特定技能の試験とは?業種別の特定技能評価試験の受験方法・免除条件・採用への影響を解説
特定技能の在留資格を取得するには、外国人材が「特定技能評価試験」に合格している必要があります。「試験の種類が多くて、何を確認すればいいか分からない」と感じる採用担当者の方も多いと思います。実は、試験の仕組み自体はシンプルです。分野ごとに対応した試験に合格していれば、在留資格の申請が可能になります。
この記事では、特定技能試験の全体像から、各業種の試験名・実施機関・合格基準・受験料の目安、試験が免除されるケース、採用スケジュールへの実務的な影響まで、受入れ企業の担当者が事前に把握しておくべき情報をわかりやすく解説します。
特定技能評価試験とは:2種類の試験要件
特定技能1号の在留資格を取得するためには、外国人材は原則として以下の2種類の試験に合格しなければなりません。
技能試験(業種別の特定技能評価試験)
各特定産業分野に対応した業務知識・実技能力を問う試験です。分野ごとに異なる業界団体・協会が実施機関となっています。試験の形式(筆記・実技・CBT方式など)、受験料、合格基準もそれぞれ違います。
日本語試験
以下のいずれかに合格している必要があります。
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic):A2レベル以上
- 日本語能力試験(JLPT):N4以上
どちらの試験も、受験地は日本国内だけでなく海外でも実施されています。候補者がまだ日本に来ていない場合でも、母国で受験できる可能性があります。
ただし、介護分野のみ、上記の日本語試験に加えて「介護日本語評価試験」への合格も必要です。介護現場では利用者との意思疎通が安全に直結するため、一般的な日本語能力に加えて介護特有の語彙・表現が問われます。
在留資格の種類と活動範囲については、こちらの記事 で詳しく解説しています。
業種別 特定技能評価試験の一覧
出入国在留管理庁の統計 によると、特定技能1号在留外国人数は2023年12月末時点で約20万8,000人に達しています。制度開始以来、一貫して増加しています。現在、特定技能の対象は16の特定産業分野に及んでいます(2023年に自動車運送業・鉄道・林業・木材産業が追加)。
以下に、主要分野の試験名と実施機関をまとめます。各試験の最新の日程・受験地・受験料は、各実施機関の公式サイトで必ずご確認ください。情報は変わることがあるため、常に最新情報をチェックするようにしましょう。
介護
試験の概要
- 試験名: 介護技能評価試験 / 介護日本語評価試験(業種固有の試験として2種類)
- 実施機関: 公益財団法人東洋システム科学研究所
- 受験料: 各3,000円(税込、2025年時点)
- 備考: 日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT)と合わせ、計3試験への合格が必要
ビルクリーニング
試験の概要
- 試験名: ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験
- 実施機関: 一般社団法人全国ビルメンテナンス協会
- 受験料: 約6,000円(試験区分により異なる)
- 備考: 試験区分は1区分
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
試験の概要
- 試験名: 製造分野特定技能1号評価試験
- 実施機関: 一般社団法人製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会
- 備考: 試験区分が多岐にわたるため、採用する職種に対応した区分をあらかじめ確認する必要があります
建設
試験の概要
- 試験名: 建設分野特定技能1号評価試験
- 実施機関: 一般財団法人建設業振興基金
- 受験料: 試験区分により異なる(概ね6,000〜11,000円)
- 備考: 11の試験区分あり。建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録も別途必要
造船・舶用工業
試験の概要
- 試験名: 造船・舶用工業分野特定技能1号試験
- 実施機関: 一般財団法人日本船舶技術研究協会
- 備考: 6つの試験区分あり
自動車整備
試験の概要
- 試験名: 自動車整備分野特定技能評価試験
- 実施機関: 一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
- 備考: 試験区分は1区分。道路交通法に関する知識も出題範囲に含まれる
航空
試験の概要
- 試験名: 航空分野特定技能1号評価試験(グランドハンドリング・航空機整備の2区分)
- 実施機関: 一般社団法人日本航空技術協会 / 一般社団法人日本空港ビルデング
- 備考: 試験区分は2区分
宿泊
試験の概要
- 試験名: 宿泊業技能測定試験
- 実施機関: 一般社団法人宿泊業技能試験センター
- 備考: 試験区分は1区分
農業
試験の概要
- 試験名: 農業技能測定試験(耕種農業・畜産農業の2区分)
- 実施機関: 一般社団法人全国農業会議所
- 備考: 試験区分は2区分
漁業
試験の概要
- 試験名: 漁業技能測定試験(漁業・養殖業の2区分)
- 実施機関: 漁業技能評価試験センター
- 備考: 試験区分は2区分
飲食料品製造業
試験の概要
- 試験名: 飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験
- 実施機関: 一般社団法人外食業の事業環境整備推進機構
- 備考: 試験区分は1区分
外食業
試験の概要
- 試験名: 外食業特定技能1号技能測定試験
- 実施機関: 一般社団法人外食業の事業環境整備推進機構
- 備考: コンビニエンスストアでの業務は対象外
自動車運送業・鉄道・林業・木材産業(2023年新設)
試験の概要
- 試験名: 各分野の特定技能評価試験(分野ごとに名称・実施機関が異なる)
- 備考: 2023年に新設された4分野。自動車運送業は一般社団法人全日本トラック協会等が実施機関。各試験の詳細は実施機関の最新情報をご確認ください
対象業種の詳細や各職種の業務内容については、 特定技能の対象業種一覧 の記事もあわせてご参照ください。
試験免除の条件
特定技能評価試験には、一定の要件を満たす場合に試験の全部または一部が免除される制度があります。候補者が免除対象かどうかは、面接や内定を出す前に確認しておきましょう。早めに確認することで、採用の手間を大幅に省けます。
技能試験・日本語試験の両方が免除されるケース
技能実習2号を良好に修了した場合
同じ業種・職種の技能実習2号を良好に修了した外国人材は、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。免除を受けるには、技能実習計画の遵守と、技能検定3級または修了認定を受けていることが必要です。
厚生労働省の外国人雇用対策情報 でも案内されているとおり、技能実習から特定技能への移行は多くの外国人材にとって主要なキャリアパスです。現在の特定技能在留外国人の中に、技能実習からの移行者が多数含まれています。この免除制度を活用できる人材を優先的に探すことは、採用コストを下げる一つの方法として効果的です。
技能試験のみ免除されるケース
一部の業種では、対応する国家資格または技能検定の保有者に対して技能試験が免除されます。主な例は次のとおりです。
- 介護: 介護福祉士の国家試験合格者
- 自動車整備: 自動車整備士1級・2級・3級の技能検定合格者
- 建設: 対応する職種の1・2級技能士(区分による)
- 飲食料品製造業・外食業: 調理師免許保有者(対象となる業務の範囲に限る)
業種・職種ごとに免除要件が細かく決まっています。採用予定の職種に対応する要件は、出入国在留管理庁の公式ページで最新の告示をご確認ください。
受験方法と採用スケジュールへの影響
申込手順と受験地
各業種の試験は、各実施機関の公式ウェブサイトから申し込みます。受験地は日本国内のほか、ベトナム・フィリピン・インドネシア・タイ・ミャンマーなど海外でも実施している分野があります。海外在住の候補者を採用する場合は、対象分野の海外試験の開催有無と日程を事前に確認することが大切です。
試験合格後、在留資格「特定技能1号」への変更申請(または認定申請)を経て初めて就労が可能になります。 外国人採用の流れ については別記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
採用スケジュールへの実務的な影響
採用内定から実際の就労開始まで、以下のステップと期間を見込む必要があります。
- 試験申込・受験: 試験スケジュールは業種ごとに違います。早めに情報収集しておきましょう
- 合格証明書の取得: 合格後、証明書の発行まで数週間かかる場合があります
- 在留資格変更申請: 申請から許可まで通常1〜3か月かかります
- 合格証明書の有効期限の確認: 多くの試験で合格から2年間が有効期間です。有効期限が切れていないか必ず確認しましょう
これらを踏まえると、採用内定から就労開始まで最短でも2〜3か月以上は見込む必要があります。海外在住の候補者が海外受験から在留資格認定を経て来日する場合は、さらに長くなることがあります。早め早めに動くことが成功のカギです。
受験料の目安
技能試験の受験料は分野によって違いますが、一般的に5,000〜15,000円程度です。雇用契約締結前の試験費用を企業が強制的に負担させることはできないため、候補者との事前合意が必要です。また、日本語試験(JFT-Basic)の受験料は7,700円(国内)です。
よくある質問
Q. 候補者がまだ試験に合格していない場合、採用を進めてもよいですか?
A. 採用選考は進められますが、在留資格の変更申請には合格証明書が必要です。内定を出す際に、受験予定の試験と受験日を確認しておくと安心です。試験の合否次第でスケジュールが変わるため、複数の候補者と並行して進めることも考えられます。
Q. 合格証明書に有効期限はありますか?
A. 多くの試験では、合格日から2年間が有効期間です。有効期限が切れる前に在留資格の申請を完了させる必要があります。候補者の合格証明書を確認する際は、必ず有効期限もチェックしてください。期限切れに気づかないまま申請しても受理されないため、注意が必要です。
Q. 試験はすべて日本語で実施されますか?
A. 多くの試験では、ルビ付きの日本語または多言語で出題されます。分野によっては英語・ベトナム語・インドネシア語・タガログ語・タイ語・中国語などで受験できるものもあります。各実施機関の公式サイトで対応言語を確認するようにしましょう。
Q. 技能実習2号修了者を採用する場合、試験免除は確実ですか?
A. 試験免除の要件を満たしていれば、試験なしで在留資格の申請が可能です。ただし、必ず「同じ業種・職種」の技能実習を修了していることが条件です。業種・職種が違う場合は、改めて対応する技能試験への合格が必要になります。書類を事前に確認して業種・職種の一致をチェックしておきましょう。
採用企業が押さえるべき実務ポイント
候補者の試験合格状況の確認方法
面接時または内定提示前に、以下の書類を確認することが重要です。書類の真正性が疑わしい場合は、発行機関への照会も可能です。
- 技能試験の合格証明書(実施機関が発行)
- 日本語試験の合格証明書(JFT-BasicまたはJLPTの合否通知)
- 技能実習2号修了者の場合は「技能実習修了証明書」
- 国家資格による免除を受ける場合は当該資格の証明書
登録支援機関を活用した手続きの効率化
特定技能外国人を採用する企業は、登録支援機関に支援計画の策定・実施を委託することができます。試験合格状況の確認から在留資格変更申請の代行・サポートまで、実務の多くを任せられます。初めての特定技能採用でも安心して進められます。
ユアブライトは登録支援機関(登録番号:19-登-000992)として、試験要件の確認から在留資格手続きの支援、入社後の生活オリエンテーションまで一貫して対応しています。17万人以上の外国人材データベースの中には、すでに特定技能評価試験に合格済みの即戦力人材も多数在籍しています。 外国人人材紹介サービスの詳細はこちら からご確認ください。
まとめ
特定技能試験について、この記事の要点を整理します。
- 特定技能1号の取得には、業種別の技能試験と日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)の2種類への合格が原則必要
- 介護分野のみ、これに加えて介護日本語評価試験への合格も必要
- 試験は16の特定産業分野ごとに異なる実施機関が運営しており、受験料・試験区分・合格基準がそれぞれ違う
- 技能実習2号を良好に修了した者は技能試験・日本語試験の両方が免除される
- 採用内定から就労開始まで通常2〜3か月以上は必要。早めの計画が大切
- 合格証明書には有効期限(多くは2年)があるため、証明書の取得日の確認が欠かせない
特定技能制度の活用を検討されている企業の担当者は、候補者の試験状況を早期に把握し、在留資格変更のスケジュールを逆算して採用計画を立てることが重要です。初めての特定技能採用や手続きでご不安な点があれば、 お気軽にご相談ください 。初期費用・運用費用0円の完全成功報酬型で、貴社の状況に合ったご提案をいたします。





