建設業界の人手不足解消策として特定技能・建設分野での外国人受け入れが始まっています。特定技能・建設分野では、技能実習・建設分野での外国人人材の動向とうまく連動しながら、在留資格の要件に合わせて雇用計画を進めることがポイントとなります。

現在、建設分野で働くことが可能な在留資格は、特定技能/技能実習/資格外活動/技能/定住者/永住者/日本人の配偶者等/永住者の配偶者等/です。

要件の異なる各種在留資格から、外国人を建設分野のどの業務にどのくらいの期間で雇用したいのか?しっかりと検討することが必要となります。

建設分野での外国人受け入れ状況

建設業界で働く外国人は2011年から4倍以上に増加しています。在留資格別で最も多いのは技能実習、国籍別では多い順にベトナム人、中国人、フィリピン人と続いています。職種別では、鉄筋施工、とび、型枠施工、溶接、建築大工が多く、日本人若年層の建設業界離れに変わる募集枠として、外国人労働者の受け入れが活発になって来ています。

2019年4月、建設業界をはじめ人手不足の14産業分野からの外国人人材確保に向けて特定技能制度がスタート。建設分野では5年間で受け入れ人数4万人を目標としています。

特定技能・建設分野1号と2号

特定技能1号では、建設業務に対応できる知識と経験スキルを持った外国人の活動を認める在留資格です。特定技能2号は1号での現場経験をもとに、さらに熟練した技能を持った外国人に活動を認める在留資格です。

特定技能2号は、現在(2021年8月時点)では1号より移行できるのは建設と造船・舶用工業の2業種のみです。

特定技能1号・建設分野の採用で、5年間働いた外国人は、同じ建設分野で特定技能2号へ移行し継続して働くことが可能です。

特定技能2号は、在留資格の制限がなく家族帯同も認められているため、安定した仕事と生活環境が整えば、永住権を取得するための要件にそって計画が可能です。

技能実習2号からの移行は3号か?特定技能1号か?

特定技能1号の建設分野には、技能実習2号・建設分野の修了者から移行ができます。技能実習2号で3年間、日本の建設分野で働いて来た経験と技能が認められ、在留資格の変更時には試験免除で移行が可能となります。

技能実習2号からは、同じく技能実習3号への移行という選択もあり、特定技能1号とどちらへ変更手続きを進めるかは、雇用を継続したい企業側の雇用計画にそって変わります。

特定技能1号・建設分野へ移行した場合は、JAC(一般社団法人 建設技能人材機構)への加入費用(年会費24万円)、技能実習3号へ移行した場合には、監理団体に支払う費用と3号へ移行前の帰国費など、コスト面での検討が必要です。

また、技能実習制度の目的が実習であり、特定技能制度の目的が人手不足を補う即戦力であるという違いから、どちらの外国人を雇用したら自社業務に都合が良いか検討すると良いでしょう。

在留期間の違いは、技能実習3号は5年、特定技能2号は制限なしであるため、技能実習2号から特定技能1号、そして2号へと移行できれば、日本で働くための在留期間の制限が緩和され、雇用する企業側の人事も滞りなく進めることが可能となります。

特定技能・建設分野での対象職種

特定技能・建設分野では、以下の18職種からの採用が可能となっています。

  • 特定技能対象の職種

型枠施工/左官/コンクリート圧送/トンネル推進工/建設機械施工/土工/

屋根ふき/電気通信/鉄筋施工/鉄筋継手/内装仕上げ・表装/とび/建築大工/

配管/建築板金/保温保冷/吹付ウレタン断熱/海洋土木工

在留資格・技能実習からの特定技能1号へ移行の場合は、技能実習の対象職種(22職種33作業)特定技能の対象職種(18職種)であるため、技能実習の職種からそのまま同職種に移行できるとは限らないため、確認が必要となります。

国土交通相の計画認定

特定技能・建設分野で外国人を雇用する場合は「建設特定技能受入計画」を作成し国土交通相の計画認定を行う必要があります。

特定技能・建設分野の在留資格を取得するまでには、国土交通相と出入国在留管理庁の2ヶ所で申請手続きを行うため、所要期間が他の業界よりも時間がかかりますので、採用期日に合わせて早めの手続きを進めるようにしていきましょう。

「建設特定技能受入計画」を作成するためには、以下の要件を満たしていることが必要です。

  • 建設業法第3条の許可を受けていること
  • 建設キャリアアップシステムに登録し ていること・特定技能外国人受入事業実施法人(JAC)へ加入していること
  • .建設業法に基づく監督処分がないこと
  • 適切な受け入れ要件で運用出来ていること

建設キャリアアップシステムを登録

「建設特定技能受入計画」を作成する場合、建設キャリアアップシステムに登録は必要となります。2020年1月より、特定技能外国人に加えて、技能実習生や外国⼈建設就労者に対しても建設キャリアアップシステムへの登録が義務付けられるようになっています。

建設キャリアアップシステムの登録は、事業者と外国人本人の手続きが必要です。

https://www.ccus.jp/

↑CCUS:建設キャリアアップシステムの登録

特定技能・建設分野での在留資格取得の要件

  • 日本語能力試験

日本語能力試験JLPTのN4以上、または、国際交流基金日本語基礎テストA2レベル以上に合格する必要があります。

  • 建設分野特定技能1号評価試験

国土交通相の管轄する学科試験と実技試験に合格する必要があります。

まとめ

特定技能・建設分野で外国人を雇用する場合に必要な手続きや留意点についてのまとめでした。建設分野での外国人雇用手続きでは、他の分野よりも手続きが多く、採用コストに関してもしっかりと検討することが必要となります。

この記事を書いた人

shyu

海外在住ライター/ネパール国籍の配偶者と日本国籍の息子と日本人の私の3人家族。カトマンズに12年暮らす。 海外に住むということは、国籍はもちろん生まれも育ちも違う者どうしが、なんらかの関係性を保ちながら生きる修行をしているようなもの。 今後、日本で暮らし働く外国人が増えて行くことが予想される中、その動向を外国人の心情に寄り添った視点で発信していきたい。

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