コロナウイルスの影響が鈍化してきていますが、最近までは日本でも多くの感染者がおり、世界では依然として猛威を振るっています。

そんな中でコロナウイルスの影響が外国人雇用についてどのように影響してきたのかを紹介します。

〇最新の資料からの情報

2020年10月末時点で外国人の労働者を雇用している受入れ事業所の数は267,243か所となっており、 外国人労働者数は1,724,328 名です。2019年10月末の242,608か所、1,658,804 名と比べると24,635か所(10.2%)、65,524 名(4.0%)の増加となっています。

外国人材の雇用をしている受入れ事業所数と外国人労働者数はともに2007年に届出が義務化されて以降は過去最高の数値を更新していますが、対前年増加率は、受入れ事業所数で前年12.1%から1.9 ポイントの減少という結果となっており、労働者数で前年13.6%から 9.6 ポイントの大幅な減少となっております。

産業別外国人労働者数の対前年増加率については、宿泊業、飲食サービス業が-1.8%(前年比 13.4 ポイント減)、製造業が-0.3%(同 11.6 ポイント減)、 サービス業(他に分類されないもの)が 3.9%(同 11.7 ポイント減)、卸売 業、小売業が 9.2%(同 5.0 ポイント減)と、産業ごとに数値が異なりますが、どの分野でも前年と比較して低下しており、コロナウイルスの影響などにより雇用状況に厳しさがみられる中、外国人労働者についても影響が発生していることがわかります。

〇国籍別の外国人雇用状況

国籍別にみるとベトナム国籍が最も多い数字となっており、 443,998名です。外国人労働者数全体の25.7%を占めています。続けて、中国国籍が 419,431名24.3%)、フィリピン国籍が184,750名(10.7%)の順です。ベトナム国籍については、前年比で42,672名(10.6%)と大きく増加しており、また、ネパール国籍についても7,858名(8.6%)の増加となっています。

〇在留資格別の外国人雇用状況

在留資格別にみると、身分に基づく在留資格が最も多く 546,469名です。外国人労働者数全体の31.7%を占めており、続けて、技能実習生が402,356名(23.3%)、資格外活動(留学を含む)が 370,346名(21.5%)、専門的・技 術的分野の在留資格が359,520名(20.8%)の順となっております。

専門的・技術的分野の在留資格については、前年比で30,486名(9.3%)増加しており、技能実習については、18,378名(4.8%)の増加となっています。 その一方で、資格外活動のうち留学は前年比で11,721 名(3.7%)減少しているほか、身分に基づく在留資格のうち定住者についても同812名(0.7%)の減少となっております。

〇地域別の外国人雇用状況

都道府県別の増加率をみると、沖縄県が前年比で 22.2%の増加、千葉県が15.5%増加、栃木県が同15.4%の増加となっています。

〇産業別の外国人雇用状況

産業別の外国人割合では製造業が19.3%、卸売業・小売業が18.1%、 宿泊業・飲食サービス業が 13.9%のとなっております。 また、産業別の割合増加率では建設業が前年比で 20.5%の増加となっており、医療、・福祉が18.0%の増加、卸売業・小売業が14.3%の増加となっています。

都道府県・産業別にみると、多くの地域にて製造業の割合が高くなっており、愛媛では製造業が63.4%となっております。また、東京では宿泊業・飲食サービス業、卸売業・小売業、サービス業(他に分類されないもの)の割合が高く、それぞれ21.3%、19.2%、15.9%となっております。在留資格別・産業別にみると、専門的・技術的分野の在留資格では、製造業17.9%、情報通信業15.4%、卸売業・小売業13.8%となっております。国籍別・産業別にみると、インドネシア、ブラジル、ペルー、ベトナム、フィリピン、中国では、製造業が最も高い割合となっており、それぞれ 42.5%、42.0%、38.7%、36.0%、35.6%、23.0%です。

韓国では卸売業・小売業が20.3%、ネパールでは宿泊業・飲食サービス業が 29.4%です。労働者派遣・請負事業を行っている事業所に就労している外国人労働者数の構成比を国籍別にみると、ブラジルとペルーで割合が高く、それぞれ 52.6%、40.2% となっています。

〇外国人雇用状況のまとめ

外国人労働者数は1,724,328名で、前年比で65,524名(4.0%)増加しており、2007年に届出が義務化されて以降で過去最高の数字を更新しましたが、増加率は前年13.6%から9.6 ポイントの大幅な減少となりました。

外国人労働者を雇用する事業所数は267,243か所で、前年比 24 ,635 か所(10.2%)増加し、2007年に届出が義務化されて以降、過去最高を更新したが、増加率は前年 12.1%から 1.9 ポイントの減少となっております。

国籍別では、ベトナムが中国を抜いて最も多くなり、443,998 名(外国人労働者数全体の25.7%)。次いで中国 419,431 名(同24.3%)、フィリピン184,750 名(同10.7%)の順となっております。一方、ブラジルやペルーなどは、前年比で減少しています。在留資格別では、専門的・技術的分野の在留資格の労働者数が 359,520名で、前年比 30,486名(9.3%)の増加です。また、技能実習は402,356名で、前年比18,378人(4.8%)の増加となっています。その一方で資格外活動(留学を含む)は 370,346名で、前年比 2,548名(0.7%)の減少となっています。

〇ハローワークにて外国語を使用する仕事の有効求人数の推移

ハローワークにおける外国語使用有効求人数は、前年同月比で6割減まで減少した後に徐々に持ち直していますが、本年でも前々年同月比 で5割減で横ばいで推移しており、 コロナウイルスの影響から脱しておりません。

 この要因となっているのは、専門的・技術的分野のうち国際関係業務の求人が大幅に減少 していることが考えられます、また、外国語の使用有効求人数の職業別では、昨年1月と比較して、5月以降、サービス、販売が減少するなど、インバウンドに関わる職業の減少率が 大きく、コロナ禍による景気の影響を大きく受けていると考えられます。

参照:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ

〇特定技能外国人の受入れ目標人数(分野別)

  1. 介護 : 60,000名
  2. ビルクリーニング : 37,000名
  3. 素形材産業 : 21,500名
  4. 産業機械製造業 : 5,250名
  5. 電気・電子情報関連産業 : 4,700名
  6. 建設 : 40,000名
  7. 造船・船舶工業 : 13,000名
  8. 自動車整備 : 7,000名
  9. 航空 : 2,200名
  10. 宿泊 : 22,000名
  11. 農業 : 36,500名
  12. 漁業 : 9,000名
  13. 飲食料品製造業 : 34,000名
  14. 外食業 : 53,000名

〇2021年3月末時点での受入れ状況充足率

  1. 介護 : 1,705名 (1.6%)

2. ビルクリーニング : 281名 (0.5%)

3. 素形材産業 : 1,669名 (5.7%)

4. 産業機械製造業 : 1,937名 (23.8%)

5. 電気・電子情報関連産業 : 994名 (15.4%)

6. 建設 : 2,116名 (3.3%)

7. 造船・船舶工業 : 592名 (3.2%)

8. 自動車整備 : 247名 (2.2%)

9. 航空 : 16名 (0.6%)

10. 宿泊 : 83名 (0.3%)

11. 農業 : 3,359名 (6.5%)

12. 漁業 : 314名 (2.4%)

13. 飲食料品製造業 : 8,104名 (17%)

14. 外食業 : 1,150名 (1.9%)

この人数表からも分かるように4・5のような製造業の分野にて充足率が高くなっています。

この分野に関してはもともとの目標人数も低いためにこの結果につながっていると言えます。また、製造業3分野については協議会への加入申請の際に分野が決定されますが、加入するべき分野についても曖昧な判断基準であることもあり、必ずしも適正に分野が確認されているかは不明な点もあります。

航空・宿泊・外食などのコロナウイルスの影響をもろに受けている分野については低い充足率となっているようです。その一方で製造業とともに飲食料品製造業の分野についても比較的高い充足率となっている理由はコロナウイルスの影響を受けにくい分野であることが関係していると言えます。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 海外人材担当 主に特定技能に関する情報を発信しております。

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