外国人 介護士 採用を成功させるには?4つの在留資格と手続きの流れを解説
「介護スタッフの求人を出しても応募がない」「夜勤シフトが組めない」。こうした声は、いま多くの介護施設で聞かれる深刻な課題です。厚生労働省の推計によると、2040年度には約69万人の介護人材が不足するとされています。
人手不足を打開する選択肢として注目されているのが、外国人介護士の採用です。しかし、「どの在留資格を使えばいいのか」「手続きは複雑ではないか」と不安を感じる施設も少なくありません。
この記事では、外国人介護士を採用するための4つの在留資格の違い、具体的な手続きの流れ、費用の目安、そして受入れを成功させるポイントまでを体系的に解説します。 介護業界の人手不足の現状 を踏まえ、貴社に合った採用戦略を見つけてください。
介護業界が外国人介護士の採用に動く背景
介護分野の人手不足は年々深刻化しています。 厚生労働省「介護分野における外国人材の受入れについて」 によると、2023年度の介護職員数は約215万人ですが、高齢化のスピードに対して供給が追いついていない状況です。
有効求人倍率は全産業平均の約3倍にあたる3.0倍前後で推移しており、特に地方の施設では採用が困難を極めています。こうした背景から、外国人介護士の受入れは「選択肢の一つ」から「経営上の必須戦略」へと位置づけが変わりつつあります。
2024年6月末時点で、介護分野で就労する外国人材は約6万人を超え、前年比で大幅に増加しました。政府も受入れ枠の拡大や制度の柔軟化を進めており、今後さらに外国人介護士の存在感は高まる見通しです。
外国人介護士を採用できる4つの在留資格を比較
外国人が日本の介護施設で働くための在留資格は、主に4種類あります。それぞれ目的や要件、在留期間が異なるため、施設の状況に合った制度を選ぶことが重要です。 外国人介護士の4つの在留資格について も合わせてご参照ください。
4つの在留資格 比較表
| 項目 | EPA介護福祉士候補者 | 在留資格「介護」 | 技能実習「介護」 | 特定技能1号「介護」 |
|---|---|---|---|---|
| 制度の目的 | 経済連携(二国間協定) | 専門的・技術的分野の就労 | 技能移転(国際貢献) | 人手不足分野の即戦力確保 |
| 対象国 | インドネシア・フィリピン・ベトナム | 制限なし | 制限なし(送出機関経由) | 制限なし |
| 在留期間 | 最長4年(合格後は無期限更新可) | 5年(更新可) | 最長5年 | 通算5年 |
| 日本語要件 | N5程度(入国時) | N2相当が目安 | N4以上 | N4以上 |
| 資格要件 | 看護学校卒等(国により異なる) | 介護福祉士資格を保有 | なし(入国後に学ぶ) | 介護技能評価試験に合格 |
| 家族帯同 | 合格後は可 | 可 | 不可 | 不可 |
| 転職 | 原則不可 | 可 | 不可 | 可(介護分野内) |
| 訪問系サービス | 合格後は可 | 可 | 不可 | 条件付きで可(2025年度以降段階的に拡大) |
EPA介護福祉士候補者
経済連携協定(EPA)に基づき、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国から受け入れる制度です。 公益社団法人 国際厚生事業団(JICWELS) が唯一のあっせん機関となります。
候補者は入国後4年目までに介護福祉士国家試験に合格する必要があり、合格すれば在留期間の制限なく就労を続けられます。受入れ施設には学習支援体制の構築が求められる点が特徴です。
在留資格「介護」
日本の介護福祉士養成施設(専門学校等)を卒業し、介護福祉士資格を取得した外国人が対象です。在留期間の更新に上限がなく、訪問介護にも従事できるため、長期的な戦力として期待できます。
ただし、養成施設の卒業が前提となるため、施設が直接採用するというよりは、卒業予定者を新卒採用する形が一般的です。
技能実習「介護」
開発途上国への技能移転を目的とした制度で、監理団体を通じて受け入れます。最長5年の実習期間があり、人員配置基準に算入できるのは2年目以降です。
2024年には技能実習制度の見直しが決定し、「育成就労制度」への移行が予定されています。制度の過渡期にあるため、最新情報の確認が欠かせません。
特定技能1号「介護」
人手不足解消を正面から目的とした制度で、即戦力の確保に最も適しています。介護技能評価試験と日本語試験(N4以上)に合格した外国人、または技能実習「介護」を修了した外国人が対象です。
入職初日から人員配置基準に算入でき、転職も可能なため、労働者としての権利が守られやすい制度設計になっています。 出入国在留管理庁「特定技能制度について」 で最新の受入れ状況を確認できます。
外国人介護士の採用手続きの流れ
ここでは、最も利用が多い「特定技能1号」を中心に、採用手続きのステップを解説します。
ステップ1:受入れ体制の整備
外国人介護士を受け入れるには、まず施設側の体制を整える必要があります。具体的には以下の準備が求められます。
- 外国人材の受入れに関する社内方針の決定
- 指導担当者(介護福祉士等)の選任
- 登録支援機関への委託検討(支援計画の策定・実施を代行)
特定技能制度では、受入れ企業に「1号特定技能外国人支援計画」の策定・実施が義務づけられています。自社での対応が難しい場合は、登録支援機関に委託するとスムーズです。
ステップ2:人材の募集・選考
国内にいる外国人材を採用する場合と、海外から呼び寄せる場合で、プロセスが異なります。
国内在住者の場合:技能実習修了者や留学生など、すでに日本にいる候補者から選考します。在留資格の変更手続きが必要ですが、面接がしやすく、日本語力も確認しやすいメリットがあります。
海外在住者の場合:現地の送出機関を通じて募集をかけます。入国までに2〜5か月程度かかるため、余裕を持ったスケジュールが必要です。
ステップ3:雇用契約の締結
面接を経て採用を決定したら、雇用契約を締結します。報酬額は日本人と同等以上であることが法律で定められています。労働条件は母国語でも説明し、双方の認識にずれがないよう確認しましょう。
ステップ4:在留資格の申請
地方出入国在留管理局に対し、在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せる場合)または在留資格変更許可申請(国内在住者の場合)を行います。審査期間は通常1〜3か月です。
ステップ5:入職・受入れ開始
入職前に生活オリエンテーションを実施し、職場のルールや地域の生活情報を伝えます。入職後は定期的な面談を行い、業務面・生活面の両方でフォローすることが定着の鍵です。
外国人 介護士 採用にかかる費用の目安
費用構造は在留資格や採用ルートによって大きく異なります。以下は特定技能1号を中心とした目安です。
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 人材紹介手数料 | 20万〜50万円/人 | 紹介会社により異なる |
| 在留資格申請費用 | 数万円〜10万円程度 | 行政書士に依頼する場合 |
| 登録支援機関への委託費 | 月額2万〜3万円/人 | 支援計画の実施代行 |
| 渡航費(海外採用時) | 10万〜20万円/人 | 施設負担のケースが多い |
| 住居手配費 | 初期費用10万〜30万円 | 敷金・礼金・家具等 |
人材紹介会社を利用する場合、成功報酬型であれば内定が出るまで費用が発生しません。ユアブライトの 介護人材紹介サービス は初期費用0円の完全成功報酬型で、コストリスクを抑えた採用が可能です。
外国人 介護士 採用の前に確認したい実務チェックリスト
外国人 介護士 採用では、在留資格だけ見て進めると、入職直前や入職後に現場が混乱しやすくなります。実務では「受け入れられる体制があるか」を先に固めておくことが重要です。
まず確認したいのは、配属予定の業務内容です。身体介護、生活援助、記録業務、夜勤の有無、訪問系サービスの担当可否などを具体的に切り分けておくと、どの在留資格が適切か判断しやすくなります。とくに特定技能や技能実習では従事できる業務範囲に注意が必要です。
次に、現場での教育体制を確認します。OJT担当者を決めるだけでなく、申し送りの言い回し、記録様式、事故報告のフローまで、外国人スタッフが理解しやすい形に整えておく必要があります。介護現場では略語や暗黙知が多いため、既存スタッフ向けの説明もセットで行うのが現実的です。
住居、生活オリエンテーション、行政手続きの支援も事前に詰めるべき論点です。住民登録、携帯電話、銀行口座、通勤手段、ゴミ出しルールなど、業務外の不安が残ると定着率に直結します。登録支援機関を使う場合でも、施設側でどこまで対応し、どこから委託するのかを線引きしておくと運用が安定します。
実務上は、次の観点を採用前に一覧化しておくと抜け漏れが減ります。
- どの在留資格で受け入れるか
- 配属予定部署と担当業務の範囲
- 夜勤開始までの育成スケジュール
- OJT担当者と相談窓口
- 住居、通勤、生活支援の担当
- 日本語学習や資格取得支援の有無
- 早期離職を防ぐための面談頻度
このチェックを先に終えておくと、採用後に「思っていた業務と違う」「誰がフォローするのか決まっていない」といった典型的なトラブルを避けやすくなります。
外国人介護士の受入れを成功させる5つのポイント
採用はゴールではなくスタートです。外国人介護士が現場で活躍し、長く働き続けるために押さえておきたいポイントを整理します。
1. やさしい日本語でのコミュニケーション
介護現場では専門用語や方言が飛び交いがちです。「臥床」を「ベッドに横になること」と言い換えるなど、やさしい日本語を意識するだけでコミュニケーションの質が大きく変わります。
2. 指導担当者の明確な配置
誰に聞けばいいかわからない状態は、外国人スタッフにとって大きなストレスです。指導担当者を決め、質問しやすい環境を整えましょう。
3. キャリアパスの提示
「介護福祉士の資格取得を目指せる」「リーダー職への昇進がある」など、将来の見通しを示すことが定着率の向上につながります。特定技能2号への移行や在留資格「介護」への変更も視野に入れた長期的なキャリア設計を伝えると効果的です。
4. 生活面のサポート体制
住居の確保、銀行口座の開設、ゴミの出し方といった日常生活の支援は、入職直後に最も必要とされます。登録支援機関を活用すれば、母国語での生活オリエンテーションや定期面談を実施でき、施設の負担を軽減できます。
5. 既存スタッフへの事前説明
外国人スタッフの受入れについて、既存の職員に事前に説明し、理解を得ることが重要です。文化や働き方の違いを共有し、チームとして迎え入れる雰囲気をつくることで、職場全体の関係性がよくなります。
在留資格の種類一覧 も確認しておくと、外国人スタッフのビザに関する質問にも対応しやすくなります。
まとめ
外国人介護士の採用は、制度を正しく理解し、適切な準備を行えば、介護施設の人手不足を解消する有効な手段です。最後に、本記事のポイントを整理します。
- 4つの在留資格(EPA・介護・技能実習・特定技能)はそれぞれ目的・要件・期間が異なる
- 特定技能1号「介護」は即戦力確保に最も適した制度で、利用者数が急増中
- 採用手続きは体制整備から入職まで5つのステップで進める
- 費用は成功報酬型の紹介会社を利用すれば初期リスクを抑えられる
- 定着の鍵はやさしい日本語、キャリアパスの提示、生活面のサポート
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よくある質問
Q1. 外国人介護士の採用にはどれくらい時間がかかりますか?
国内在住の人材を在留資格変更で受け入れる場合は、選考開始から就業開始まで1〜3か月程度が目安です。海外から呼び寄せる場合は、現地選考、在留資格認定証明書の交付、査証発給、渡航準備が加わるため、3〜6か月程度を見込むケースが多くなります。
Q2. 特定技能と在留資格「介護」はどちらを選ぶべきですか?
即戦力を早く採用したい場合は特定技能が向いています。一方で、長期雇用や訪問介護も含めた幅広い活躍を期待するなら、介護福祉士資格を持つ人材を在留資格「介護」で採用する方が相性がよいことがあります。施設の採用目的によって優先順位を決めるべきです。
Q3. 外国人介護士の採用で最も多い失敗は何ですか?
実務では、在留資格の理解不足よりも、受入れ後のフォロー不足でつまずくケースが目立ちます。仕事内容の説明不足、日本語コミュニケーションへの配慮不足、生活支援の不備が重なると、早期離職や現場の不満につながります。採用前の制度確認と同じくらい、入職後の定着支援を重視する必要があります。





