建設分野における特定技能外国人の受入れ制度は、平成31年4月より開始されており、 現在、受入れが認められた18職種で特定技能1号評価試験が実施されています。

特定技能の在留資格を取得するためには、日本語試験に合格することに加えて、特定技能評価試験に合格することが必要です。技能試験は、職種や業種ごとに異なる日程と場所で実施されます。

しかし建設分野では、技能実習2号を修了した技能実習生が特定技能1号にそのまま移行するケースがほとんどで、特定技能制度が開始されてからも人気の無い業種でした。

建設業界は常に人手不足で悩まされていますがその理由として以下のことが考えられます。

・過酷な労働環境を危惧し希望者が集まらない

昨今の働き方改革により、労働環境の整備は進んでいますが「週休2日制が整っていない」、「長時間の肉体労働がきつい」、「命に関わる危険な現場環境で働くのはいやだ」などのイメージから、そもそも希望者が集まらない事態になっています。

・昔ながらのマネジメントスタイルが合わず、人材が定着しない

就業者の約3割が55歳以上とも言われる同業界では、「仕事は見て覚えろ」、「若手は就業時間よりも早く出て掃除をしろ」などの昔ながらの教育法が実践されることも多く、なかなか若年層は定着しないという事態が発生しています。

そんな中、建設分野では初の特定技能1号評価試験が国内、国外それぞれで実施されました。

国内での特定技能試験の実施状況

建設分野で特定技能外国人として日本で就労するために必要な、特定技能1号評価試験について、『鉄筋継手』、『土工』の試験区分において、それぞれ2020年8月28日(金)、9月15日(火)に国内で実施されました。この試験は、建設分野では初の特定技能1号評価試験となりました。

また、2020年12月4日には東京で「トンネル推進工」の試験が、15日には東京で「電気通信」の技能試験が実施されました。

海外での特定技能試験の実施状況

2020年3月にフィリピンでの初の特定技能1号評価試験が予定されていましたが、新型コロナウイルスの影響で延期となってしまいました。 

そんな中、2021年3月23日にベトナムの首都ハノイ市内で初めて特定技能1号評価試験が行れたのです。この日は建設分野の「鉄筋施工」の職種が対象で24人が受験しました。今後は別の国や地域での受験も期待したいところです。

出入国在留管理庁によると、特定技能で日本に在留する外国人は2020年12月末時点で約1万6000人でした。国籍別ではベトナムが全体の6割を占めていましたが、その実態は日本での技能実習2号修了者からの切り替えが大半でした。

2019年4月に特定技能の制度は創設され、日本政府は当初、人手不足が深刻な建設業界は、特定技能制度開始から5年間で最大4万人の受け入れ目標にしていました。しかし、ベトナムは日本との運用面での調整に時間がかかり、試験実施が大幅に遅れてしまったのです。2019年7月になって、ベトナムと日本は特定技能の制度に関する覚書を交わし、制度設計の協議をようやく開始させました。

ただ外国人の送り出しで最も期待していたベトナムとの交渉が遅れた上に、新型コロナウイルスの流行も重なり、建設業では642人の受け入れしか進んでおらず、当初の計画を大幅に下回っています(2020年9月末現在速報値)。

まとめ

この度2021年3月23日にベトナムで特定技能試験を受けた24人のうち、合格者は7月にも日本の求人企業と採用手続きを始め、年内にも日本での就労を開始する予定でした。

しかし、2021年3月18日、外務省から新たな水際対策の案内が出され、当初、緊急事態宣言が解除されるまで停止と言われていた「ビジネストラック」、「レジデンストラック」の一時停措置でしたが、当分の間つづくことになったのです。

停止される措置としては、「ビジネストラック」、「レジデンストラック」、すべての国・地域からの新規入国、すべての国・地域への短期出張からの帰国・再入国時における特例措置、ということです。

 現在「特段の事情がある」として日本に入国できるのは、「再入国許可・みなし再入国許可で再入国する外国人」、「特に人道上配慮すべき事情があるときなど、個別の事情に応じて特段の事情が認められるもの」とかなり限定されています。

最近はコロナウイルス変異株流行地域も増えてきていることから、特定技能1号の在留資格をもって入国することは、もう少し先の話しになりそうです。

この記事を書いた人

gaoling

2017年に行政書士事務所を開業。申請取次行政書士として、外国籍の方の在留資格手続きやコンサルティング業務を専門とする。 顧問先には外国人留学生が通う専門学校もあり。

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