建設業の特定技能とは?採用要件・職種・手続きを完全解説
建設業の特定技能は、深刻な人手不足が続く建設分野において、即戦力の外国人材を安定的に受け入れるための在留資格です。しかし、他業種と異なり建設分野にはJAC(一般社団法人建設技能人材機構)への加入や建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録など固有のルールが設けられており、これを把握せずに採用を進めると手続きが止まってしまうケースが多くあります。
国土交通省の調査によると、建設業の就業者数はピーク時(1997年:約685万人)から大幅に減少し、技術者・技能者の高齢化が続いています。新卒採用だけでは補いきれないこの構造的な人手不足に対して、特定技能制度を活用する建設会社が急速に増えています。
この記事では、建設業における特定技能の制度概要から対象職種の一覧、受入れ要件、固有ルール、採用手続きの流れ、費用の目安まで、経営者・人事担当者が実務で使える情報を体系的に解説します。
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建設分野における特定技能制度の基本
特定技能とは、人手不足が深刻な特定の産業分野に限って外国人材の就労を認める在留資格です。2019年4月に施行され、現在は農業・介護・建設など複数の分野で活用されています。詳しい分野の一覧は 特定技能の対象業種一覧 をご覧ください。
建設分野は特定技能1号と特定技能2号の両方が認められている数少ない分野の一つです。長期的な人材定着を目指す場合、2号への移行も視野に入れた採用計画が重要になります。
特定技能1号と特定技能2号の比較
在留期間の上限
- 特定技能1号: 通算5年
- 特定技能2号: 上限なし(更新可)
更新単位
- 特定技能1号: 1年・6か月・4か月
- 特定技能2号: 3年・1年・6か月
家族帯同
- 特定技能1号: 原則不可
- 特定技能2号: 可
必要な技能水準
- 特定技能1号: 相当程度の技能
- 特定技能2号: 熟練した技能
主な試験要件
- 特定技能1号: 技能評価試験+日本語試験
- 特定技能2号: 技能検定1級相当または実績審査
転職の可否
- 特定技能1号: 建設分野内で可
- 特定技能2号: 建設分野内で可
特定技能2号は技能水準の要件が高い分、在留期間の上限がなく家族を帯同できるため、長期定着を重視する企業にとって非常に魅力的な制度です。建設分野では技能検定1級(例:型枠施工技能士1級、建築大工技能士1級など)の取得が2号移行への実績審査として認められています。
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特定技能「建設」で受け入れ可能な主な職種
建設分野の特定技能では、土木から建築・設備まで幅広い専門工事種別が対象となっています。制度発足以降、国土交通省の告示改正により職種は段階的に拡大されてきました。現在認められている主な職種は以下の通りです。
型枠施工
- 主な業務内容: コンクリートを成形するための型枠の組立・解体
左官
- 主な業務内容: モルタル・漆喰等による壁・床の仕上げ
コンクリート圧送
- 主な業務内容: ポンプ車を用いたコンクリートの圧送・打設
建設機械施工
- 主な業務内容: ブルドーザー・油圧ショベルなどの建設機械操作
土工
- 主な業務内容: 掘削・盛土・整地など土木工事の基礎作業
とび
- 主な業務内容: 足場の組立・解体、鉄骨・コンクリートブロック等の取付
鉄筋施工
- 主な業務内容: 建築物・土木構造物における鉄筋の組立・接合
屋根ふき
- 主な業務内容: 建築物の屋根材施工・葺き替え
内装仕上げ/表装
- 主な業務内容: 壁・天井・床などの内装材の施工・仕上げ
建築大工
- 主な業務内容: 木造建築物の建方・造作など
配管
- 主な業務内容: 給排水・空調・ガスなどの配管工事
電気通信
- 主な業務内容: 通信・情報関連の電気設備施工
建築板金
- 主な業務内容: 鉄板・ステンレス等の加工・外壁施工
保温保冷
- 主な業務内容: 配管・ダクトへの断熱材施工
吹付ウレタン断熱
- 主な業務内容: ウレタンフォームの吹付断熱施工
海洋土木工
- 主な業務内容: 港湾・海洋における土木工事
技能評価試験(CCST: Construction Career Skilled Test)は、上記各職種に対応した区分が設けられており、出入国在留管理庁の 特定技能制度の概要ページ でも詳細を確認できます。
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建設分野の特定技能に固有のルール
建設分野の特定技能には、他の業種にはない2つの固有要件があります。採用を開始する前に必ず対応しておく必要があります。
JAC(一般社団法人建設技能人材機構)への加入
JACは、建設分野における特定技能制度の適正な運用を支援するために設立された認定団体です。建設分野で特定技能外国人を受け入れる受入れ企業は、JACまたはJACの正会員団体への加入が法令上の義務となっています。
加入形態は2種類あります。
- 正会員団体経由での加入: 全国建設業協会・建設産業専門団体連合会などJAC正会員団体に既に加盟している企業は、その団体経由で手続きが可能です。
- JAC賛助会員への直接加入: 正会員団体に加盟していない企業は、JACに直接賛助会員として加入します。
JACは教育訓練プログラムの提供・転籍支援・定期巡回指導なども担います。加入後は義務的支援の一部をJACが肩代わりする仕組みもあるため、登録支援機関への委託コスト削減効果も期待できます。費用の詳細は JAC公式サイト でご確認ください。
建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、建設技能者の就業実績・資格・健康診断情報などを電子的に蓄積・管理するシステムで、国土交通省が推進しています。建設分野で特定技能外国人を受け入れる場合、以下2つの登録が必須です。
- 事業者登録: 受入れ企業がCCUSに事業者として登録(既に登録済みの場合は不要)
- 技能者登録: 採用する特定技能外国人をCCUSに技能者として登録
CCUSの事業者登録料は企業規模によって異なり、個人事業主・小規模企業では2,400円、中規模以上では規模に応じた料金が設定されています。技能者登録料は1人あたり2,500円程度です。詳細は CCUS公式サイト を参照してください。
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建設業で特定技能外国人を採用するための要件
受入れ企業(雇用主)が満たすべき要件
建設分野で特定技能外国人を受け入れるには、受入れ企業が以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 建設業法第3条に基づく建設業許可の取得: 有効な許可を保有していること
- JACまたは正会員団体への加入: 前述の通り加入が義務
- CCUS事業者登録の完了: 採用前に登録を済ませておくこと
- 適切な賃金の確保: 日本人労働者と同等以上の賃金を支払うこと(同一技能・経験の日本人との比較が基準)
- 建設特定活動計画の認定: 国土交通省地方整備局等への計画認定申請が必要(受入れ前)
- 特定技能外国人支援計画の策定・実施: 登録支援機関への委託または自社での実施
採用する外国人材が満たすべき要件
採用候補者が満たさなければならない要件は次の通りです。
技能要件(いずれか一方を満たすこと)
- 建設分野特定技能評価試験(CCST)の合格
- 技能実習2号を良好に修了(修了職種と特定技能職種の関連性が認められる場合)
日本語要件(いずれか一方を満たすこと)
- 日本語能力試験(JLPT)N4以上の合格
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2レベル以上の合格
技能実習2号を修了している人材は技能試験・日本語試験ともに免除されます。そのため、社内または関連会社に在籍している技能実習修了者の特定技能への移行は、最もコストと時間を抑えられる採用ルートです。
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技能実習・育成就労と特定技能の違い
建設業では技能実習制度も長年活用されてきました。2024年に成立した改正法により技能実習制度は育成就労制度へ段階的に移行しており、2027年の完全施行が予定されています。特定技能との主な違いを整理します。
主な目的
- 特定技能: 労働力の確保
- 技能実習/育成就労: 技能移転・人材育成
最長在留期間
- 特定技能: 1号:5年 / 2号:上限なし
- 技能実習/育成就労: 原則3年(育成就労)
転職
- 特定技能: 建設分野内で可
- 技能実習/育成就労: 一定条件下で可(育成就労から拡充)
家族帯同
- 特定技能: 1号:不可 / 2号:可
- 技能実習/育成就労: 不可
即戦力としての活用
- 特定技能: 入社直後から戦力として期待
- 技能実習/育成就労: 研修・習熟期間が必要
日本語要件
- 特定技能: N4以上またはJFT-Basic
- 技能実習/育成就労: 育成就労開始時はA1相当
監理支援機関
- 特定技能: 登録支援機関が支援
- 技能実習/育成就労: 監理支援機関が監理
採用スピード
- 特定技能: 在日人材なら1〜3か月
- 技能実習/育成就労: 海外からの呼び寄せが多く時間がかかる
即戦力確保と長期定着を優先する場合は特定技能が適しています。一方、人材を育てながら確保したいというニーズには育成就労が向いています。現実的には、育成就労で受け入れた人材を将来的に特定技能2号へ移行させるキャリアパス設計も有効な選択肢です。
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採用から就労開始までの手続きの流れ
建設分野での特定技能採用は、他業種と比べて建設特定活動計画の認定が加わる分、手続きが多い点に注意が必要です。一般的な流れは以下の通りです。
STEP 1: 候補者の確保・選考
人材紹介会社や求人媒体を通じて候補者を探します。在日の技能実習修了者を自社または元請企業から転換するケースも多いです。 外国人を採用する方法 については別記事で詳しく解説しています。
STEP 2: 雇用契約の締結と支援計画の策定
採用が決まったら、雇用条件通知書(日本語・母国語対応)を作成します。特定技能外国人支援計画は、登録支援機関への委託が実務上スムーズです。
STEP 3: 建設特定活動計画の認定申請(建設分野特有)
国土交通省地方整備局等に建設特定活動計画を提出し、認定を受けます。審査期間として通常1〜2か月程度を見込んでください。この手続きは建設分野のみに課された独自の要件です。
STEP 4: 在留資格の申請または変更
計画認定取得後、出入国在留管理庁に対して在留資格変更許可申請(国内在留者の場合)または在留資格認定証明書交付申請(海外からの場合)を行います。審査には1〜3か月程度かかります。
STEP 5: CCUS技能者登録
採用する外国人材をCCUSに技能者登録します。在留資格手続きと並行して進めることが可能です。
STEP 6: 受入れと支援計画の実施開始
就労開始後は、登録支援機関と連携して支援計画(生活オリエンテーション・定期面談・相談窓口の設置等)を着実に実施します。
全体のスケジュールは、書類準備から就労開始まで通常2〜4か月を見込むのが現実的です。特に建設特定活動計画の認定審査期間を考慮した余裕のある採用計画が求められます。
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建設特定技能にかかる費用の目安
採用1名あたりにかかる費用を項目別に整理します。
人材紹介費用
- 金額の目安: 成功報酬(各社による)
- 備考: 内定まで費用0円のケースも
JAC賛助会員費(年額)
- 金額の目安: 数万円程度
- 備考: 正会員団体経由の場合は異なる
CCUS事業者登録料
- 金額の目安: 2,400円〜
- 備考: 企業規模により異なる
CCUS技能者登録料
- 金額の目安: 2,500円程度
- 備考: 1名あたり
登録支援機関への委託費
- 金額の目安: 月額2〜5万円
- 備考: 1名あたりの目安
建設特定活動計画認定申請
- 金額の目安: 自社対応は実費のみ
- 備考: 行政書士委託の場合は別途
在留資格申請(収入印紙)
- 金額の目安: 4,000円
- 備考: 変更許可申請の場合
人材紹介費・JAC費・支援委託費・各種登録費を合計すると、初年度は1名あたり50〜100万円程度になるケースが多いですが、採用ルート(社内転換か新規採用か)や支援体制によって大きく異なります。
ユアブライトの外国人材紹介サービス では、初期費用0円・内定まで費用なしの完全成功報酬型でご対応しています。詳しい費用感や採用事例については、まずはご相談ください。
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建設分野の特定技能に関してよくある質問
Q. 建設分野の受入れ人数に上限はありますか?
建設分野には業種全体の受入れ見込み数が告示で設定されています。2019年の制度開始時には5年間で最大40,000人と設定され、その後の需要を踏まえた見直しが行われています。個社ごとの上限設定はありませんが、同一企業の技術者数と受入れ人数のバランスに関する基準(外国人比率など)が設けられています。最新の告示内容は国土交通省の公式情報をご確認ください。
Q. 技能実習修了者からの転換手続きはどうなりますか?
技能実習2号修了者で、修了した職種と特定技能の対象職種の関連性が認められる場合は、技能試験・日本語試験ともに免除で転換できます。手続きの中心は雇用契約の締結・支援計画の策定・在留資格変更申請・建設特定活動計画の認定申請となります。 建設分野の採用ノウハウ も参考にしてください。
Q. 特定技能外国人はどこの国籍の人材が多いですか?
建設分野ではベトナム・中国・フィリピン・インドネシア・ミャンマー出身の人材が多い傾向にあります。CCST(建設分野特定技能評価試験)は各国で実施されており、日本在住者だけでなく海外からの応募も可能です。
Q. 特定技能外国人は転職できますか?
特定技能1号・2号ともに、同一の産業分野(建設)内での転職は認められています。ただし、別企業への転職の場合は新たな雇用契約・在留資格変更・支援計画策定・建設特定活動計画の再認定が必要となります。
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まとめ
建設業における特定技能のポイントを整理します。
- 建設分野は特定技能1号・2号の両方が認められており、最長での長期雇用が実現できる
- JACへの加入とCCUSへの登録は他業種にない建設固有の必須要件
- 対象職種は型枠施工・とび・鉄筋施工・建築大工・配管など幅広い建設工事が対象
- 技能実習2号修了者からの転換は試験免除で進められ、採用コスト・期間の面で有利
- 採用から就労開始まで、建設特定活動計画の認定期間を含め通常2〜4か月を見込む
建設分野の特定技能は制度要件が多いため、JACや登録支援機関と連携した体制づくりが採用成功のカギを握ります。ユアブライトは登録支援機関(登録番号: 19-登-000992)として、17万人以上の外国人材データベースを活用した建設分野の人材紹介から、入社後の定着支援までワンストップでサポートしています。
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この記事の確認体制
本記事は、登録支援機関であるユアブライト株式会社の実務知見をもとに、外国人材紹介・登録支援・在留資格実務に関わる担当者が内容を確認しています。制度や運用は変更される可能性があるため、最新情報は公的機関の情報もあわせてご確認ください。
実務上の注意点
特定技能・在留資格・外国人雇用では、制度上の要件だけでなく、雇用契約、支援計画、入社後の面談記録、相談対応履歴まで一貫して管理することが重要です。受入れ前に必要書類と社内担当者を整理し、採用後も定期面談や生活支援の実施状況を記録しておくと、トラブル予防と定着支援につながります。
著者情報
著者: ヤマシタハヤト 。ユアブライト株式会社 取締役 / 登録支援機関 実務責任者。特定技能・外国人材採用・登録支援・在留資格実務を専門領域とし、外国人材紹介と受入れ支援の実務に関わっています。





