コロナの影響で外国人の入国ができずに多くの入国予定であった技能実習生や特定技能外国人、その他の在留資格の許可を得ている外国人が日本へ入国できる日を待っています。今後、日本への入国が可能となった際には現在、入国待ちをしている多くの外国人が一斉に入国をしてくることになり、最初は飛行機のチケット代金も高騰が予想され、技能実習生に関しては入国後講習施設の予約も取り合いになると予想されます。外国人の入国が再開され、その後に予想されるのが住居確保の問題です。こちらも一斉に外国人が入居するため取り合いとなると予想されます。今回はそんな外国人受け入れの際に必要な住居について解説します。

技能実習生受け入れの際の住居準備について

技能実習生の受け入れのためには、受け入れ企業が技能実習生のためにアパートを用意しなければなりません。また、技能実習生は入国してからの1カ月間、日本語の入国後講習を受講しなければならず、その際にも住居の提供が必要になります。どちらの住居提供についても、もちろん入国してくる技能実習生本人が海外から自分で手配をすることは不可能で、特に、技能実習生は来日が初めてで、最初は日本語も簡単な日常会話程度しか話せない方が多いため、入国してからも自分で住居に関して手配・手続き等をすることもできません。それに加えて、最近では外国人が入国をしてから2週間は1名1部屋で隔離生活を送ることも義務付けられているため、さらに住居確保の手間がかかってしまっております。

技能実習生の住居ルール

技能実習生を入居させる住居については、会社に社宅があれば社宅を提供し、その他の場合は一般のアパートを提供することになります。提供する住居についてはどんな住居でも良いわけではなく、細かいルールがあります。技能実習生住居の中でも特に気を付ける点について紹介します。これらの住居ルールについては技能実習受け入れ許可申請をする際の申請書の中でもでも確認を求められており、外国人技能実習機構が定期で実施する、監査の際にも技能実習生の宿舎を訪問し確認されることがあります。

  • 住居の場所は、爆発物、可燃性ガス等の火災による危険の大きい物を取扱い・貯蔵する場所の付近やその他、有害な作業場の付近でないこと。なだれ、土砂崩れなどの災害派生のおそれがある場所でないこと、伝染病患者収容所など汚染のおそれの著しいものを取扱う場所の付近を避けていること

こちらは技能実習生の身を危険にさらすような住居を提供にないようにとのルールです、特に日本でも一時期問題となった、アスベストの被害があるような住居や日本人は絶対に住まないような危険な場所にある住居にある住居を技能実習生に提供してはいけないというルールです。

  • 2階以上の場所に寝室がある場合はすぐに屋外の安全な場所に移動できる階段を2箇所以上(収容人数15人未満は1箇所)設けていること

こちらは技能実習生が住む住居に通常の階段に加え、非常階段などが設置されていなければならないというルールです。こちらのルールを厳守していない2階建てのアパートも多いので注意が必要です。

  • 適切な消火設備を設置していること

アパートに消火器や火災報知器などが適切に設置されているかのルールです。こちらは会社が元々あった建物を住居として改築した場合などに特に注意が必要です。

  • 床の間・押入を除き、1人当たり4.5m2以上の個人スペースが確保されていること。

複数の技能実習生が暮らしている住居ではこちらの基準を満たさない可能性があります。特に2段ベッドで技能実習生が生活しているアパートや多くの技能実習生が1軒の住居に住んでいる場合は注意が必要です。

  • 勤務時間が違い、就寝時間が別々になる2組以上の技能実習生がいる場合は、寝室を別にしていること

実習中は夜勤がある受け入れ企業であればほぼ必ず就労時間が別々になる可能性があります。その場合、1人1部屋の寝室が用意されているアパートであれば良いですが、同室で2名以上が一緒に寝ている場合は部屋の中で仕切りを設置するなどの措置が必要です。

  • 複数の技能実習生が入居している場合はそれぞれ1人1つの金庫を設置すること

こちらは元々は無かったルールですが、現在は技能実習法にも記載された新しいルールです。設置する金庫の大きさについては指定がありませんが、固定されていて持ち運びのできないことが条件とされているため、単純に、小さな金庫を部屋に置いておけば良いというわけではありません。

特定技能外国人受け入れの際の住居準備について

特定技能外国人の受け入れの際には技能実習生の場合と異なり、受け入れ許可申請の書類の中で細かい住居のルールについて問われることはありません。

唯一のルールは技能実習生には1人当たり4.5m2以上の個人スペースが必要とされているところ、特定技能外国人には7.5 m2以上の個人スペースが求められております。また、技能実習生から特定技能へと移行する場合で外国人が望む場合は7.5 m2以下の個人スペースしかない住居でもそのまま住み続けることができます。

特定技能外国人の住居準備について

特定技能外国人を受け入れする際の住居ルールについては定められていませんが、住居の準備に関して、受け入れ企業または登録支援機関が実施しなければならない項目が3つあります。

  • 賃貸物件の情報を提供し,必要な場合は特定技能外国人と一緒に住宅の契約手続きなどに同行し,住居探しの補助を行うこと。また,住宅の契約時に連帯保証人が必要な場合に,適当な連帯保証人がいない場合は,特定技能外国人の連帯保証人となる又は利用可能な家賃債務保証業者を確保し自らが緊急連絡先となること

特定技能外国人の場合は日本語がある程度話せる場合や、すでに住居確保のための初期費用を自分で支払えるお金を持っている場合、日本での同じ国のコミュニティーがありそこで一緒に暮らすパートナーを見つけて自分で住居を確保する場合もありますが、そのような場合でも特定技能外国人自身で契約が不可能な場合は契約業務に付き添ったり、連帯保証人になる必要があります。

  • 特定技能外国人の代わりに賃借人となって賃貸借契約を締結した上で,1号特定技能外 国人の合意の下,住居として提供すること

特定技能外国人の名義で住居を確保することができない場合には代わりに不動産会社と賃貸借契約を結び、それ住居を特定技能外国人へ提供することが必要です。その際に毎月の賃貸費用については実費のみ特定技能外国人へ請求することができます。

  • 所有する社宅などを、特定技能外国人の合意の下,住居として提供すること

特定技能外国人からの同意を得ることができれば、賃貸などをして住居を確保しなくても受け入れ企業の社宅などを提供することができます。

まとめ

技能実習生と特定技能外国人の受け入れでは、特に技能実習生について住居に厳格なルールが設けられています。また、技能実習生の場合はそれぞれの国でも、例えば、ベトナム人は家賃20,000円以上を給与控除してはいけないルール(地域によっては25,000円以上)やフィリピン人は15,000円以上の控除ができないルールが設定されています。特定技能になると、住居を自分で用意する場合や既に3年間以上日本に住んでいる外国人も多いため、住居ルールについては技能実習生より緩く設定されていると思われます。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 海外人材担当 主にベトナムに関する情報を発信しております。

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