在留資格での送り出し、またはコロナ禍で失業した学校も中にはあります。

当時の留学生送り出しの流れには、現地ネパールの日本語学校と日本国内の日本語学校による連携によって進められ、そこは留学志望者のための語学学校の運営というよりもビジネス熱の高まった留学仲介業へと展開して行く一面もありました。

数合わせの留学生とその後の特定技能への対応

「留学生30万人計画」は2020年を待たずに達成した形となり、在留資格/留学生に替わって2019年に政府が新たに公表したのが在留資格/特定技能です。この新しい在留資格の公表と共に、留学生に対して学業に専念することを前提に28時間以上のアルバイトを禁止する法令が出されました。この法令によって違法労働をしたネパール人留学生たちや入国管理局から理由なしの国外退去命令を受けたネパール人留学生が多数出ています。留学生30万人達成とともに国の方針が替わり、特定技能に合わせた流れになり始めるとネパール人留学生の中には日本社会で生きて行くことが難しくなってしまった人も多く見られます。

また、特定技能による現地送り出しに関しては、新しい送り出しのシステムが一貫しておらず、ネパール現地の日本学校では、各学校ごとに特定技能に関しての認識が異なり、コロナ禍の影響も加えて、送り出しは流れは遅れ気味となっています。

ネパール日本語学校の現状

留学ブームが終わって特定技能への認知度がネパール国内で高まりつつある今、「留学生30万人計画」のその後に対して、各メディアから賛否両論や課題などが発信されていますが、ネパールの日本語学校と日本国内の日本語学校、在日ネパール留学生や帰国した元ネパール人留学生とその家族らの現状から推測してみますと、かれらがこの一連の計画によって得たものは一過性の満足であって、継続して得られる成果物とはなっていないように見受けます。今となっては多方面で課題が山積みとなっている状態が続き、ネパールと日本の政府間から個人レベルの問題まで広がっています。

ただし、国内より海外での就活希望者が多いネパールでは、日本を含めて海外での就活を進めるために必要な仲介業として日本語学校の需要を高く、ここを通らずには海外への就活は難しい現状です。

「留学生30万人計画」から学ぶそれぞれの意識改革

在留資格/留学生を活用した計画の展開から、報われない今を生きている人たちが多方面に存在しています。新たに設けられた在留資格/特定技能では、路頭に迷っている留学生と同じような犠牲者を出さないことを望まれています。

そこには、各関係者がそれぞれの立場でできる最大限の意識改革が必要とされ、そしてネパール人が日本で長期で働ける環境を確保できるためには、日本に長く住んでいる永住者・定住者などの在留資格を持ったネパール人のアドバイスが大きな要となり、日本で働くネパール人の意識改革に影響力を持つことでしょう。(在日ネパール人の在留資格/永住者5033名、定住者885名、日本人配偶者1010名、永住者の配偶者716名)

現在コロナ禍による影響も加わって、ネパールから日本への流れが更に滞っている現状ですが、ネパール国内での就活希望者よりも、日本を含めて海外を目指すネパール人は増加傾向にあり、殺到する日本行き希望者に対しては、日本とのマッチングを目指すネパール国内の日本語学校が、各学校ごとの運営法や理念にそって独自の方法を模索しながら進めている現状です。

執筆者:shyu

海外在住ライター/ネパール国籍の配偶者と日本国籍の息子と日本人の私の3人家族。カトマンズに12年暮らす。 海外に住むということは、国籍はもちろん生まれも育ちも違う者どうしが、なんらかの関係性を保ちながら生きる修行をしているようなもの。 今後、日本で暮らし働く外国人が増えて行くことが予想される中、その動向を外国人の心情に寄り添った視点で発信していきたい。

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