特定技能の費用はいくら?採用・申請・支援委託の相場を徹底解説
「特定技能制度を活用して外国人材を採用したいが、結局いくらかかるのか全体像がわからない」という声は、HR担当者や経営者からよく寄せられます。採用段階の費用だけを把握して動き出すと、入社後に想定外のコストが発生し、計画が崩れるケースも少なくありません。
特定技能外国人の採用にかかる費用は、人材紹介手数料・在留資格申請費・登録支援機関への委託費・社会保険料など複数のフェーズに分散しています。本記事では、採用から入社後の継続運用まで、コストが発生するタイミングと金額の目安をフェーズ別に整理します。採用予算の策定や制度導入の意思決定に役立ててください。
特定技能の採用にかかる費用の全体像
特定技能外国人を受け入れる際に発生する費用は、大きく4つのカテゴリーに分類できます。
- 採用・紹介にかかる費用(人材紹介手数料・求人広告費・健康診断費など)
- 在留資格申請にかかる費用(収入印紙・書類取得費・専門家委託費など)
- 登録支援機関への支援委託費(月額の委託費用)
- 入社後・継続的にかかる費用(社会保険料・研修費・更新申請費など)
各カテゴリーでコストが発生するタイミングと金額の規模が大きく異なるため、採用計画の段階からフェーズ全体を見渡した予算設計が重要です。それぞれ詳しく解説します。
採用・紹介フェーズにかかる費用の相場
人材紹介会社への手数料
特定技能人材を人材紹介会社経由で採用する場合、一般的な手数料の水準は採用者の理論年収の15〜30%程度です。年収300万円の人材を採用した場合、紹介手数料は45万〜90万円が目安となります。
手数料の水準はサービスモデルによって大きく異なります。着手金型では採用可否にかかわらず数万〜数十万円が先払いで発生するため、採用できなかった場合もコストが生じます。成功報酬型であれば内定が決まるまで費用はゼロのため、採用リスクを最小限に抑えながら候補者探しを進められます。
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求人広告・媒体掲載費用
特定技能人材に特化した求人サービスや外国語対応媒体を利用する場合、掲載費用が別途発生します。媒体やプランによって月額数万円〜数十万円程度が一般的な相場です。人材紹介会社を利用する場合は求人広告費を別途負担しないケースが多いため、採用チャネルを選ぶ際は両者の合計コストで比較することが重要です。
雇入れ時健康診断費用
労働安全衛生法第66条に基づき、雇入れ時の健康診断は受入れ企業の費用負担で実施しなければなりません。費用の目安は1人あたり5,000円〜15,000円程度で、実施医療機関によって異なります。特定技能外国人であっても日本人労働者と同等の義務が適用されるため、採用人数分の費用を計画に組み込んでおく必要があります。
在留資格申請にかかる費用の内訳
出入国在留管理庁への申請手数料
出入国在留管理庁への申請に伴う公定費用は法令で定められています( 出入国在留管理庁 特定技能の在留資格に係る申請手続 )。
在留資格認定証明書交付申請(海外から招聘する場合)
- 申請手数料: 無料
- 本国でのビザ(査証)申請手数料が現地機関ごとに別途発生する場合があります。
- 国際郵送費・書類翻訳費も実費で発生します。
在留資格変更許可申請(国内在住の外国人の場合)
すでに日本に在住している留学生や技能実習修了者などの在留資格を特定技能に変更する場合は、以下の費用がかかります。
- 申請手数料: 4,000円(収入印紙)
- 在留カード交付手数料: 無料
在留期間更新許可申請(更新のたびに発生)
特定技能1号の在留期間は1年・6か月・4か月のいずれかで付与され、通算5年の上限内で複数回の更新申請が必要です。
- 申請手数料: 4,000円(収入印紙)
- 有効期限の3か月前から申請を受け付けており、期限内に更新しないと在留資格が失効するため、管理体制の整備が重要です。
書類取得にかかる費用の目安
在留資格申請には多数の添付書類が必要で、書類取得にも費用がかかります。
法人登記事項証明書
- 法務局窓口での取得: 1通600円
- オンライン請求(登記情報提供サービス): 480円〜332円
- 申請のたびに最新のものが必要なため、複数名採用する場合はその都度取得費が発生します。
住民税の課税証明書・納税証明書
- 各市区町村によって異なりますが、1通300円〜400円程度が一般的です。
技能評価試験・日本語試験の受験費用
特定技能1号への在留資格変更には、対象業種の技能評価試験合格と日本語試験(N4相当以上)合格が原則として必要です。受験料は本人負担が原則ですが、受入れ企業が費用支援として負担するケースもあります。技能評価試験の受験料は試験機関・業種によって異なり、概ね5,000円〜10,000円程度です。
なお、技能実習2号・3号を修了した人材については、技能試験と日本語試験が免除されます。技能実習修了者の採用は、試験コストを実質ゼロにできる点でコスト面でも有利です。
申請を専門家に委託する場合の費用
在留資格の申請書類は専門的な知識が求められるため、行政書士への委託が一般的です。委託費用の相場は1件あたり5万〜15万円程度が市場の目安です。登録支援機関が申請代行も含めてサポートしている場合は、追加費用なく対応してもらえることもあります。契約前に申請代行の有無と費用体系を確認しましょう。
在留資格の種類や申請概要について詳しくはこちら の記事もあわせてご参照ください。
登録支援機関への支援委託費用の相場
登録支援機関への委託が必要な理由
特定技能1号外国人を受け入れる企業は、出入国管理及び難民認定法に基づき、以下の義務的支援をすべて実施しなければなりません。
- 事前ガイダンス(来日前の生活・就労情報の提供)
- 出入国時の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約の支援
- 生活オリエンテーション(日本のルール・制度の説明)
- 日本語学習機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進支援
- 非自発的離職時の転職支援
- 定期的な面談と行政機関への通報
これらすべてを自社で実施することも可能ですが、多言語対応スタッフの配置や定期面談の実施など、体制整備に多くのリソースが必要です。そのため、多くの受入れ企業が登録支援機関に業務を委託しています。
月額委託費用の市場相場
登録支援機関への委託費用は、1人あたり月額2万円〜5万円程度が一般的な市場相場です。業者によっては初期費用として別途3万〜10万円程度を請求するケースもあるため、月額だけでなく契約全体の費用体系を確認することが重要です。
仮に月額3万円で1人を特定技能1号の最長期間である5年間(60か月)委託した場合、累計費用は180万円になります。5人を同時に受け入れている場合は5年間で最大900万円規模の委託コストが発生します。採用人数が増えるほど単価交渉の余地が生まれるため、複数名採用を計画している企業は事前に交渉することを検討してください。
登録支援機関を選ぶ際の確認ポイント
費用の安さだけで選ぶと、支援の質が不十分で離職やトラブルにつながるリスクがあります。以下のポイントも費用と合わせて比較することが重要です。
- 母国語対応スタッフの有無と対応言語の種類
- 夜間・休日の緊急連絡体制の整備状況
- 過去の支援実績・平均定着期間
- 在留資格の申請代行サービスの有無と費用
- 定期面談の頻度・実施方法(対面・オンラインなど)
入社後に継続的にかかる費用
社会保険料(企業負担分)
特定技能外国人を含むすべての労働者に対して、社会保険への加入が義務付けられています( 厚生労働省 外国人労働者の雇用管理の改善等に関する指針 )。企業が毎月負担する主な保険料の内訳は以下のとおりです。
厚生年金保険料(企業負担分)
標準報酬月額の9.15%が企業負担分です(労使折半)。月給25万円の従業員の場合、企業負担分は約2万2,875円です。
健康保険料(企業負担分)
全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、東京都の2024年度の保険料率は10.00%(労使折半で企業負担5.00%)です。月給25万円では企業負担分は月額約1万2,500円になります。
雇用保険料(企業負担分)
一般事業の場合、給与総額の9.5/1,000が企業負担分(2024年度)です。月給25万円では月額約2,375円が企業負担となります。
労災保険料
全額企業負担で、業種によって料率が異なります。製造業の場合は給与総額の4/1,000程度が目安です。
月給25万円の特定技能外国人を1人雇用した場合、社会保険料の企業負担合計は月額3万5,000円〜4万円程度になります。年間では42万〜48万円のコストが継続的に発生することを計画に組み込んでおきましょう。
在留期間更新にかかる費用
特定技能1号の在留上限は通算5年で、更新のたびに出入国在留管理庁への申請が必要です。申請手数料は1回4,000円(収入印紙)ですが、行政書士に委託する場合は別途3万〜5万円程度かかります。更新スケジュールの管理を怠ると在留資格が失効するリスクがあるため、更新期限の管理体制を整えることが重要です。
研修・日本語教育にかかる費用
業務スキルの向上・職場ルールの定着・日本語能力の維持向上を目的とした研修費用も継続的なコストとして発生します。社内での研修体制が整っていない場合、外部の研修プログラムや日本語教室への参加費用がかかります。内容・頻度によって大きく異なりますが、1人あたり年間数万円〜数十万円程度を見込んでおくと安心です。
特定技能の採用費用を抑える3つのポイント
ポイント1: 在日人材の在留資格変更を優先的に活用する
海外から人材を招聘する場合と、すでに日本に在住している外国人の在留資格を特定技能に変更する場合では、コストと採用リードタイムが大きく異なります。在日人材(留学生・技能実習修了者など)を活用すると、在留資格認定証明書の取得が不要になります。採用から入社まで通常1〜3か月程度に短縮でき、国際郵送費や翻訳費用も不要です。
また技能実習2号以上を修了した人材は、特定技能1号への変更時に技能試験と日本語試験が免除されます。試験関連コストを実質ゼロにできる点でも有利です。 外国人採用の流れについての詳しい解説はこちら をご参照ください。
ポイント2: 成功報酬型の人材紹介サービスを選ぶ
着手金型の人材紹介サービスでは、採用に至らなかった場合でも費用が発生します。採用活動が長引くほどコストが積み重なり、採用計画全体の予算圧迫につながります。内定まで費用が発生しない成功報酬型サービスを選ぶことで、採用コストを採用成果に連動させることができ、費用対効果の高い採用活動が実現します。
ポイント3: 登録支援機関に申請代行も含めて依頼する
在留資格申請を行政書士に、支援業務を別の登録支援機関に分けて依頼すると費用が二重に発生することがあります。登録支援機関が申請代行も含めてサービスを提供している場合、1か所にまとめることでトータルコストを削減できます。見積もりを取る際は、月額委託費だけでなく申請代行の有無と費用を含めた総額で比較することが重要です。
なお、特定技能の対象業種は現在14業種が定められており、業種ごとに求められる試験や書類が異なります。業種別の要件については 特定技能の対象業種一覧 で詳しく解説していますので、採用を検討している業種の要件もあわせて確認してください。
まとめ
特定技能外国人の採用にかかる費用の全体像を整理すると、以下のとおりです。
- 人材紹介手数料: 理論年収の15〜30%(成功報酬型なら内定まで0円)
- 在留資格申請費: 変更・更新ともに収入印紙4,000円、専門家委託は1件あたり5万〜15万円程度
- 登録支援機関委託費: 月額2万〜5万円(5年間で最大180万円/人)
- 社会保険料(企業負担): 月給25万円の場合、月額3万5,000円〜4万円程度
- 健康診断・研修費: 1人あたり年間数万円程度
採用コストを最適化するには、成功報酬型の人材紹介サービスの活用・在日人材を優先した在留資格変更・登録支援機関への申請代行一本化を組み合わせることが効果的です。費用を見極めた上で制度を活用することが、長期的に安定した採用体制の構築につながります。
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