株式会社クールヘッド

株式会社クールヘッド様

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事例
2018-01-12

2003年より訪問介護を行っている、株式会社クールヘッド。パートも含めて約50人もの規模となり、最近は新卒採用も行っていますが、会社の成長と共にコミュニケーションの重要性を感じられたとのこと。その思いや施策について、代表取締役の戸嶋哉寿男さんに伺いました。

株式会社クールヘッド

杉並区西荻窪と上井草の2ヵ所に事業所を構え、訪問介護、居宅介護支援を中心に運営。サービス提供名は「ウォームハート」。2016年秋からは定期巡回・随時対応型訪問介護看護もスタートさせた。

 ベースにあるのは、ケアをさせていただけることへの感謝の気持ち

私はもともと大学の法学部を卒業後、特に目的もなくフリーター暮らしをしていました。2000年、介護保険が始まったのを機にヘルパー資格を取って現場に出てみたのが、介護の仕事との出会いです。すぐに大変な仕事だと根を上げそうになりましたが、周りの先輩方のふるまいをまずは真似てみることからやってみたところ、徐々にご利用者様やご家族との距離が近づいてきたのです。 この接し方が今も私の、そして当社の原点となっているのですが、一言で言えば、人間同士の心の通ったつながりを大事に、ということです。例えば、ベッド上でのおむつ交換でも「向こうを向いてください」と指示、命令するのではなく、「向こうを向いてもらっていいですか?」とお願いし、向いていただけたらそこで必ず「ありがとうございます」とこちらが言うのです。ケアをさせていただいていることへの感謝ですね。それで気持ちよく介護を受けてもらえることが喜びなのです。 それで、そのような思いに共感してくれる仲間と共に独立し、2003年に西荻窪に訪問介護の事業所を開設しました。当初は6人くらいでしたが徐々にスタッフも増え、今は社員が10数人、登録ヘルパーを含めると50人近くもの大所帯となっています。

「頭は冷静で、心は温かく」、その両方を社名・サービス名に冠して

 介護という作業ではなく、心温まるお世話をさせていただくと言う意味で「ウォームハート」を事業所名にしましたが、社名は「クールヘッド」です。この2つの言葉は、私はTHE GROOVERSというロックバンドの曲名として知ったのですが、もともとは英国の経済学者アルフレッド・マーシャルの名言でセットにして語られます。ビジネスにおいては冷静な頭脳と温かい心を持ち合わせることが重要だということですね。 思うに、介護の仕事に就こうという人であれば皆、ウォームハートは持ち合わせているものでしょう。ただ、仕事する上ではクールヘッドも必要です。ヘルパーがあれもこれも手助けしてしまっては、ご利用者様の自立心を損ねかねませんし、介護保険という制度内で私たちが行えるサービスにも限りがあります。それを、求めに応じて手伝ってしまうようではいけません。ルールなのでできませんと言うべきで、ただし、その言い方はウォームハートであって欲しいのです。スタッフにもこのことは、入社当初にはっきりと伝えています。同時に、経営面は私がクールヘッドでしっかり見ているから、現場に出るスタッフにはウォームハートをもって安心して働いて欲しいという意味でもあります。

30年後も理想のケアを続けられるよう、思いをつなげる仕組みづくりを 

単なる介護を超えて、心温まるサービスをという気持ちに共感してもらうためにも、採用面接の後には必ず一日体験入社をしてもらっています。訪問介護に同行して私たちのケアを見てもらうのと、その人の振る舞いを見させてもらうのが目的です。靴の脱ぎ方や見学時の立ち居振る舞い、必要な配慮ができる方かが大事なのです。 人手が欲しいからといって誰でも良いわけではありません。きれい事ではなく、ウォームハートらしいサービスができなくてクレームにでもなれば、シフトの再調整などに労力を取られることとなります。全体として良いサービスが提供できていないことで、仲間内でもモチベーションが下がりかねません。ですから、人を増やすこと、会社の規模を大きくすることを目的にはしていません。大事なのは私がいなくなった後もこの事業が続いていくよう、思いがつながっていけることなのです。 その意味で、危機感を感じたことが設立10年目くらい、今から4年ほど前にありました。スタッフが創設時の6人から増えて、20人くらいまでは私自身も現場に入っていたので、一緒にやって見せられましたから、10のうち8までは伝えられていたのです。その先、8を分かっているリーダーが伝えようとすると5になり4になりと、だんだんズレを感じ始めました。それで、同行したときの説明の言葉ではなく、理念や考え方の指針などを示す言葉が必要だと思うに至ったのです。

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 理念づくりやホームページなどツール製作、研修プログラムで思いを一つに

 そこで、外部の会社に入ってもらい、私やスタッフ、お客様や地域のケアマネジャーにインタビューを重ねてもらい、2ヵ月かけて理念とサービスポリシーを言葉にしました。その時にホームページも、私たちの思いが伝わるようなものにリニューアルしています。これらの言葉は、皆で唱和こそしていませんが、常に立ち戻ることができ、スタッフにとって大切なものとなっています。ちなみに、新卒採用を行っていることもあり、ホームページには学生が馴染んでいるfacebookやインスタグラムも活用し始めています。 また、ユアブライト様に研修を依頼したのもこの頃です。2015年にはコミュニケーションをテーマとした講義を5回、2016年には全体の現状把握や課題発見のためにグループインタビューを8月と10月に行ってもらいました。スタッフ同士のコミュニケーションは難しいものです。思いを伝えられないのもですが、それは違うと思っているのに言えずに我慢してしまうことがあれば、どんない辛いことでしょうか。うまく伝わる伝え方や不快にさせない断り方、自分の中での嫌なことの解消のし方などを学ぶことで、良い方向にできたと思います。 こうした研修で聞いたことは、その場では10のうち1か2しか理解できないかもしれません。でも、その1、2があれば、次の機会には3、4をその上に重ねていくことがすぐにできるのではないでしょうか。そういうベースになりますし、皆で聞いていることなので共通言語ともなっていますね。 グループインタビューの後にやってもらった全体研修では、2時間ほどかけて、参加した10数人が全員、一人ひとりに対して感謝を言葉にしていったのですが、感極まって泣き出す場面もあり感動的でした。互いに関心をもつことは大事で、これらのワークを通じてチーム力が磨かれたと思います。私という経営者がいなくなった後でも、ウォームハートの思いがこういう言葉やチームを通じてつながっていくことを期待しています。

地域で安心して最期まで暮らせるよう、心温まるお世話を続けたい 

今後の展開としては、Onshin(温心)というブランド名でスープの店舗販売を2017年の年末より始めます。昔、私が体調を崩して顎関節症で辛かった時に妻が作ってくれたスープが元で、地域のイベントで「こころあたたまるスープ」として紹介を始めたものです。スープが介護サービスについて知っていただくきっかけにもなりますし、化学調味料を使わず体に優しいものなので、嚥下の難しい高齢者にもお子さんにも安心して口にしていただけます。ご近所へのデリバリーも近々始めたいですし、ゆくゆくは障がい者の作業所と連携してレトルトパックの製造などができればと考えてもいます。 もう一つ、ぜひ形にしたいと考えているのが、訪問看護ステーションの運営です。ご自宅や地域で最期まで暮らせるためには、介護だけでなく医療の手が必須です。ウォームハートでは定期巡回・随時対応型訪問介護を始めて1年になりますが、夜間も含めて臨機応変にサービス提供できるのがたいへん良いのです。例えば、訪問時に就寝中であれば、通常の訪問介護だと起こさなければならないところ、そのまま寝ていていただいて後でまた寄ってみることができるのです。必要なら何回でも訪問できますし、十分であれば減らすことも可能です。こうしたサービスは、この辺りにも多いお一人暮らしの高齢者に打ってつけです。実際に、看取りに向けてドクターや訪看ステーション、ケアマネジャーと連携して訪問介護をさせていただいてもいますし、お見送りした例もあります。これを、ウォームハートにお任せしたいと、安心して言っていただけるよう、まとめてお引き受けするためにも訪看ステーションの運営を考えていきたいのです。そのためにもチーム力にますます磨きをかけていかねばなりませんね。