2021.05.30
ベトナム
ベトナムの海外労働者送り出しの歩み

ベトナムの海外労働者の送り出し

ベトナム経済の転換期は1986年のドイモイ政策に始まり、東西冷戦が終結されると市場経済への移行は1991年以来、本格的な始動となっています。

ドイモイ路線からの海外への労働者の送り出しは、政府間から民間に移行することによって企業が軸となる事業がスタートしています。

この新制度においては、政府の認定する機関が労働者からの手数料を徴収し、海外の市場開拓と国内での人材育成や技術訓練、派遣、人材管理など、ベトナム人労働者の採用から送り出しまでの工程を一貫して請け負う体制ができるようになりました。

新しい制度による事業は、ベトナム市場経済化に活力を与える方向へと進み、ベトナム人労働者は世界40カ国へと国際移動しています。

ベトナムにとって1990年代に入ってからの経済活動では、近代化・工業化に向けた国のビジョンと、それに貢献するベトナム人労働者のためのグローバル化に最も重要な時期を迎えています。

また、新制度による転換期は、ソ連崩壊などの国際情勢の変化と、それに伴う受け入れ国であるソ連・東欧諸国からのベトナム人労働者の帰還の流れがあり、その後、東欧諸国に次ぐ海外労働市場の新規開拓地として、日本・韓国・台湾・ラオス・マレーシアなどの諸外国へ積極的にベトナム人を送り出し始めた時期となります。

特に、台湾・韓国・日本は、2012年から2016年までに、ベトナム人労働者の受け入れ国として首位となる主要国であり、海外労働者全体の86%を占めています。

海外への労働者送り出しはベトナム経済の発展に関わる対策として位置付けられ、その目的は国内での失業率を下げること、国民所得の増加率を高めること、また国内の貧困対策にも重要な役割を占めています。

国の発展と共に、民間による送り出し機関が機能し始める一方では、労働者からの高額手数料の徴収や雇用先からの失踪、不法就労などの問題も増え、これらに対して受け入れ国では対処策を講じ、送り出し国べトナムでは、法改正をを繰り返しながら制度の拡充を図って来ています。

国際移動するベトナム人労働者に対して、国によって政策や状況が異なる中でも同様な問題が生じる場合も見られ、韓国や台湾での経験はベトナム人受け入れ国・日本にとって参考になる経緯が含まれています。

日本へのベトナム人労働者送り出し

1990年、非熟練外国人労働者を受け入れる研修制度が設けられ、1993年、技能実習制度の創設により日本の技術移転を目的とした外国人受け入れがスタートしています。

技能実習制度は、その目的と実質的な制度との隔りによって2009年入国管理法の改正とともに、技能実習生に負担となる保証金等が禁止されることが定められ、不法労働や失踪問題に関して対処策が実施されています。

1992年、ベトナムは、研修生・技能実習生の受け入れにJITICOとMOLISAの間でR/D締結をし、2006年、ベトナムは中国に次いで二番目に多い技能実習生送り出し国となり、1992年から2010年の間におよそ52,000人のベトナム人が派遣されています。

2008年には、今までの一般労働者から高度な人材に対応する制度として、日本ベトナム経済連携協定が調印され、初めてベトナム人看護師と介護福祉士を日本へ送り出す仕組みがスタートしました。この協定は、ベトナムと日本両国の貿易拡大・経済連携の強化・投資活動を進めることを目的に交わされた二国間EPA です。

技能実習制度によるベトナム人の流れは、法務省の統計において増加の数値を示し、一方ではベトナム人労働者の背景にある問題から起こる失踪事件も増えています。

送り出し以前にかかった高額費用や帰国後の失業問題などは失踪率も高める要因となり、受け入れ国日本と送り出し国ベトナムの間に組み込まれている要素について指摘事項は散乱しています。

2017年、日本政府とベトナム政府は協力覚書MOCを締結。従来の技能実習制度では民間の受け入れ機関とJITCOとベトナム政府との連携に対して法的な効力を持つ基準がなかったため、協力覚書の署名により仲介者の問題点を排除し、認定された機関だけによる受け入れが可能になりました。

2019年、技能実習制度に次に新しく設けられた特定技能は、同一の職業内での転職が可能となる在留資格です。2020年末には特定技能ベトナム人の在留数が最も多く、コロナ禍による影響もある中、将来的に特定技能ベトナム人は増加すると注目されています。また、すでに日本に在留中で母国に帰国できない技能実習生や雇用先からの解雇、技能検定が受検できない外国人に対して特定活動への変更や特定技能への移行などが申請可能となり、在留ベトナム人の在留資格変更の流れも現在進行中です。

ベトナム人労働者は、国の経済の発展とともに豊富な労働力として海外へ広がっています。ベトナム経済の転換期を支えたベトナム人労働者は、ベトナムの歴史と文化、習慣を抱えながら海外就労のために歩んで来ています。

ベトナムの経験や諸外国とベトナムとの連携は、外国人受け入れ国として学ぶことは多く、日本とベトナムが継続して協力していくために概要とポイントを抑えておくことは意義のあることとなるでしょう。

執筆者:shyu

海外在住ライター/ネパール国籍の配偶者と日本国籍の息子と日本人の私の3人家族。カトマンズに12年暮らす。 海外に住むということは、国籍はもちろん生まれも育ちも違う者どうしが、なんらかの関係性を保ちながら生きる修行をしているようなもの。 今後、日本で暮らし働く外国人が増えて行くことが予想される中、その動向を外国人の心情に寄り添った視点で発信していきたい。

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