最近は、日本で働くベトナム人を見かけることが増えてきました。どうして日本に来るんだろう、どんな目標があるんだろうと気になる人も多いと思います。実は、ベトナム人は日本人とは異なる仕事観を持っており、だからこそ日本をはじめ海外で仕事をする人も多いのです。

そこで、ベトナム人がどのような仕事観を持っているのか、仕事をするうえで大切にしていることや、将来のキャリアの積み方などを解説したいと思います。

ベトナム人の仕事観①:キャリアアップ意識が強い

ベトナム人は、日本人とくらべると転職が多いと言われます。仕事に長続きしないからではなく、ベトナム特有の人材評価の方法があることがその理由です。

20代は会社を渡り歩いてキャリアアップ

ベトナムでは、できるだけ早くキャリア積むことが良しとされています。大学生も、入学したらすぐに仕事を始め、4年生になったら正社員に近い形で働き始めます。数か月~3年のペースで転職を重ねるため、20代で10社程度の勤務歴がある人もいます。たくさんの会社に採用されていると能力があると見なされるため、キャリアアップの証となります。

給与のアップがいちばんの基準

ベトナム人が転職するときの第一の基準は給与。日本人が重視する「やりがい」は、皆無ではありませんが、必ずしも優先事項ではありません。転職先を探すときも、給与がアップするかどうかが基準。転職回数はもちろん、給与が上がれば上がるほど能力が高いと見なされます。そのため面接時も給与交渉が積極的に行われます。

会社に対する忠誠心は強くない

ひとつの会社に対する忠誠心がそれほど強くないこともベトナム人の仕事観の特徴です。ベトナムの雇用形態は日本よりも欧米に近い能力主義。給与が能力に見合わないと判断されたらすぐに雇用は打ち切られます。仮にクビになったとしても、ベトナム人は悲観したり激怒したりしません。すぐに次の就職先を探すというドライな関係です。

ベトナム人の仕事観②:家族を優先する

ベトナムは親族を含めて家族を大切にする文化があるため、仕事をする際も家族を優先します。

残業・休日出勤は好まない

ベトナム人は、仕事とプライベートを明確に分けます。独身であっても、就業時間を過ぎたらプライベートモードに切り替わり、ササっと帰宅してしまいます。既婚者は家庭を最優先するため、残業や休日出勤を積極的に引き受けません。そのためベトナムでは、旧正月(テト)のときは出勤者を増やすために高額な手当が支払われています。

仕送りしている場合は仕事優先

日本で仕事をしているベトナム人は、未婚・既婚にかかわらず、家族に仕送りしている人が大部分です。また、どれだけ家族を想っていても、日本で働いているあいだは一緒に過ごすことはできません。日本で働いているベトナム人にとって稼ぐことが第一のため、残業や休日出勤を積極的に引き受ける傾向があります。

飲み会に誘うときは要確認

ベトナム人を飲み会に誘うときは、数日前に予定を伝えておくのが親切です。とくに既婚のベトナム人女性は、帰りが少し遅くなるだけで、家族が電話をかけてくるため、帰宅時間に気を配ります。また、男女問わず、会社の飲み会は仕事の延長と捉える傾向もあります。そのため、気を遣って連日飲み会に誘い出すのが良いとは限りません。

ベトナム人の仕事観③:目標や夢

目標に向かって努力を続け、キャリアを積んでいくベトナム人も少なからずいます。しかし、そのの内容は日本人とやや異なります。

裕福になるために資格を取得

ベトナム人はお金が大好き。そのため、仕事をするうえでの究極の目標は裕福になることです。たとえば、日本語能力試験などの資格取得に精を出すベトナム人に目標を聞くと、日本に行きたい、日本の会社で働きたいと答えつつ、最終的にはお金持ちになりたいと言います。ベトナムでは、資格取得は確実に給与アップにつながります。そのため、現実的な目標と言ってもいいかもしれません。

20代後半で起業することも多い

能力が高いベトナム人は、会社内で出世するよりも、自分の会社を持つことを目標とします。ベトナムでは、起業のハードルが高くないため、20代後半に起業する若者も珍しくありません。ベトナム人にとって一族の繁栄は大切なこと。共稼ぎが主流の社会でもあるため、夫婦で会社を立ち上げるケースも目立ちます。

目標に向けた行動が苦手な人も

ベトナム人は、目の前にある楽しみを優先させる傾向があり、5年や10年のスパンで物事を見ることが苦手です。そのため、目標に向かって計画的に行動しているベトナム人がいたら、優秀な人材と判断していいでしょう。とはいえ、長期的に物事を考えない分、目の前のことを一生懸命やる傾向があります。そのため能力が低いと即判断する必要はありません。

まとめ

ベトナム人は、お金が仕事のモチベーションのひとつ。そのため、給与がしっかり支払われれば、期待以上の働きをしてくれます。とくに日本で働いているベトナム人は、キャリアップや仕送りなどの目標があるため、プライベートや家族を優先させる仕事観を尊重すれば、優秀な戦力となることも多いでしょう。

この記事を書いた人

ひこすけ

大学にて10年間勤務したのち、ベトナム現地企業にて、地方中小企業の販路拡大支援に従事する。大学では留学生、ベトナムでは現地スタッフ指導経験あり。日本語教育にも関わっていました。現在はライターとして活動中。

ユアブライトのサービス紹介資料を無料ダウンロード

資料をダウンロードする