日本の外国人受け入れ政策がスタートし、在留外国人数の増加も右肩上がりとなっています。外国人を雇用する企業が増える中、外国人雇用のための手続きとして在留資格取得後の雇用契約の際は、社会保険の加入が必要となります。

外国人に適用する厚生年金・健康保険

在留外国人は、日本人と同じように社会保険の適用が認められ、一定の条件による加入が可能となっています。特定技能外国人や外国人実習生も加入できる対象の外国人となります。

2012年7月より外国籍でも住民基本台帳制度の対象となり、国民健康保険の加入が必要です。

外国人を雇用している企業は、健康保険、厚生年金保険等に加入している場合、雇用側は外国人を健康保険、厚生年金保険等に加入させる義務があります。

企業が健康保険、厚生年金保険等に加入していない場合には、外国人は居住する市町村の国民健康保険、国民年金に加入することができます。

個人事業主の場合は、強制適用事業所で従業員5人以上の企業であれば、外国人の社会保険加入の義務が生じます。

※強制適用事業所

製造業/土木建築業/鉱業/電気ガス事業/運送業/清掃業/物品販売業/金融保険業

保管賃貸業/媒介周旋業/集金案内広告業/教育研究調査業/医療保健業/通信報道業

厚生年金、健康保険は、提出期限5日以内に日本年金機構に申請手続きをします。

https://www.nenkin.go.jp/service/riyoushabetsu/jigyonushi/index.html

日本年金機構↑:厚生年金、健康保険

社会保険加入は外国人アルバイトにも適用

外国人でアルバイトをしている場合にも、社会保険の加入は労働条件によって加入の有無が決まります。

資格外活動許可によるアルバイトでは、同じアルバイト先の社員の労働時間と労働日数から社会保険加入を判断します。

以下の外国人アルバイトは、社会保険に加入する義務があります。

・1週間の労働時間のが社員の3/4以上であり、1か月の労働日数が社員の3/4以上であること

・1週間の労働時間が20時間以上であること

・学生ではなく社会人であること

・特定適用事業所でのアルバイトであること

・月額8、8万円の収入があること

・1年以上の雇用契約が結ばれていること

在留資格の更新に必要となる保険証の提示

外国人を雇用する場合には、2010年4月より、外国人の在留資格更新や変更の際に保険証の提示が必要となっています

外国人の社会保険加入の推進のためにと、法務省で外国人の在留状況を一元管理するたに設けられた条件となります。

脱退一時金の適用について

外国人が帰国する場合には、日本に在住しなくなってから2年以内に納入金額に応じて一定の金額の払い戻しが可能となり、これを脱退一時金と言います。

脱退一時金の支給は、厚生年金保険の加入期間6ヶ月以上であれば請求することができます。

在留期間を終え母国に帰る外国人社員に対しては、脱退一時金の制度について説明の上、手続きを進めましょう。

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20150406.html

↑日本年金機構:脱退一時金について

外国人の雇用保険について

外国人を雇用する場合は、雇用保険加入の必要があります。

日本人社員と同じように、外国人の雇入れと離職の際には、ハローワークでの手続きを行います。

在留資格「外交」「公用」以外で日本に滞在している外国人が対象となります。

加入の条件は、31日以上の雇用契約をしている外国人、1週間の労働時間が20時間以上の外国人である場合は、手続きが必要となります。

手続きには外国人の所持している在留カードの内容にそって届出を行います。

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_guide.html

↑ハローワーク:雇用保険の手続き案内

外国人の労災保険について

外国人も日本人社員と同じように労災保険に加入の義務があります。

勤務中に起こった事故や病気のための治療費として労災保険の加入は必要となります。

外国人社員を雇用の際は、10日以内に労働保険保険関係成立届を労働基準監督署に申請します。

雇用事業社が外国人の労災保険の加入をしていない外国人に労災事故が起こった場合には、事業主から保険料の徴収がされることになります、

労災保険に加入条件は、社員1人雇用した場合でも必ず加入する必要があります。

在留資格を持っている外国人や資格外活動許可でアルバイトしている外国人も適用されます。また、在留資格を持っていない不法滞在者であっても労災保険は適用されます。

社会保障協定について

社会保障協定は、就労先国と母国での社会保険料の二重負担を避けるために、締結されている協定です。

協定国:ドイツ/イギリス/韓国/アメリカ/ベルギー/フランス/カナダ/オーストラリア/オランダ/チェコスロバキア/スペイン/アイルランド/ブラジル/スイス/ハンガリー/インド/ルクセンブルグ/フィリピン/スロバキア/中国/

まとめ

外国人の加入できる社会保保障制度は、基本的には日本人社員と同じになります。

外国人雇用の際は、外国人社員がわかりにくい制度の仕組みや、なぜ納入する必要があるのかを、しっかり説明して理解してもらうようにしましょう。

この記事を書いた人

shyu

海外在住ライター/ネパール国籍の配偶者と日本国籍の息子と日本人の私の3人家族。カトマンズに12年暮らす。 海外に住むということは、国籍はもちろん生まれも育ちも違う者どうしが、なんらかの関係性を保ちながら生きる修行をしているようなもの。 今後、日本で暮らし働く外国人が増えて行くことが予想される中、その動向を外国人の心情に寄り添った視点で発信していきたい。

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