この記事では、介護業界における人手不足の実態と、解決のための取り組みについて取り上げます。特に、サービスの充実と人手不足の解消を図ることができる、特定技能外国人の採用について詳しく紹介します。

介護業界における人手不足の現状

厚生労働省が発表している「職業安定業務統計」における、介護業界の有効求人倍率は、この10年余り、ずっと1倍を超えています。特に、近年は、倍率が3倍を超え、3人以上を募集しても1人しか応募がない、という状況が続いています。

データ出典: 厚生労働省 2022年3月発表「一般職業紹介状況 職業別労働市場関係指標」
注: 2022年は1月と2月の平均

一方で、社会の高齢化に伴い、要介護者の認定数と介護職員の必要数は増加し続けています。厚生労働省が2021年に発表した第8期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数についてでは、「2023年度には約233万人 (2019年度比+約22万人)、2025年度には約243万人 (+約32万人)、2040年度には約280万人 (+約69万人) が必要」とされています。

介護業界における人手不足の原因と解決策

なぜ、これほどまで介護業界は人手不足なのでしょうか。ここで原因を整理しておきましょう。また、それぞれの原因について、考えられる解決策もまとめます。

少子高齢化

一つ目の原因は、社会の少子高齢化が進む中で、要介護者の人数が増えていることです。以下の図は、厚生労働省が公開している「令和3年版高齢社会白書」における、第1号被保険者 (65歳以上) における要介護度別認定者数の推移です。要介護度別認定者数は、一貫して増加し続けていることがわかります。

出典: 厚生労働省「令和3年版高齢社会白書」

また、2025年に団塊世代が75歳前後となり、2035年には人口の3分の1が65歳以上の高齢者になるという、「介護の2035年問題」も介護業界の大きな問題となっています。

このような、少子高齢化問題について、どのような解決策が考えられるでしょうか。政府もさまざまなアプローチを検討していますが、その一つに外国人人材を採用することが挙げられます。2019年、深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れる制度である、在留資格「特定技能」が新設されました。これは、介護をはじめとした14の分野について、すでに十分なスキルと日本語能力を有していることを試験で証明した外国人が、通算で5年まで日本に在留できる制度です。この制度が創設されたことで、海外から介護人材を受け入れ、人手不足に対処することが可能になりました。

参考: 在留資格「特定技能」とは | JITCO – 公益財団法人 国際人材協力機構

採用が困難

二つ目の原因として、有効求人倍率が示すように、求人に対して3分の1以下の求職者しかいないため、その少ない求職者を同業他社間で奪い合うことになり、採用が困難である、ということがあります。実際に、公益財団法人介護労働安定センターが実施した「令和2年度介護労働実態調査結果」では、人手不足の理由として「採用が困難である」と回答した事業所の割合が86.6%と、非常に多くなっています。採用が困難であることを前提とした、介護現場での解決策としては、業務のIT化を積極的に進めることで、労働時間の短縮や負担軽減につなげることが挙げられます。

離職率が高い

三つ目に、せっかく人材を採用できたとしても、さまざまな要因で退職してしまうことが多く、定着しないことが挙げられます。厚生労働省の令和2年雇用動向調査結果では、全産業を平均した離職率が14.2%であるのに対し、社会保険・社会福祉・介護事業領域では14.7%でした。介護事業に絞った調査では、前述の令和2年度介護労働実態調査結果で、14.9%という結果が出ています。いずれにしても、他の業種と比べて、介護領域の離職率はやや高いと言えます。

介護職は、少人数で長時間、利用者の身体や心と向き合うことになり、ストレスが生じやすい仕事です。また、それに見合う報酬も得にくい現状があります。第一の解決策としては、待遇改善が挙げられます。また、政府でも上記の「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」において、離職防止策として、以下の項目を挙げています。

出典:厚生労働省 社会・援護局「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」 (https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000804131.pdf)を加工して作成

介護業界へのマイナスイメージ

四つ目に、ここまで挙げた有効求人倍率や離職率の高さにも影響する、根本原因とも考えられますが、介護の仕事に対するマイナスイメージが強いことが挙げられます。

出典: 内閣府規制改革推進会議 医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ第6回会議資料

上図はかなり衝撃的な内容ですが、業界団体自身が提出したものであり、実情をあらわしていると言えるでしょう。このイメージをすぐに覆すことは難しいですが、以下のような取り組みを通じた改善が進められています。

ユニットケアの導入

ユニットケアは、利用者を10人程度のグループで共同生活させる介護手法です。自宅に近い環境で、スタッフも共同生活することで、一人ひとりの個性と生活リズムを尊重した介護が可能です。また、そのような環境で過ごすことで、利用者のストレスも低減し、ハラスメント事象の発生を抑えることもできます。

給与・待遇の改善

介護業界は、重労働の割に給料が安い、というイメージが強くあり、多くの場合それは事実です。そのため、まずは給料を上げるということが、応募者の増加、離職率の低下に効果的です。そこで、政府が対策として、年2000億円の予算を編成し、介護人材の賃金上昇を推進しています。

イメージ改善のためのSNSを中心としたアピール

第三者によるネガティブなイメージばかりが拡散することを防ぐため、介護業界自身がSNSなどで仕事のやりがい、生産性向上の取り組みなどについて発信することも増えています。

人手不足の解消に向けた取り組み事例

ここまで、介護業界における人手不足の現状と原因、さまざまな対策について述べてきました。改めて、どのような取り組みが効果的であるか、まとめます。

外国人人材の受け入れ

前述のように、特定技能人材制度の創設により、介護業界で外国人人材の受け入れが拡大しています。海外でも、日本で働くことを前提に、日本語と介護技術を学ぶ教育プログラムが提供されており、2021年12月時点で、すでに5155人が介護の1号特定技能外国人として在留しています (出典: 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表」)。特定技能人材を積極的に受け入れることで、少子高齢化に伴う人手不足に対処できます。

見守りセンサーの導入

また、業務にITを積極的に導入することで、生産性と働きやすさを向上させることができます。介護施設において、ベッドに横たわった利用者の動きを検知するセンサーを設置し、事故を未然に防ぐ取り組みが行われています。また、政府も介護現場におけるICTの利用促進や介護DXというキーワードでさまざまな補助事業を行っています。介護業務にセンサーをはじめとしたITを活用することで、無駄を減らし、利用者に向き合う時間を増やすことができます。

出典: 厚生労働省「介護現場におけるICTの利用促進」

業務管理システムの導入

介護は24時間365日体制のサービスで、しかも正社員やパート、アルバイトなどさまざまな立場の職員が関わります。その労務管理や利用者の情報共有などを、ITシステムを用いて一括管理することで、業務効率化やミスの低減につなげることができます。また、コピー用紙や筆記具などのコストも削減可能です。複数の職員が利用者についての情報を記録、共有することで、家族に説明する内容が充実するなど、利用する側の満足度も高めることができます。

出典: 厚生労働省「介護現場におけるICTの利用促進」

特定技能人材の採用は、ユアブライトにご相談ください

この記事では、介護業界における人手不足の実態と、解決のための取り組みについて紹介しました。その中でも特に、効果が期待されるのが、特定技能外国人の採用です。介護の専門スキルと、一定の日本語能力を備えた若い人材を迎え入れることで、サービスの充実と人手不足の解消を図ることができます。

私たち、ユアブライトでは、特定技能人材の採用に関するご相談から、実際の採用、採用後のサポートまで幅広いサービスを提供しています。まずは、お電話やWebページのフォームから、お問い合わせください。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 海外人材担当 主にベトナムに関する情報を発信しております。

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