取材:日本介護福祉専門学校

日本福祉教育専門学校 様

カテゴリー:
事例
2018-11-01



学校法人敬心学園
日本福祉教育専門学校(東京都)

介護福祉学科 学科長 細野真代 様
事務次長付 上田朗子 様
教務課 板野弘明 様

介護人材養成のパイオニア
使命感を持って介護の未来を拓く


開学から34年、介護福祉学科設置から30年を迎え、介護人材養成のパイオニアとしてその存在感をさらに増している日本福祉教育専門学校。国際色豊かな東京・高田馬場の地で、2018年度は約140名もの学生が介護福祉学科で学んでいます。教務課の板野さんにお話をうかがいました。

「2年生は約50名、1年生は約90名が在籍しています。介護分野を志望する学生の数自体が一挙に増えたという話も聞きませんので、1年生の増員は私どものこれまでの積み重ねを評価していただいたものと、ありがたく思っています」

 学生が集まらず閉科となる学校もあるなかで、40名もの増員を果たした理由について、板野さんはこう続けました。

「学生の皆さんに魅力を感じていただいた理由としては、私どもが独自に力を入れている『カイゴのミライ』というプログラムが大きいと思います。IT・セラピー、トラベル、アクティビティ、教育の5分野で、介護業界の未来を変えるムーブメントをいち早く学ぶことができます。将来、介護現場を背負って立つ人材には欠かせない課程であると自負しています」

 介護福祉学科長の細野先生は、本校ならではの特色として、入学翌月から実習に参加する「アーリーエクスポージャー」をあげています。

「学生は入学当初は介護現場のことを知りませんから、一生懸命座学に励んだところで、実感が伴わないことも多々あります。そこで本校の学生は、入学翌月の5月から週1回の実習に参加します。現場を体験することではじめて、机上で学んだことが自らの経験と統合されるんですね。

 実践のなかで生じる悩みや疑問を学生たちが持ち寄り、同級生と共有し、教員と一緒に考えることで解決していきます。こうした『生きた学び』を早い段階で始められるのは、本校のカリキュラムの大きな強みになっていると思いますね」

 このような特色をもって学生を吸引し、卒業生の活躍が評価されている日本福祉教育専門学校。続いて話題は、全体の3割を占める外国人学生に及んでいきます。

「2年生では7名、1年生では35名が外国人学生です。

 1年生は4割弱が外国人学生ですので、受け入れる側としてもそれなりの覚悟はしています(笑)。ただこれは本校のポリシーとして、『社会の要請や流れに際して、一番前を歩きたい』というフロンティア精神がありますので、まずは受け入れて、走りながら考えようということなんです。

少子高齢化が進む先では、外国人とともに学び働く時代は当然にやってくるわけですから、そこは介護人材養成の歴史を背負って、本校が責任感を持って対応していこうと」

事務次長付きの上田さんの語りには迷いがありません。

ところで、教育の現場で日々外国人学生を教えている細野先生は、外国人学生が増えていることをどうとらえているのでしょうか。


教務課の板野さん。実直な語り口で、学生と日々の学びを支えています。


明るく可愛らしいベトナム人留学生
負けず嫌いな性格で頑張る一面も

「もう、毎日何かしら起こるという感じですよね。価値観の違いからか、良くも悪くも想定外の出来事が次々と(笑)」

 1学年2クラスに、高校を卒業してくる10代の若者、職業訓練などで入学する既卒の方、そして外国人と、様々な背景をもつ学生が机を並べて学びます。近年注目されるダイバーシティ・マネジメント(多様性の有効活用)は、介護現場でこそ重要な考え方なのかもしれません。

「中国、韓国、台湾、ネパール、インドネシア、ミャンマー、バングラデシュ、スリランカ……東・東南・南アジアの様々な国からの留学生が集まっています。

 今年はベトナム人が最も多く、11名を数えます。女性が10名、男性が1名ですね」

 来日数が急増しているベトナム人の中でも、介護職は職業の選択肢として非常に有力です。ベトナム人留学生の特徴を続けて細野先生にうかがいました。

「みんなとにかく明るいです。ハイ先生! と返事が気持ちいいですし、いつもニコニコしていて雰囲気が可愛らしいですね。指導する際も素直に、柔軟に受け止めてくれますし、内容を理解してくれればしっかり行動できます。

 あと、柔和な一方で負けず嫌いなところもありますね。テストの点数が思ったほど取れなくて悔しがったり。その悔しさをバネにして頑張っている様子もあるので、物事をシンプルにとらえて行動につなげられるのはとてもいいと思います」

 こうした特徴は、介護の現場でも非常に役に立つとのこと。実習先でもその笑顔で職員の方々や利用者様に可愛がられることが多く、場が和やかになるといいます。また利用者の方は外国人の若者ということで関心を持ち、積極的にコミュニケーションをとりたがるそう。刺激にもなっている様子です。

 その一方で、指導の際に気をつけていることもあるといいます。

「勉強では、やはり介護の専門用語を覚えるのが大変なようです。あとは『尊厳』といった、高度に抽象的な概念などは、日本人でもすっきりと語れないこともありますよね? こういう部分は、本校では日本語の教員が3名いますので、しっかりカバーしてもらっています。

あとは……やはり物価高の日本で生活していくのはそれなりに大変で、アルバイトに比重が傾いて勉強との両立に苦労している学生もいますね。そのほとんどは、例えば実技試験に1度落ちてしまったり、実習の際の記録がうまく取れなかったりという経験をして、そこで気持ちを入れ替えて頑張っています。

 これは勉強とは少し離れるんですが、お金がなくて困っている学生に、教員や同級生が食材や缶詰をカンパして励ましたり、宿題ができない子に『できたらパンあげるよ~』なんて愛情を込めてニンジンをぶら下げたり……まああれやこれややっています(笑)」

 教員の方々の温かいまなざしを受けて、ベトナム人留学生が奮闘している様子がよくわかりました。

 ここで上田さんから、外国人留学生特有の事情を補足していただきました。


日本福祉教育専門学校の校舎。本校が立地する高田馬場駅は、とんかつ店やラーメン店の激戦区としても知られ、若者の活気にあふれています。


学校スタッフの思い
介護現場を支える留学生を、支える

「彼らには『何としてでも資格を取って日本で働きたい』という強い気持ちがあります。一生懸命ですし、補講などもまじめに出る子が多いですね。日本人なら留年できても、外国人はビザの関係でできないわけです。そういうまじめな子は、しっかりと勉強し、伸びています。

 生活の疲れが出たり、勉強が遅れがちになる子にまず気づくのは教員です。それから事務方と情報を共有して、コミュニケーションを増やすよう計らっていくわけですが、それと同時に、アルバイトをしている施設と連携をとることも重要と感じています。

 学校でも、そしてアルバイト先の施設でも『大丈夫? 困ったことがあったら言ってね?』と、普段から気にかけ声をかけていくことで、立ち直れることが多いです。温かさや期待に応える気持ちがあるということですよね」

 若くして遠い母国から単身来日し、学校の勉強とアルバイトをこなし、休みも返上して復習にあてる毎日。乾いていく気持ちを、周囲の大人たちが温かい言葉とまなざしで潤わせてあげたい。こうした上田さんの言葉は、ベトナム人留学生を受け入れる施設の方々にもぜひご理解いただきたいところです。

「在学中の実習では、学校で学んだことと、現場での指導を統合させていくことになります。本来は同じことを教わっているはずが、学生の中でまだうまくつながっていないことも往々にしてあります。

 外国人の実習生を受け入れている施設の方は、おかしなことがありましたら教員にご教示いただければと思います。アルバイト、あるいは職員としてベトナム人を受け入れた施設の方は……多少は大目に(笑)温かい気持ちで見ていただければと」

 教務課の板野さんからは、受け入れる施設によっては外国人の働き方が制限されていることへの懸念を聞くことができました。

「本校を卒業して介護福祉士の資格を取得した外国人が、身につけた知識や技能を生かす場を得られず、えんえん雑用に使われるということを耳にします。彼らは利用者様とコミュニケーションをとり、支えていくための勉強を頑張って資格を取得していますので、現場の一員として受け入れ、育てていただきたいですね。本校ではそれに値する教育を授けて、送り出していますので……」

 細野先生からは、現場の責任者としての率直な思いをうかがいました。

「少子高齢化で、日本人の介護職志望者は減っています。そこでベトナムから、二十歳そこそこの若者が日本にひとりで来てくれているわけです。その思いを大切にし、支え、育てていきたいという気持ちです。

 彼らを人材として受け入れてくださる施設の皆様には……言葉の壁や生活習慣の違いなど、就職してからもまだまだ勉強して、慣れていくことが多いと、卒業生から聞いています。コミュニケーションの行き違いで失敗してしまうこともあると。学校を出たからといってすぐ一人前とはいきませんから、彼らも試行錯誤しながら頑張っているようです。

そんな話を聞いて思うのは、先輩の職員さんたちと同じ、『仲間』として認めていただければ、一緒に働ける環境づくりをお願いできれば、ということですね。どうか、よろしくお願いいたします」

 若者を教育し介護の現場へ送り出す、学校スタッフの方々の生の声をお届けしました。最後に、本校の卒業生のエピソードを1つご紹介します。

ベトナム人女性のチャンさん。男性のご利用者様の入浴介助にまつわる短歌を作り、それが「NHK介護百人一首2018」に採用されました。


異性への 入浴介助 恥ずかしい

笑顔を見ると 気にならない

(http://www.nhk-sc.or.jp/heart-pj/tanka/tanka2018/sakuhin_073.html)


 ベトナム人材が生み出す笑顔があります。