日本の企業がベトナム人を雇用する際、日本語能力を把握するためにJLPTのレベルを参考にすると思います。JLPTのレベルからどれだけベトナム人の日本語能力が分かるのでしょうか。そこで、JLPTレベルの基本知識や、それでは分からない日本語能力の見抜き方を解説します。

そもそもJLPTとは?

日本語能力試験(Japanese-Language Proficiency Test)とは、公益財団法人日本国際教育支援協会と独立行政法人国際交流基金が主催している語学検定試験のことです。

JLPTは外国人の日本語能力を測る試験

JLPTを受験できるのは日本語の非母語者。N5からN1までの5つのレベルがあり、言語知識(文字・語彙)、言語知識(文法)、読解、聴解の能力を把握できます。試験が行われるのは7月と12月の2回。日本の会場のほか、欧米やアジアなど、世界各国で受験できます。

詳細はJLPTサイトに掲載されています。

【参考】https://www.jlpt.jp/index.html

JLPTの受験勉強は何年くらいしている?

JLPTの勉強期間は個人差があります。3年内でN1に合格している人もいれば、5年かけてもN3に到達できない人もいます。入管の問答に対応できればOKと、N5合格の時点で勉強を切り上げるベトナム人もいれば、日本に留学してN1合格を目指す人もいます。

ベトナム人がJLPT受験を始めるきっかけ

ベトナム人が受験を始めるきっかけは、日本企業への就職、日本の大学のへの留学、より好待遇の仕事を得たいなどさまざまです。ベトナムの現地企業であっても、JLPTの資格により給与がアップするなど、ステップアップにつながることもあります。受験開始年齢は、小中学生から社会人までと幅が広いことが特徴です。

JLPTのレベルの難易度

JLPTのレベルについては、日本語能力試験のサイトに掲載されていますが、採用を検討するときの目安を解説します。

N5は簡単な会話を楽しめる程度

N5に合格しているベトナム人は、ひらがな、カタカナ、簡単な漢字が分かり、ゆっくりとした短い会話が理解できます。漢字レベルは小学1年生程度。ただし、試験はマークシートのため、必ずしも実際に書けるとは限りません。何らかのコミュニケーションを要する仕事の場合、N5レベルのベトナム人の採用は見送ったほうがいいでしょう。

N4は多少の会話のキャッチボールが可能

N5レベルのベトナム人は、決まったフレーズを使った会話に限定されます。しかし、N4になるとある程度のキャッチボールができるようになります。漢字も小学校低学年程度なら理解可能。センスのあるベトナム人なら、ユーモアのあるやりとりができます。簡単なコミュニケーションで仕事に支障がないなら、N4レベルでも十分に対応できます。

オフィスワークはN3以上が鉄則

N3の試験では、新聞や広告の読解も出題されているため、多少ではあるものの合格者は論理的な文章を読めます。オフィスワークに対応できるベトナム人も増えてきますが、会話レベルについては個人差があります。N3に合格しているものの、言語知識や読解が高得点というだけで、正確な会話ができないこともあるため注意が必要です。

高度な日本語力を求めるならN2以上

N2に合格していると、雑誌、解説、論評などの内容を理解できる、ある程度のまとまりがある自然なスピードの会話が分かるなど、日本語力が一気にアップします。ベトナムでは、N2以上を条件に日本語教師が募集されることが多く、先生としての経験がある人も少なからずいます。会話が長けている人なら、違和感のないスピードでやりとりできます。

高度な日本語能力があるN1

N1の合格者は、抽象度の高い雑誌、解説、論評などの内容を理解でき、自然なスピードの会話やニュース報道が分かります。ビジネスレベルの通訳や翻訳の対応も可能。ただし、他のレベルと同じく、会話レベルについては個人差があります。重要なポジションで採用するなら、N1なら大丈夫だろうと思いこまず、実際に会話する機会を設けることが必須です。

JLPT合格者の真の実力の見分け方

JLPTでN5からN1に合格していても、実際の日本語能力にはばらつきがあります。そこで、JLPT合格者の真の実力の見分け方をご紹介します。

スコアの内訳をチェックすること

JLPTのレベルは、語彙、文法、読解、聴解など、さまざまな能力の総合点から決定されます。そこで、採用を検討する際は、言語知識、読解、聴解の個別スコアのチェックがおすすめ。N3に合格しているものの、聴解が合格点ギリギリの場合、会話に難がある可能性が高いです。一方、JLPTレベルは低くても聴解のスコアが高ければ、伸びしろが期待できます。

試験を積極的に受けていないケースも

ベトナムでは日本人と仕事できる機会が多々あり、実践的に日本語力を向上させることが可能です。そのため、JLPTレベルはN5やN4と高くないものの、会話はN2やN1相当ということがあります。そこで、JLPTレベルだけで判断せず、就業経験や留学経験を含めて検討すると、有能な人材に巡り合える確率が高まります。

まとめ

JLPTは、採用を検討するうえで重要な情報ですが、数字だけでは見えない能力も多々あります。実際に面接してみて、会話のセンスがありそう、人柄に好感が持てるなど、スコア以外の部分も併せて、総合的に判断することをおすすめします。

この記事を書いた人

ひこすけ

大学にて10年間勤務したのち、ベトナム現地企業にて、地方中小企業の販路拡大支援に従事する。大学では留学生、ベトナムでは現地スタッフ指導経験あり。日本語教育にも関わっていました。現在はライターとして活動中。

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