外国人材の採用を初めて検討する企業が最初にぶつかる壁が「どんな手続きが必要か、何を準備すればよいか」という不安です。特に、在留資格の確認漏れやハローワークへの届出遅延は、企業側に法的なリスクをもたらします。

この記事では、外国人雇用の手続きを採用担当者の実務視点で解説します。在留資格の確認方法からハローワークへの届出義務、必要書類のリストまで、初めての採用でもスムーズに進められるよう整理しました。就労可否の判断基準や現場でよくある失敗パターンも取り上げているため、採用前の確認用としてお役立てください。

外国人雇用を取り巻く法的枠組みと最新動向

日本における外国人労働者数は、2024年10月末時点で約229万人(厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ」)に達し、過去最多を更新し続けています。外国人材の採用は中小企業でも一般的な選択肢になりつつある一方、雇用手続きには複数の法令が絡みます。

採用担当者が最低限把握すべき主要な法令は3つです。

  • 出入国管理及び難民認定法(入管法): 在留資格の種類・就労可否・在留期間を規定。違反した場合は企業側も不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)の対象となる
  • 労働基準法・最低賃金法: 外国人労働者にも日本人と同等に適用。国籍を理由とした賃金差別は禁止
  • 外国人雇用対策法(雇用対策法第28条): ハローワークへの外国人雇用状況届出を雇用・離職の双方で義務付け。届出を怠ると30万円以下の罰則

2024年6月施行の改正入管法では、特定技能2号の対象分野が建設・造船の2分野から11分野(介護を除く)へ大幅に拡大されました。今後も制度変更が続く可能性が高いため、採用時点での最新情報確認が不可欠です。

在留資格全体の種類と仕組みについては、 在留資格の種類一覧 で体系的に解説しています。

雇用前に必ず確認する「在留資格」の種類と就労可否

外国人を雇用する際に最初に行う作業が「在留資格の確認」です。在留資格によって就労の可否・業種・時間に制限があり、確認漏れは不法就労助長罪に問われるリスクがあります。在留資格は就労可否の観点から大きく3つに分類されます。

就労制限なし(業種・業務内容を問わず就労可能)

  • 永住者: 在留期間の更新を繰り返して取得。フルタイム就労が可能
  • 日本人の配偶者等: 日本人との婚姻関係に基づく在留資格
  • 定住者: 日系3世・難民認定者など。就労制限なし
  • 永住者の配偶者等: 永住者との婚姻関係に基づく

上記4種類は「身分に基づく在留資格」と呼ばれ、日本人と同様の就労が可能です。

特定の業種・業務のみ就労可能

  • 技術・人文知識・国際業務: システムエンジニア・通訳・貿易業務・デザインなど
  • 特定技能1号・2号: 介護・建設・製造など対象14分野( 特定技能の14業種一覧 参照)
  • 技能: 外国料理のコックなど特殊な技能を要する業務
  • 高度専門職1号・2号: 研究者・高度技術者・経営者など

これらは「就労系の在留資格」と呼ばれ、許可された活動範囲を超えての就労は違法です。たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ人材を工場の製造ラインに配属することは、在留資格の範囲外となる可能性があります。

資格外活動許可が必要または就労不可

  • 留学: 原則として就労不可。資格外活動許可を取得した場合は週28時間以内(長期休業期間中は1日8時間以内)
  • 家族滞在: 資格外活動許可を取得した場合のみ、週28時間以内の就労が可能
  • 短期滞在: 就労不可(観光・商用ビザ)

在留資格の確認は在留カード(表裏両面)の現物確認が原則です。「就労制限の有無」欄と「在留期限」を必ず確認し、期限が迫っている場合は更新手続きの状況も本人に確認してください。

採用から入社まで5つの手続きステップ

図解:外国人採用手続きフロー(採用前確認フロー)

求人・面接 → 在留資格・就労可否の確認 → 内定・雇用条件の提示(書面交付) → 在留資格変更申請(必要な場合:1〜3か月) → 入社・ハローワーク届出(翌月末日まで)

以下、各ステップの実務ポイントを解説します。

ステップ1: 求人・面接

外国人材の求人には、日本人と同様の媒体(ハローワーク・求人サイト)に加え、外国人向けの人材紹介会社を活用する方法があります。面接では日本語能力・業務経験の確認に加え、現在の在留資格と有効期限を口頭で事前確認するとその後の選考がスムーズです。

ステップ2: 在留資格・就労可否の確認

書類選考の段階で在留カードのコピー提出を求めることが一般的です。前述の就労可否区分を確認し、雇用予定の業務内容と在留資格が合致しているかを判断します。判断が難しい場合は、出入国在留管理庁への事前照会または行政書士への相談を推奨します。

ステップ3: 内定・雇用条件の提示

外国人材に対する雇用条件の提示は、書面(雇用契約書)で行うことが重要です。厚生労働省は、外国人労働者に対して母国語での雇用条件明示を推奨しています。賃金・労働時間・休暇・就業場所・業務内容など、労働基準法第15条に定める事項を必ず書面で明記してください。

ステップ4: 在留資格変更申請(必要な場合)

現在の在留資格が就労予定の業務に対応していない場合、在留資格の変更申請が必要です。申請先は出入国在留管理庁で、審査期間は通常1か月から3か月程度かかります。申請中は原則として就労できないため、採用スケジュールには余裕を持った計画が必要です。特定技能への変更を伴う場合は、支援計画書の作成や登録支援機関との契約も必要になります。

ステップ5: 入社・ハローワーク届出

入社日以降、翌月末日までにハローワークへの外国人雇用状況届出を行います。届出の詳細は次のセクションで解説します。

外国人採用の全体的な手順については、 外国人採用の手順・フロー解説 もあわせてご覧ください。

ハローワーク届出と雇用保険加入の法定義務

外国人を雇用・離職させた場合、雇用対策法第28条に基づき、翌月末日までにハローワーク(公共職業安定所)への届出が義務付けられています( 厚生労働省:外国人雇用状況の届出 )。

届出方法は雇用保険の加入有無によって異なります。

雇用保険の被保険者となる外国人の場合

雇用保険の「被保険者資格取得届」または「被保険者資格喪失届」に外国人情報(在留資格・在留期間・国籍など)を記載して提出します。週所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる場合が対象です。この場合は外国人雇用状況届出書を別途提出する必要はありません。

雇用保険の被保険者とならない外国人の場合

「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」をハローワークに提出します。週所定労働時間が20時間未満のパートタイム・アルバイトや短期就労者など、雇用保険適用外となる外国人が対象です。

届出の際に記載・確認が必要な主な項目は以下の通りです。

  • 氏名(ローマ字表記)
  • 在留資格の種類
  • 在留期間の満了日
  • 国籍・地域
  • 生年月日
  • 資格外活動許可の有無(該当する場合)

届出を怠った場合、または虚偽の届出をした場合は、30万円以下の罰則が適用されます。入社直後の業務の忙しさから届出が翌月末日を超えてしまうケースが多く見られます。入社日を起点に期限をカレンダーへ登録する運用を導入することで、失念リスクを大幅に下げられます。

また、外国人労働者も日本人と同じ要件を満たせば、雇用保険のほか健康保険・厚生年金(社会保険)への加入が義務となります。「外国人だから加入しなくていい」という判断は誤りです。週30時間以上勤務など一般的な正社員・フルタイムのアルバイトであれば、国籍に関わらず社会保険適用の要件に当てはまります。

現場でよくある相談

「在留期間が2か月後に切れるが採用してよいか」

採用自体は可能ですが、在留期間満了日が入社後に到来する場合は更新申請の状況を必ず確認してください。更新申請中の場合、在留カードに「申請中」のスタンプが押印されており、在留期間満了後も最長2か月または申請結果の通知まで就労を継続できます。一方、更新申請すら行っていない場合は採用を一時保留し、更新手続きを優先するよう案内してください。更新申請の放置を把握せずに就労させた場合、企業側も法的リスクを負います。

「留学生をアルバイトで採用したい。資格外活動許可の確認は必要か」

必ず確認が必要です。留学生の在留カード裏面には「資格外活動許可欄」があり、「許可(原則週28時間以内)」などの記載がある場合に就労できます。この確認を怠り、資格外活動許可を取得していない留学生を就労させた場合、企業側が不法就労助長罪に問われる可能性があります。許可があっても週28時間の上限を超える就労は違法です。長期休業期間(夏季・冬季休暇など)は1日8時間・週40時間まで拡大されますが、学校が定める「長期休業期間」の証明書を取得しておくと安心です。

「特定技能で採用したいが、社内に知識がない。どこに頼めばよいか」

特定技能は在留資格変更申請・支援計画書の策定・出入国在留管理庁への定期届出など、他の在留資格より手続きが複雑です。登録支援機関に委託することで、これらの手続きを専門家に代行させることができます。 ユアブライトの外国人人材紹介サービス では、特定技能人材の紹介から登録支援機関としての入社後サポートまでを一括してご支援しています。

採用担当者が見落としやすいポイント

在留カードは現物確認が原則

コピーだけで在留資格を確認したと判断するのは不十分です。偽造在留カードのリスクもあり、 出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」サービス で有効性を確認する運用も推奨されています。採用時に現物を目視確認したうえで表裏のコピーを保管してください。

「就労制限なし」と「資格外活動許可取得済み」の混同

永住者・定住者の「就労制限なし」と、留学・家族滞在の「資格外活動許可取得済み」は全く異なります。在留カードの就労制限欄に「就労不可」「資格外活動許可書に記載された範囲内で就労可」などの記載がある場合は、フルタイム就労が不可能です。フルタイムで雇用したいのに週28時間制限の在留資格の人材を採用してしまうミスは、確認不足から生じます。

在留期間の期限管理の欠如

採用時点では問題なかった在留資格も、更新を忘れると失効します。在留カードの有効期限を人事システムに登録し、満了日の2〜3か月前にアラートが上がる仕組みを構築してください。本人任せにしていて失効後も就労させていたという事例は珍しくありません。

特定技能の所属機関変更届出の失念

特定技能外国人が入社した場合、企業(受入れ機関)側も出入国在留管理庁への定期届出(4か月ごと)および随時届出が義務付けられています。これを失念すると行政指導の対象になります。

実務チェックリスト:外国人雇用手続きの確認事項

採用担当者が入社前後に確認すべき事項を以下にまとめました。印刷して使用できます。

入社前の確認

  • [ ] 在留カード(現物)の表裏を確認し、コピーを保管した
  • [ ] 在留資格の種類と就労可否の区分を確認した
  • [ ] 就労制限がある場合、雇用予定業務との整合性を確認した
  • [ ] 在留期間の有効期限を確認し、更新手続き状況を本人に確認した
  • [ ] 資格外活動許可の有無を確認した(留学・家族滞在の場合)
  • [ ] 雇用契約書を書面で交付した(母国語での説明を推奨)
  • [ ] 最低賃金法・労働基準法を遵守した労働条件を設定した

入社後の確認(ハローワーク届出関連)

  • [ ] 入社日の翌月末日までにハローワーク届出の期限をカレンダーに登録した
  • [ ] 雇用保険の被保険者となる場合、資格取得届に外国人情報を記載した
  • [ ] 雇用保険対象外の場合、様式第3号(外国人雇用状況届出書)を提出した
  • [ ] 社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務を確認し手続きした

特定技能採用の場合の追加確認

  • [ ] 在留資格変更申請の審査期間(目安1〜3か月)を採用スケジュールに組み込んだ
  • [ ] 支援計画書を作成した(または登録支援機関に委託した)
  • [ ] 特定技能所属機関としての定期届出(4か月ごと)をスケジュール登録した
  • [ ] 登録支援機関の登録番号と委託契約内容を確認した

まとめ

外国人雇用の手続きは、在留資格の確認・ハローワーク届出・雇用保険および社会保険の適用という3つの柱を押さえることが出発点です。法令違反は企業にとって大きなリスクとなりますが、正しく手続きを踏めば外国人材は即戦力として長期的に活躍します。

本記事のポイントを整理します。

  • 在留資格の確認は「在留カード現物の表裏確認」が原則。有効期限と就労可否欄を必ずチェックする
  • 外国人雇用状況届出はハローワークへ翌月末日が期限。遅延・虚偽は30万円以下の罰則対象
  • 留学生の就労は資格外活動許可の取得が前提で、週28時間の上限がある
  • 特定技能採用は在留資格変更申請(目安1〜3か月)と支援計画書の作成が追加で必要
  • 手続きが複雑な場合は登録支援機関や行政書士への相談が有効

初めての外国人材採用で手続きに不安がある場合は、 ユアブライトへお気軽にご相談ください 。特定技能人材の紹介から在留資格申請・登録支援機関としての入社後フォローまで、一括してサポートします。電話でのご相談は03-6908-6143(受付時間:9:00〜18:00)まで。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ヤマシタハヤト

外国人材の採用について
お気軽にご相談ください

ベトナム人・ネパール人を中心とした特定技能人材のご紹介を行っています。
採用に関するご相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。

無料で相談する 資料ダウンロード