ネパールでは日常生活に必要なライフラインがめちゃくちゃなため、がっかりするようなことが日常茶飯事で起こります。

ネパール人は、このがっかりするような生活に慣れていて、たいていのトラブルに真正面から向き合わずスルーするのが得意です。

停電や電気トラブルに慣れているネパール人と外国人との大きな差は、がっかりした回数と経験の違いで、その差を埋めるためにも外国人は、がっかりを繰り返しながらネパールに慣れて行くことになります。

トラブル慣れしてくると諦めも早くなり、このような習性はネパールで生活して行くためには持っていたい必須スキルとなります。

今回は、停電や電気トラブルの多いネパールの電気にまつわる生活事情についてご紹介します。ネパールらしいごちゃごちゃした日常雑話をお伝えいたします。

停電が続くと使う道具が代わる

ネパールの停電事情はかなり改善されて来て、ほぼ一日中電気が使える生活ができるようになっています。毎日10時間以上の停電があった頃は、電気がある時とない時にやる仕事を分けて生活していました。

当時は計画停電表が定期的に公表されていましたが、ネパールですから計画表通りには稼働していませんでした。

停電が10時間以上毎日続くと、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、PC、充電器、電気ストーブ、扇風機、電気調理器など生活に便利な電化製品は便利品としての価値がなくなり、使えない電化製品はただの置物となります。

またネパールの電圧は安定していないため、掃除機が使えない時や洗濯機が作動しない場合もあります。電圧不安定な日が続くと電化製品の寿命が短くすぐ壊れてしまい、ますます電化製品に魅力を感じなくなっていきます。

停電の時に発電機を活用するという方法もありますが、停電が多すぎると発電機自体の充電が追い付かないことや、発電機では掃除機・洗濯機・冷蔵庫など電力使用量の多い家電製品は作動しないため、発電機の使い方にも工夫が必要になります。

停電が続くと暮らしに必要な道具選びも代わってきて、電気が無くても変わらず使えるほうきやぞうきん、薪や釜戸、洗い桶、ガス対応の製品などが重宝な道具になっていきます。

電気が使えないことに慣れて行く

暗くなってから停電になると窓から見える夜景が一段と暗くなります。発電機やろうそくを活用して明かりを確保して夜を過ごします。ろうそくの灯火は、一時の雰囲気作りには効果的ですが、日常生活に使う明かりとしては物足りない感じはあります。

夜の停電は、そのまま復電せずに朝まで続くこともあり、そういう日は適当にご飯を食べて早く寝るようになります。ネパール人の家では、普段から電力の弱い電球で夜の明かりを灯しているお宅も多く、普段から太陽のまぶしさや明るい照明を苦手とする人もいます。

停電がよくあるネパールでは、電化製品なしの生活や夜は早く寝るというライフスタイルの方が合っていて、その方がストレスのたまらない生活となります。

停電とガスボンベ不足

ネパールの生活必需品はインド輸入品に頼っているため、頻繁に起きるネパール・インドの国交封鎖によって調理や暖房機器に必要なガスボンベが手に入らなくなることがあります。

通常であれば、ガスボンベを注文すれば即時配達が可能ですが、ガスボンベ不足の時には知り合いの伝手を使って遠くの店からやっと1本購入できる、または手に入らない時期が続きます。

ガスボンベが手に入らない時にバカ売れした電気調理台は、これまた停電になると使えないという欠点もあり、結局ガスボンベも電気もなければ、釜戸と薪でごはんを作ることになります。

あれが無いこれが無い、あっても使えないという苦渋が続くと、旧式に戻って対応するようになり、自然の成り行きに任せるような暮らしに戻って行きます。

配線工事はネパール式だから…

電線がショートして爆発したり、家の配線がぐちゃぐちゃで誤作動が起きたり、ブレーカーが良く落ちたり、雷がなると問題が起きたりと電気事情がよろしくないネパールです。

ネパールの電気工事士の大半が、専門的な技術を持っていないため、家の中で電気トラブルが起こった場合に工事依頼するにも躊躇しがちになります。

ネパールでは、電気分野以外でも、専門知識のある人はどんどん海外へ働きに行ってしまって、国内に残っている人の中から腕の良い職人を探すのはとても難しくなっています。

電気の不良工事では、感電や爆発で事故も多く、ネパール人の安全管理への意識も低く、命に係わることでさえ無頓着である人が多く見られます。

キレイで怖い電気

歌舞伎町の明るさに比べると、しんみりとしたネパールの電気の明るさには風情があります。停電も多く、夜の電力使用量も少な目なネパールの夜には、太陽のサイクルに合わせたライフスタイルと、少ない明かりを使って一家団欒の時間を過ごすような懐古的な暮らしが続いています。

節約モードの夜の過ごし方も、一年に一度の明かりの祭典ティハールの時期には、家の壁面にイルミネーションを飾って祭りを祝い、いつもと違う明るい夜を満喫しています。

特に子供たちや女性が好むイルミネーションのきらきらは、停電や節電モードの暮らしから解放されて、華やいだ気持ちにさせてくれるという良さがあり、ネパール人はティハール祭りにはいつもより気分が高揚した時間を過ごしています。

ティハールの前日は、イルミネーションの飾り付けのために各家庭を走り回る電気屋さんの繁盛期です。ただ、ネパールの配線工事は適当いい加減なので電気屋さん曰く、軽い感電もありながら取り付けていると言う話も聞こえてきます。

さいごに

生活に必要なものが使えなくなると、人は工夫したり諦めたりするものだとネパール人のライフスタイルから学ぶことは多くあります。

電気が無かったり常に不安定な状況のネパールでは、わずかな電力を使って暮らせる知恵が育ち、突発的な停電でも、まあ仕方ないなあと言いながら坦々と生活できるようになります。

ネパール人の暮らしは、自活能力が高まるような環境の中で、先進国の人たちとは異なる習性が育ち、これを国民性と言ったりしているのでしょう。

この記事を書いた人

shyu

海外在住ライター/ネパール国籍の配偶者と日本国籍の息子と日本人の私の3人家族。カトマンズに12年暮らす。 海外に住むということは、国籍はもちろん生まれも育ちも違う者どうしが、なんらかの関係性を保ちながら生きる修行をしているようなもの。 今後、日本で暮らし働く外国人が増えて行くことが予想される中、その動向を外国人の心情に寄り添った視点で発信していきたい。

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