外国人受入れ・教育
ベトナム人の名前の意味と由来|苗字ランキングTOP10と正しい呼び方ガイド
ベトナム人材の採用やコミュニケーションの場面で、相手の名前の構成や意味を理解しておくことはビジネスマナーの第一歩です。しかしながら、ベトナム人の名前は「姓・ミドルネーム・名」の三要素で構成されており、日本人にとってはなじみの薄い仕組みも多く存在します。呼び方を間違えると失礼にあたるケースもあるため、正しい知識を身につけておくとよいでしょう。そこで、ベトナム人の名前の意味・由来から苗字ランキングTOP10、ビジネスシーンでの正しい呼び方まで、採用担当者・管理者が押さえるべきポイントを解説します。
ベトナム人の名前の基本構造①:姓・ミドルネーム・名の3要素
ベトナム人の名前は、日本の「姓+名」というシンプルな構成とは異なり、3つの要素から成り立っています。この構造を正しく理解しておけば、書類の確認や日常のやり取りがスムーズになるでしょう。
姓・ミドルネーム・名の順に並ぶ
ベトナム人のフルネームは「Ho(姓)+ Ten dem(ミドルネーム)+ Ten(名)」の順に並びます。たとえば「Nguyen Van Anh」であれば、「Nguyen」が姓、「Van」がミドルネーム、「Anh」が名にあたります。日本語と同じく姓が先に来る点は共通していますが、間にミドルネームが入るという点が大きな違いです。
とはいえ、英語圏の書類では姓と名の順序が逆転して記載されることもあります。そのため、確認の際は注意が必要でしょう。
ミドルネームは性別判別にも使われる
ミドルネームは単なる飾りではありません。特に注目したいのが、性別の判別機能です。女性には「Thi(ティ)」というミドルネームがつくことが多く、男性には「Van(ヴァン)」が多い傾向にあります。
とはいえ、近年ではこうした伝統的なミドルネームを使わない家庭も増えてきました。そのため、ミドルネームだけで性別を断定するのは避けたほうがよいでしょう。あくまで傾向のひとつとして理解しておくと、採用書類の確認時などに役立ちます。
書類では姓名の記載方法がばらつきやすい
在留カードやパスポートなど実務書類では、名前の記載方法が統一されていないことがあります。書類によっては姓とミドルネームがまとめて「姓」の欄に記載されていたり、名とミドルネームが逆になっていたりする場合も少なくありません。
そのため、ベトナム人社員の書類を確認する際は、本人にフルネームの構成を直接聞いておくと安心です。特に給与明細や社会保険の届出では、姓名の記載ミスがトラブルにつながりかねないため、最初の段階で正確に確認しておくことをおすすめします。
ベトナム人の名前の意味と由来②:苗字ランキングTOP10
ベトナムの苗字には長い歴史と王朝の変遷が深く関わっています。日本とは異なり、ベトナムでは特定の苗字に人口が集中しているのが大きな特徴です。
グエン姓が全人口の約4割を占める
ベトナムで最も多い苗字は「Nguyen(グエン)」で、全人口の約4割を占めると言われています。この割合は他国に類を見ないほど圧倒的であり、背景にはベトナム最後の王朝・阮朝(グエン朝、1802年〜1945年)の影響があるでしょう。
ベトナムでは歴史的に、王朝が交代するたび旧王朝の姓を持つ人々が新王朝の姓に改姓する慣習がありました。阮朝が最後の王朝として長く続いたことで、「Nguyen」姓が爆発的に増えたと考えられています。
上位10姓だけで人口の大多数を占める
ベトナムの苗字上位10姓は、「Nguyen(グエン)」「Tran(チャン)」「Le(レ)」「Pham(ファム)」「Huynh/Hoang(ホアン)」の5つが代表格です。「Phan(ファン)」「Vu/Vo(ヴー)」「Dang(ダン)」「Bui(ブイ)」「Do(ドー)」も上位に入っており、これら10姓だけでベトナム全人口の大多数をカバーしていると言われています。
それぞれの苗字は、ベトナムの歴代王朝の名前と深い結びつきがあります。たとえば、「Tran(チャン)」は陳朝(1225年〜1400年)、「Le(レ)」は黎朝(1428年〜1789年)にそれぞれ由来すると言われています。苗字を通じてベトナムの歴史をたどれる点は、興味深いところでしょう。
同姓が多いのは王朝交代の改姓が原因
ベトナムで同じ苗字の人が多い最大の理由は、王朝交代のたびに改姓が行われてきた歴史にあります。日本の苗字が10万種類以上あるのに対し、ベトナムの苗字は100〜200種類程度しかありません。
一方、職場で同じ苗字の社員が何人もいるという状況は珍しくありません。そのため、ベトナム人社員を姓で区別しようとすると混乱が生じやすくなります。こうした背景から、ベトナムでは姓ではなく名で呼び合う文化が根付いている理由も納得できるでしょう。
ベトナム人の名前の意味③:男性名・女性名に込められた願い
ベトナム人の名前には、親が子どもに託す願いや美しい意味が込められています。名前の意味を知っておくだけでも、ベトナム人社員との会話のきっかけになるはずです。
花や宝石にちなむ女性名が多い
ベトナム人女性の名前には、花や宝石、自然の美しさにちなんだものが多い傾向があります。代表的な名前として、「Ngoc(ゴック)」は「宝石」や「玉」を意味し、高貴で美しい存在への願いが込められています。「Phuong(フオン)」は綴りによって「方角」や「鳳凰」を意味し、気品を感じさせる名前と言えるでしょう。
また、「Hoa(ホア)」は「花」、「Lan(ラン)」は「蘭」を意味するなど、植物に由来する名前も広く使われています。「Mai(マイ)」は旧正月(テト)を象徴する花として親しまれている梅の一種を指します。こうした名前の意味を話題にすると、相手との距離が縮まることも少なくありません。
徳や知性を表す男性名が目立つ
ベトナム人男性の名前には、徳や知性、強さといった理想的な人物像を表す意味が込められる傾向があります。「Duc(ドゥック)」は「徳」を意味し、人格的に優れた人物になってほしいという期待が込められているでしょう。一方、「Minh(ミン)」は「明るい」「聡明な」を意味するなど、同じ知性を表す名前でもニュアンスはさまざまです。
「Hung(フン)」は「英雄」を意味し、力強さへの願いが込められています。また、「Thanh(タイン)」は「清らかな」、「Tuan(トゥアン)」は「才能がある」という意味を持っています。名前の意味を尋ねることは、ベトナムの文化では自然なコミュニケーションのひとつとされています。
ベトナム人の名前の呼び方④:日本人が間違いやすい3つのポイント
名前の構造や意味を理解したうえで、実際の呼び方も押さえておく必要があります。日本の慣習とは異なるルールがあるため、知らないまま対応すると誤解を招くこともあるでしょう。
「姓」ではなく「名」で呼ぶのがベトナムの常識
日本では苗字で相手を呼ぶのが一般的ですが、ベトナムでは名(ファーストネーム)で呼ぶのが常識です。前述のとおり同じ苗字の人が非常に多いため、苗字で呼ぶと誰を指しているのかわからなくなってしまいます。
たとえば「Nguyen Van Anh」さんであれば、「Anh」と呼ぶのが自然です。「グエンさん」と呼んでも失礼にはなりませんが、複数のグエン姓がいる場合は混乱を招きかねません。そのため、最初から名前で呼ぶ習慣をつけておくことをおすすめします。ベトナム人の名前の覚え方についてさらに詳しく知りたい方は「 ベトナム人によくある名前や覚え方について解説 」の記事も参考にしてみてください。
敬称「Anh/Chi」を使うと信頼が深まる
ベトナム語には、日本語の「さん」にあたる敬称がいくつかあります。特に職場で使う機会が多いのが、「Anh(アイン)」と「Chi(チー)」の二つです。「Anh」は年上の男性や同年代の男性に対して使い、「Chi」は年上の女性や同年代の女性に対して使います。
こうした敬称を使いこなすことで、ベトナム人社員からの信頼を得やすくなります。もちろん、日本語の職場環境であれば「名前+さん」で統一しても問題ないでしょう。ベトナム語の敬称や基本フレーズについては「 ベトナム語の特徴とは?コミュニケーションのコツを解説 」の記事もあわせてご覧ください。
呼び方のルールは入社時に決めておくとよい
ベトナム人社員が複数いる職場では、呼び方のルールをあらかじめ決めておくことが重要です。本人の希望を確認したうえでルールを定めておくと、現場での混乱を防げます。
一方、ベトナム人社員のなかには、日本語のニックネームを自ら使っている人も少なくありません。そこで、入社時に「職場ではどう呼ばれたいですか」と確認しておくと、双方にとってスムーズなコミュニケーションにつながるでしょう。
まとめ
ベトナム人の名前は「姓・ミドルネーム・名」の三要素で構成されており、それぞれに歴史的な背景や文化的な意味が込められています。苗字には王朝の変遷が反映され、名前には親の願いが託されています。呼び方ひとつをとっても姓ではなく名で呼ぶ習慣があり、日本の常識をそのまま当てはめると誤解を招く可能性もあります。
名前の意味や正しい呼び方を理解しておくことは、信頼関係を築くうえで欠かせない基本知識です。文化の違いを尊重し、相手の名前に関心を持って接することで、職場のコミュニケーションがより豊かなものになるでしょう。ベトナム人の国民性や性格傾向についてさらに詳しく知りたい方は「 ベトナム人の特徴とは?性格・国民性を地域別にわかりやすく解説 」の記事も参考にしてみてください。





