留学生や技能実習生の増加と共に、ベトナム人の学歴に触れる機会が増えてきました。日本人がベトナム人の学歴を見ても、どの程度のものなのか、いまひとつピンとこないという声をよく聞きます。そこで、ベトナム人の学歴がどんな意味を持つのか解説したいと思います。

現在のベトナムは学歴社会

現在のベトナムは、よりよい就職先を見つけ、高収入の仕事を得るために、高学歴を目指す傾向があります。

小学校から塾通いも多い

教育熱心なベトナム人は、小学生のころから子どもを塾に通わせることも少なくありません。ベトナムで有名な学習塾のひとつが「KUMON」。日本でもおなじみの「公文」のことです。土日の夕方になるとKUMONのカバンを持った子どもをよく見かけます。外国人の先生が多数在籍しており、英語塾として利用される傾向があります。

日本語学校に通う子どもも多数

また、小学生・中学生のころから日本語を学び始めることも多く、英語と並行して勉強するケースも目立ちます。日本のアニメなどが好き、高校の日本専攻合格を目指している、親が日本と関係する仕事をしているなど、その理由は多岐に渡ります。高校以降は、自分の意志で学び始める学生が多いのですが、それ以前は親の意向が強く反映されています。

経済格差イコール教育格差という現実

高校生になると、週5のペースで基礎5科目を塾で習うなど、多忙なベトナム人の学生も珍しくありません。とくに理数系の難易度が高いため、レベルの高い大学に入るためには、それだけの学習量が求められることがその理由です。とはいえ、実際の大学進学率は30%ほど。経済格差が教育格差を助長してい現実も念頭に置いておく必要があります。

ベトナムにおける高学歴とは?

ベトナムでは、高い学歴を得る道筋は複数ありますが、どれであっても最終的な目標は高収入の仕事に就くことです。

高校までは私立のほうが教育の質が高い

ベトナム人にとって高学歴の出発点となるのが、「名門」とされる中学校や高校に入ること。公立学校の教員は、尊敬される立場ではあるものの給与が低いため、教育熱心であるとは限りません。そのため経済的に余裕がある子どもは、小学校、中学校、高校と、教育カリキュラムが充実している私立で学ぶ傾向があります。

大学は国立・公立のほうが高学歴

ベトナムの大学には、国立、公立、私立の3タイプがありますが、日本とは異なり私立大学の数は多くありません。名門とされる大学は基本的に国立あるいは公立で、ほとんどがハノイとホーチミンに集まっています。就職のしやすさという観点から、理系の場合は工学やIT、文系の場合は貿易や経済の分野に人気が集まっています。

大学卒業後に日本留学するパターンも

日本の大学に入学する場合、そこに至るまでの道のりには複数のパターンがあります。ベトナムの高校の卒業後、そのまま日本の大学に入学することもできますが、難易度の高さから学業成績が優秀な学生に限定されます。そのため、ベトナムの大学の在学中あるいは卒業後に日本語を猛勉強し、卒業したあとに日本の大学に入ることを目指す人が多いです。

ベトナム人の学歴と就職

ベトナム人は学歴を重視する傾向がありますが、生涯に渡って学歴が強みになるとは限りません。

就職後は学歴より経験重視

ベトナム人は高収入の仕事に就くために、名門とされる高校や大学への入学を目指します。実際、そのような学歴があると、就職に有利になることは事実です。しかし、いつまでも学歴が評価され続けるわけではありません。ベトナムは実力主義の社会のため、経験やスキルが重視されます。そのため2回目以降の転職では、学歴よりも職歴のほうが評価されます。

日本語能力で一発逆転を狙う

なかには、教育にお金をかけてきたものの、受験勉強が得意ではないなどの理由から、名門大学への入学が見込めない学生もいます。そこで、ベトナム国内での進学をあきらめ、日本語学校に長期留学して、日本の大学入学を目指すこともあります。日本の大学を卒業していると、それまでの学業成績が芳しくなくても、一発逆転できる可能性が高まるからです。

20代はスキルアップのための期間

ベトナム人にとって20代は経験を積む期間。キャリアアップのために仕事を辞めて、日本語学校に通う、専門学校に入る、大学に入るなど、思い切った選択をすることがあります。たとえ学歴が低くても、スキルアップさえできれば、よりよい条件で就職できます。20代後半で日本に留学する、技能実習生として働くベトナム人が多いことも、スキルアップの一環と言えます。

まとめ

日本の会社で経験を積み、ベトナムでより高収入の仕事に就くことを目標としているベトナム人技能実習生も少なくありません。日本留学・就職は、学歴社会のベトナムにおける一発逆転の手段のひとつ。そのため、ベトナム人の採用を検討するときは、学歴よりもやる気を重視したほうが、よりよい人材と巡り合える可能性が高まります。

この記事を書いた人

ひこすけ

大学にて10年間勤務したのち、ベトナム現地企業にて、地方中小企業の販路拡大支援に従事する。大学では留学生、ベトナムでは現地スタッフ指導経験あり。日本語教育にも関わっていました。現在はライターとして活動中。

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