ネパール人が死を迎える場所~ヒンズー教寺院・パシュパティナート - ユアブライト株式会社
2021.11.11
ネパール
ネパール人が死を迎える場所~ヒンズー教寺院・パシュパティナート

ヒンズー教徒のネパール人が海外で亡くなった場合、宗教的な意味からすると海外から母国ネパールへ遺体を搬送し、ヒンズー教寺院・パシュパティナートで火葬してバグマティ川に亡骸を返すのが理想的な死の迎え方となります。

海外暮しや出稼ぎ等で世界各国に出国中のネパール人は年々増加傾向にあり、その中には労働環境やストレスによって海外で亡くなってしまう残念なケースも少なくありません。

海外で不幸な結末を迎えてしまったネパール人に対しては、在外公館を通してサポートを受けることができますが、個人々の事情よって海外搬送できる場合とできない場合があります。

母国ネパールで待つ家族にとっては、海外での身内の死と宗教的にそぐわない死のかたちに対して納得のいかない境地であることが伺えます。

パシュパティナートとは?

パシュパティナートは、ネパール最大のヒンズー寺院でありインド大陸にある4大シヴァ寺院のひとつです。

パシュパティナートへはインドやネパール全国から修行者や巡礼者が集まり、年に一度のシバ神をたたえる祭り「マハ・シバラトリ」には、普段にも増して巡礼者が大勢集まる特別な日となっています。

パシュパティナートには、瞑想や苦行を実践しているサドゥと呼ばれる修行者が、敷地内のあちらこちらに姿を見せ、その風貌はパシュパティナートの独特のにおいと共に、迫力のある光景の一コマとなっています。

パシュパティナートには、ヒンズー教徒のみが入館できるパシュパティナート寺院と、隣接するバグマティ川沿いには複数の火葬台が設けられています。火葬台へは次々と遺体が運ばれ、ヒンズー教の儀礼にそって火葬のプロセスが始まります。

遺体はオレンジ色の布に巻かれ、火葬台にはマリーゴールドの花が飾られ、火葬用の薪に着火されると火葬のセレモニーが始まります。火葬の様子は、ヒンズー教徒以外のツーリストでも観覧できるようになっていてネパール人の習慣を体験できる観光スポットとなっています。

誰でも観覧できる、人が燃えて行く瞬間

ヒンズー教徒のネパール人が亡くなった場合、遺族は関係者への連絡と同時にパシュパティナートの火葬手配と葬儀の準備を始めます。パシュパティナートに集まった参拝者は火葬の間、死者との別れを惜しむ時間を過ごし、火葬の儀礼はヒンズー教のしきたりにそって進められます。

亡骸は、パシュパティナートで火葬しバグマティ川へと散骨するのが一般的で、日本のお墓のように死んだ後に入る場所はありません。

遺灰が流れるバグマティ川は、インドの聖なる川・ガンジスの支流と繋がっていて、火葬前に遺体はこの聖なる水で清めてから着火されます。

バグマティ川には、散乱したマリーゴールドの花や死者のまとっていたオレンジ布の燃え残りが浮かんでいて、遺灰の流れた灰色の川に鮮やかに見えてくるのが印象的です。

日本の火葬場がすべて密室で行われるの対して、ネパールの火葬は、家族以外の見ず知らずの観覧者にも公開されながら、人が燃えて行く瞬間の一部始終を見届けることになります。

ネパール人の死生観

ヒンズー教の聖地であるパシュパティナートで死を迎えることが、ネパール人にとって理想的であり大きな意味のある終末となります。

ヒンズー教の解釈では、過去と現在と未来は永遠に続き、命が途絶えるとまた再び転生を繰り返し、車輪のようにクルクルと回るというのが人の一生であると言います。

亡くなった身内がパシュパティナートの火葬台の上で燃えて無くなる光景を、幼いころから繰り返し見てきたネパール人にとって、死に対する向き合い方は、日本人とは違うことは明らかです。

外国人が日本で亡くなった場合の手続き

在留外国人が病気や事故で亡くなった場合、日本国内から母国の在外公館までの手続きがあります。

亡くなった後の手続きの流れ

  • 1 死亡届を住民票登録してある市町村の役所に提出します。
  • 2 市町村の役所から法務局に連絡が行きます。法務局から外務省へと通達されます。
  • 3 法務局から外務省へ連絡が行きます。
  • 4 外務省から母国の在外公館等へ死亡届が届きます。

留意点:

  • 宗教上、火葬して良いか?遺族と相談しながら決めることが必要です。
  • 日本で火葬せずに母国へ遺体搬送する場合には、エンバーミング(遺体の防腐や殺菌処理)と郵送費用が掛かります。
  • 遺体搬送にかかる費用は、航空運賃・搬送・搬入・棺・諸手続き・エバーミングなどが必要となります。
  • 国によってそれぞれ手続きは異なります

さいごに

パシュパティナートは、ヒンズー教徒のネパール人にとって終末を迎えるための理想的な場所として位置付けられています。

海外で亡くなった場合のケースとして宗教にそぐわない終末を迎えたネパール人もいるため、もし社内にネパール人社員がいる場合には、管理者の方々は、パシュパティナートについて少し知っておいてあげると良いかもしれません。

執筆者:shyu

海外在住ライター/ネパール国籍の配偶者と日本国籍の息子と日本人の私の3人家族。カトマンズに12年暮らす。 海外に住むということは、国籍はもちろん生まれも育ちも違う者どうしが、なんらかの関係性を保ちながら生きる修行をしているようなもの。 今後、日本で暮らし働く外国人が増えて行くことが予想される中、その動向を外国人の心情に寄り添った視点で発信していきたい。

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